番狂わせはどのスポーツでも起こり得るものです。
しかし、サッカーでは「得点が入りにくい」「足でボールを扱うために不確定要素が多い」といった理由から他のスポーツよりも番狂わせが起こりやすいスポーツとされています。
サッカーの最高峰の舞台であるFIFAワールドカップでも同様の番狂わせは起こったことがあります。
今回はその番狂わせについてとFIFAワールドカップで過去に起こった番狂わせを紹介します。
番狂わせとは
番狂わせとは予期せぬ事態により物事が思惑通りに進まなくなることを指します。
スポーツの世界では、格下と思われているチームが格上と思われているチームに勝つことが「番狂わせ」と言われています。
この「番狂わせ」と言う言葉は江戸時代から存在するとされてます。
「番」とは物事の順序を指す言葉で、それが「狂う」ということから「予期せぬ事態によって支障が生じる」という意味で「番狂わせ」が用いられるようになります。
番狂わせの由来
相撲の関取には階級があり、下から「十両」「前頭」「小結」「関脇」「大関」、そしてトップの座である「横綱」となります。
その下の階級(力士構成員)もあり、下から「序の口」「序二段」「三段目」「幕下」があります。
その階級ごとに順位が書かれており、その書かれた順位表のことを「番付」と言います。
この番付の格下が格上を倒し、「番付を狂わされた」というところから来ているとされています。
番狂わせの英語表記とは
番狂わせは英語表記でも使用されることがあります。
Upset
Upsetという言葉は、直訳すると「動揺」や「不安」などの意味を持ちますが、スポーツや政治の業界では「番狂わせ」と同様の意味で用いられています。
Upsetの語源は様々ありますが、1919年にサラトガ競馬場で行われたサンフォードメモリアルステークスでアメリカ競馬史上最強馬の1頭であるマンノウォーを唯一破った馬である「Upset」に由来してるとされています。
Giant-killing
Giant-killingは直訳すると「巨人殺し」で、日本語では「大物食い」に当たります。
様々な由来はありますが、日本でも有名な「ジャックと豆の木」の元になった「ジャック・ザ・ジャイアント・キラー(巨人殺しのジャック)」から来ているとされています。
ワールドカップで起こった歴代の番狂わせ
ワールドカップでも番狂わせが発生した時もあります。
今回はその中でも一部紹介します。
1950年アメリカ合衆国VSイングランド
1950年6月29日にブラジルのベロオリゾンテで行われたグループリーグ第2戦でアメリカとイングランドが対戦しました。
イングランドは当時、トム・フィニーやビリー・ライトらを擁する銀河系軍団で知られており、常勝軍団であるブラジルと共に優勝候補に挙げられていました。
それに対し、アメリカはセミプロ数名を除いたら全選手がアマチュア選手という現状でした。
しかし、結果アメリカが1-0でイングランドを制することになりました。
このことは「FIFAワールドカップ史上最大の番狂わせ」と評され、FIFAからも公認されています。
1966年イタリアVS北朝鮮
1966年7月19日、イングランドのミドルズブラで行われたグループリーグ第3戦で、イタリアと北朝鮮が対戦しました。
北朝鮮は大会前の評価が低く、イタリアが勝つだろうと予想されていました。
しかし、結果、北朝鮮が1-0でイタリアに勝利することになります。
敗退が決まったイタリアの選手たちは帰国後、サポーターからトマトをぶつけられるなど問題となりました。
2002年フランスVSセネガル
2002年5月31日、韓国のソウルで行われたグループリーグ初戦で、セネガルとフランスが対戦しました。
フランスは前回大会の覇者で、「UEFA EURO 2000」や「FIFAコンフェデレーションズカップ2001」の優勝していたことから優勝候補筆頭に挙げられていました。
直前の親善試合でチームの司令塔であるジネディール・ジダンが負傷したものの、ティエリ・アンリ、ダヴィド・トレゼゲ、ジブリル・シセといった各リーグの得点王3人を擁するため、初出場のセネガルよりもフランスが優勢とされていました。
しかし、セネガルが先制し、そのまま1-0でセネガルがフランスを破り勝利することになります。
2014年グループDコスタリカ
2014年に開催されたFIFAワールドカップのグループDも番狂わせとして話題となりました。
グループDには、FIFAランキング7位のウルグアイ、9位のイタリア、10位のイングランドの3カ国が入り、「死の組」となります。
その中で、FIFAランキング28位のコスタリカもこのグループDに入っており、サッカーファンからは「3強1弱」と言われていました。
しかし、コスタリカは初戦のウルグアイに勝利すると、2戦目のイタリアにも勝利し、死の組であるDグループを一番乗りで突破することになります。
その後、コスタリカの勢いは止まらず、史上初のベスト8まで勝ち進む結果となりました。
死の組を脱した番狂わせとして今も語り継がれています。
まとめ
今回はFIFAワールドカップで起こった番狂わせについて紹介しました。
サッカーは比較的番狂わせが起こりやすいスポーツとされていますが、番狂わせはスポーツを観戦する醍醐味の1つでもあります。
2022年の11月にカタールで行われるFIFAワールドカップではどのような番狂わせが起こるのか楽しみです。