勤務時間が長く、辛いと言われることも多い学校の教師。
中でも体育教師は部活動の顧問になることも多く、体力的にもきつい職業だと思われがちです。
一方で、体育教師になりたいと憧れる子どもたちも実はたくさんいます。
では収入を得るための職業としてみた場合、体育教師は魅力的なのでしょうか。
今回は、体育教師の年収について調査。
他の科目との差、地域によって金額が変わるという噂についても調べてみました。
【体育教師】平均月収
そもそも体育教師の年収は簡単に調べられるものなのでしょうか。
実はある程度の年収は公表されているのです。
というのも、小・中・高校の公立学校の教師は地方公務員だから。
各市町村や都道府県が公務員の平均給与を発表しているため、把握することができるのです。
体育教師と他の教師の違い
教師と呼ばれる職種は、幼稚園、小中学校、高校、大学などの先生になります。
では公立学校の場合、地方公務員だから給料は全て同じかというとそうではありません。教える児童や生徒の年齢が高くなるほど教師の給料も高くなるのです。
また勤続年数に応じて給料は上昇していきますが、担当する教科や男女での額の差はありません。つまり数学や英語の教師と体育教師の給料は同じということになるのです。
小中学校と高校の平均月収の違い
では小中学校と高校では平均月収はどれくらい違うのでしょうか。
2021年度の地方公務員給与実態調査によると、各種手当込みで、幼稚園・小中学校の教師の平均月収が40万9427円。高校では43万4149円となっています。
初任給は他の業種とあまり差はありませんが、30代になると年収がアップし、勤続年数に伴ってさらに昇給していくのが地方公務員の特徴。
会社員の平均月収が36万円とされていますから、教師はなかなかの高待遇だともいえます。さらに福利厚生も充実しているのは公務員ならではといえる特徴です。
教師の給与の特徴
このように教師の給与は一般よりも高額になる傾向。
その理由は、やはり高い能力が求められるからです。
教員免許は小学校・中学校・高校でそれぞれ個別に取得するもの。その上で各自治体の採用試験に合格しなければ教員にはなれません。
ただし合格して常勤になれば安定しているのは事実。他の業種では、不景気などで給与が減少する可能性もありますが、公務員には基本的に給与カットやリストラの心配はありません。
昇給制度がしっかりしているため、勤続年数に応じて給与が上がりやすいのも特徴。 ただし能力に応じた昇給はないため、この点で不満に感じる人はいるかもしれません。
私立学校の場合
逆に私立学校の教員は契約条件によって給与の差が生じることも。
しかし平均すると給与の額は公立学校とほとんど同じで、ほんのわずかに私立学校の方が上という程度です。
雇用の安定や将来の福利厚生も考えれば地方公務員である公立学校に魅力を感じる人が多いかもしれません。
非常勤教師の場合
体育教師には常勤のほかに、非常勤という勤務形態もあります。
常勤の場合は上記のように高待遇ですが、非常勤の場合は労働時間などによって給料が変動。雇用も不安定になってしまいます。
一般的に非常勤教師の報酬は授業1コマで4000円程度。フルタイムで勤務した場合の平均月収は18万円程度となります。
【体育教師】年収の地域差
では噂にあるように体育教師の年収に地域差はあるかというと、実は小さくはない地域差が存在していました。
高校教師の年収ランキング
文部科学省では学校教員統計調査を発表。そこでボーナス等も含めた高校教師の平均年収を都道府県別に見ることができます。
ランキングでご紹介しましょう。
順位 | 都道府県 | 平均年収 |
1位 | 新潟県 | 638万円 |
2位 | 秋田県 | 623万円 |
3位 | 福島県 | 618万円 |
4位 | 東京都 | 617万円 |
5位 | 高知県 | 610万円 |
6位 | 山形県 | 608万円 |
7位 | 鳥取県 | 601万円 |
8位 | 福井県 | 601万円 |
9位 | 京都府 | 599万円 |
10位 | 茨城県 | 596万円 |
11位 | 徳島県 | 594万円 |
12位 | 兵庫県 | 594万円 |
13位 | 山梨県 | 592万円 |
14位 | 三重県 | 592万円 |
15位 | 長野県 | 592万円 |
16位 | 岩手県 | 591万円 |
17位 | 群馬県 | 591万円 |
18位 | 神奈川県 | 590万円 |
19位 | 北海道 | 590万円 |
20位 | 長崎県 | 589万円 |
21位 | 佐賀県 | 588万円 |
22位 | 岡山県 | 588万円 |
23位 | 静岡県 | 588万円 |
24位 | 宮城県 | 587万円 |
25位 | 沖縄県 | 587万円 |
26位 | 愛知県 | 586万円 |
27位 | 富山県 | 584万円 |
28位 | 岐阜県 | 583万円 |
29位 | 石川県 | 582万円 |
30位 | 栃木県 | 582万円 |
31位 | 広島県 | 582万円 |
32位 | 大分県 | 581万円 |
33位 | 山口県 | 580万円 |
34位 | 香川県 | 578万円 |
35位 | 青森県 | 577万円 |
36位 | 埼玉県 | 576万円 |
37位 | 千葉県 | 575万円 |
38位 | 和歌山県 | 573万円 |
39位 | 愛媛県 | 572万円 |
40位 | 奈良県 | 570万円 |
41位 | 滋賀県 | 569万円 |
42位 | 大阪府 | 568万円 |
43位 | 福岡県 | 564万円 |
44位 | 島根県 | 563万円 |
45位 | 熊本県 | 563万円 |
46位 | 宮崎県 | 562万円 |
47位 | 鹿児島 | 559万円 |
1位の新潟県と47位の鹿児島県の差はなんと79万円。
一般的に東日本の方が年収は高く、西日本の方が低い傾向になっています。
会社員の年収との比較
日本の会社員の平均年収は約433万円。
最も年収が低い鹿児島県の教師でも会社員よりは126万円も多く、最も多い新潟県ならその差は205万円にもなります。
いずれにしてもやはり会社員と比べて高待遇であるとは言えそうです。
【体育教師】年収1000万超えは可能?
一般的に退職直前の教師の年収は800万円前後になると言われています。
今のご時世でこれはかなりの額。
とはいえ「1000万円以上ほしい」という方もいるのではないでしょうか。
そのような場合には、校長や副校長、教頭といった管理職を目指すことになります。
校長までの一般的なルートは、まず学年主任・教務主任を担当し、次に管理職試験(教頭)に合格、さらに管理職試験(校長)に合格するという流れ。
では体育教師から校長になる例はあるのかというと、実はこれがとても多いのです。
理由は、授業やその準備の時間が少ないため、管理職試験の勉強に当てやすいから。
体育の教師をしつつ高給も欲しいという人は、早い段階から校長を目指してみると良いかもしれません。
まとめ
雇用は安定していて福利厚生も充実、将来も比較的安泰で、実は年収1000万円超えの可能性もある体育教師。
現役期間の短いプロスポーツ選手以上の生涯収入になる見込みも高いと言えます。
勤務時間の長さなど、辛い面も多い職業ですが、部活動などでスポーツに打ち込んでいる人にとって、体育教師はかなり有望な職業かもしれません。