カルシウムに対してどんなイメージを持っていますか?
◇カルシウムってどのような働きをしているの?
◇カルシウムを多く含む食品を知りたい
このような疑問を抱えておられる読者の方に向けて、管理栄養士である筆者がカルシウムについてご紹介します。
カルシウムとは
カルシウムとは人体に最も多く含まれるミネラルで、体重の1~2%を占めています。
そのうち99%が骨や歯に存在し、残りの1~2%は血液や細胞など身体のさまざまな場所で使われています。
スポーツをする人にカルシウムが必要な理由
スポーツをする人に、なぜカルシウムが必要なのでしょう。それは第一に、強い骨を作るためです。
骨強度が低い骨が弱いままでスポーツをしていると、骨折のリスクが高まります。
こういった骨障害の発生を予防するためにも、カルシウムを摂取して骨密度を高めておく必要があるのです。
また骨に貯えられたカルシウムは一生使えるものではありません。
汗と一緒に損失したり、血液凝固や筋収縮、神経の情報伝達、ホルモン分泌など様々な場面で使われるため、毎日少しずつ摂取しなければならないのです。
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カルシウムを多く含む食品
カルシウムは大豆製品や青菜、骨ごと食べられる魚や乳製品などに多く含まれています。
乳製品に含まれるカルシウムは吸収率が約40%程度とほかの食品に比べて高いことから、できれば1日2~3回摂取するのがよいでしょう。
しかし、乳製品が苦手な人やお腹の調子が悪くなるため乳製品を摂取できない人は、しらす干しや干しさくらえび、小松菜と厚揚げの煮浸しなどもおすすめです。
カルシウムを多く含む食品一覧
木綿豆腐(1/4丁) | 93mg |
厚揚げ(1/2枚) | 240mg |
かぶの葉(40g) | 100mg |
小松菜(80g) | 136mg |
春菊(60g) | 72mg |
大根の葉(40g) | 104g |
切干大根(15g) | 75mg |
チンゲン菜(70g) | 70mg |
しらす干し(10g) | 52mg |
ししゃも(2尾) | 132mg |
わかさぎ(中5尾) | 135mg |
干しさくらえび(5g) | 100mg |
牛乳(コップ1杯) | 220mg |
ヨーグルト(カップ1杯) | 108mg |
スライスチーズ(1枚) | 126mg |
「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」より
カルシウム【1日の摂取目安量】
カルシウムは、現在の日本人の食生活では不足しやすいため積極的に摂りたい栄養素の一つです。では、カルシウムは1日あたりどのくらい摂取したらよいのでしょう。
一般人のカルシウム必要量は、日本人の食事摂取基準(2020年版)で次のように定められています。
年齢 | 推奨量(mg) | ||
男性 | 女性 | ||
6~7歳 | 600 | 550 | |
8~9歳 | 650 | 750 | |
10~11歳 | 700 | 750 | |
12~14歳 | 1000 | 800 | |
15~17歳 | 800 | 650 | |
18~29歳 | 800 | 650 | 18歳以上の耐容上限量は2500mg |
30~49歳 | 750 | 650 | |
50~64歳 | 750 | 650 | |
65~74歳 | 750 | 650 | |
75歳以上 | 750 | 650 |
スポーツをしている人は、発汗量が多い運動で皮膚からのカルシウム損失が増えることが報告されています。
そのためアスリートは運動をしていない人よりも多めに摂取するのがよいと考えられています。
現在のところ、疲労骨折予防のためのカルシウム摂取量は1日あたり1500mgが推奨されています。
運動と骨の関係を見ると、運動により酸素流量や血流が良くなり、骨を強くする可能性がある一方で、過度の運動や過度のダイエット、低エネルギーアベイラビリティ(基礎代謝や日常生活を送るためのエネルギーが不足すること)により骨の代謝にマイナスの影響があることも分かっています。
スポーツをする人では、これらのことを考慮してカルシウムを摂取するのがよいでしょう。
カルシウム不足による影響
カルシウムが慢性的に不足すると骨量が減少します。それにより骨粗鬆症が生じ、骨折リスクが増加します。
子どもの場合は骨や歯の形成不全、くる病といった症状が現われます。
また体内のカルシウムが足りない状況が続くと、骨に貯えられていたカルシウムが血液へ溶け出します(カルシウムパラドックス)。
溶出した余分なカルシウムは血管などに沈着し、高血圧や動脈硬化につながるおそれがあります。
カルシウムの過剰摂取による影響
食事で摂りすぎることはまずありません。しかし、サプリメントは簡単に必要量を摂取できるため摂りすぎには注意が必要です。
過剰摂取が続くと、高カルシウム血症になり腎臓や血管に障害が現れたり、尿路結石になることもあります。
カルシウムの効率的な摂取方法
カルシウムの吸収率は、乳製品で約40%、小魚約30%、野菜約20%です。
中でも牛乳やヨーグルト、チーズなどの乳製品には、カルシウムの吸収を促進するカゼインホスホペプチド(CPP)や乳糖が含まれているため、他の食品に比べて吸収率が高い特徴があります。
また強い骨を作るためには、カルシウムの吸収を助けるビタミンDを一緒に摂ることも有効です。
このビタミンは日光を浴びると自然と体内で合成されます。
しかし最近では、屋外でスポーツをしているアスリートでも不足していたという報告もあるため、カルシウムと一緒にビタミンDを多く含む魚(鮭、マス、いわし、しらす干しなど)やきのこを食べるのがよいでしょう。
その他、カルシウムと一緒に摂りたい栄養素は、ビタミンKです。
カルシウムが骨に沈着するのを助け、納豆や青菜、ブロッコリー、海藻(のり、もずくなど)に多く含まれています。
またマグネシウムも骨の弾力を維持するのに役立ち、豆腐、魚、厚揚げ、海藻に多く含まれています。
これらはマグネシウムだけでなくカルシウムも多く一緒に摂取できるメリットがあります。
カルシウムまとめ【要約】
・カルシウムは、強い骨や歯を作る材料、筋収縮や神経の伝達などに使われる
・カルシウムは乳製品、大豆製品、魚、青菜などに含まれている
・アスリートのカルシウム必要量は一般人よりも多めと考えられており、疲労骨折予防のためのカルシウム摂取量は1日あたり1500mgが推奨されている
・カルシウムが不足すると骨粗鬆症やくる病を生じ、骨折のリスクが高くなる
・カルシウムと一緒にビタミンD、ビタミンK、マグネシウムを摂って丈夫な骨を作ろう
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