趣味で楽しむ人がとても多い釣り。
スポーツとしてはトーナメントに出場するバスフィッシングが知られていますが、実はその他の釣りもスポーツとして楽しむことができるのです。
大会に出場して競えるほか、誰でも世界記録を樹立して歴史に名前を残すことも可能。ここではスポーツとしての釣りをご紹介します。
投げ釣りのスポーツ
砂浜で長い竿を振って仕掛けを遠くに飛ばす投げ釣り。より遠くに飛ばして、沖のポイントにいるキスやカレイなどを釣るものですが、この「遠くに飛ばす」という部分だけを競技化したスポーツがあります。それは「キャスティング」。
陸上の投擲(とうてき)競技のように、オモリを飛ばした距離を計測して競います。竿やリールは自由ですが、オモリの重さと糸の太さによって種目が分かれていて、最も飛ぶものではその距離は200m以上にも。特別に改造されたリールを使い、一般的な投げ釣りでは使えないスイング投法などで豪快に投げます。
また投げ釣りの場合、全日本サーフキャスティング協会がキスやカレイの投げ釣り大会などを開催。クラブ対抗や全日本の大会も行われ、その結果で段位も認定しています。
へら鮒釣りのスポーツ
日本では昔から「釣りは鮒(ふな)に始まり鮒に終わる」と言われてきました。
単純な仕掛けを使い、近くの野池で気軽に釣れるのに奥深いのが鮒釣りの世界。近年では河川改修や池の埋め立てで鮒を釣れる場所が激減し、その代わりにへら鮒を放流する管理釣り場が増えました。
その結果始まったのが、スポーツとしてのへら鮒釣り。時間内に釣った総重量で勝敗を決めるトーナメント大会などが各地で開かれ、勝ちを重ねるとJHPA(日本へら鮒プロ認定協会)がプロとして認定。プロ大会に出場することもできます。
マス釣りのスポーツ
ニジマスなど、トラウトと呼ばれる魚は自然の川や湖で釣るネイティブ系の釣りと、管理釣り場で釣るエリア系の釣りに分かれます。どちらでも数やサイズを競う大会は開かれますが、特に盛んなのがエリア系。
管理釣り場や釣具メーカーなどが主催する大会が各地で頻繁に行われています。
その多くは数釣りを競うもの。より多く釣るため、ファイトに時間がかかる大物を避け、ネットに入った瞬間にフックリリーサーという道具で針を外すなど、速度に特化した釣りを展開。中には優勝賞金が150万円という大規模な大会もあります。
誰でもできるスポーツフィッシング
これまでご紹介した大会では、熟練した達人がトップを競うため、素人が優勝することはまず不可能。しかし一方で、運が良ければ誰でも世界一を狙えるスポーツフィッシングもあります。
それは「IGFA(インターナショナルゲームフィッシュ協会)」のルールに従った釣りをすること。
IGFAは1939年にアメリカ自然史博物館の会議で発足した、アマチュアの釣りの普及・振興と釣魚の記録保全を行う団体です。協会では公式記録を認定するIGFAルールを制定。
この1939年がルールに基づいたスポーツフィッシングの幕開けと考えられています。IGFAルールに準じた釣りをすれば、大物を釣った場合に申請して世界記録に認められる可能性も。日本ではJGFA(ジャパンゲームフィッシュ協会)が窓口となり、日本記録の認定も行っています。
IGFAルールの一例
IGFAルールは特に難しいものではありません。主なルールは以下のようなものになります。
・電動リールは使用禁止。
・ワイヤーラインは使用禁止。
・釣り針の数は2本まで。
・取り込みのネットは長さ2.44m以内。
・釣り人以外が釣り竿やリール、釣り糸に触れてはいけない。
・釣り人以外は、魚を取り込む時に釣り糸先端のリーダーと呼ばれる部分に触れることはできるが、釣り人から1m以上離れてはいけない。
・魚とのファイト中に船縁(ふなべり)などに釣竿をもたせかけてはいけない。
・何本かの釣竿を出していて同時に魚がかかった場合は、最初にファイトした魚のみ申請できる。
・禁猟区、管理釣り場などでの釣りは申請不可。
その他、細かい規定がたくさんありますが、基本的に魚と人が1対1で対等にファイトすることを想定しています。
そしてラインクラスといって、使った釣り糸の強度によって細かくクラス分けが行われ、その中で最高記録が認定されます。
ルールを把握しておき、これは大きいという魚を釣った場合、本人が釣ったことを証明できる写真や、魚種、長さ、重さがはっきりわかる写真を撮り、使ったラインのサンプルなどと合わせてJGFAに報告すれば、日本記録や世界記録に認定される可能性も。
ラインクラス部門の対象魚はある程度決まっていますが、そういった規定が少ないオールタックル部門なら、マイナーな魚でも申請が可能。
一般的に報告されているその魚の最大サイズの2分の1より大きく、まだ誰も申請していなければ、認定されるかもしれません。
まとめ
投げ釣りやへら鮒つり、エリアトラウトの大会はスポーツとしてかなり難易度が高い世界。
一方、IGFAルールは一般的な釣りのルールをほんの少し厳格にしただけなのに、世界記録まで狙えます。素人にとっても夢のある世界。
趣味で釣りをする方はIGFAのルールや申請法を調べておけば、釣りの楽しみがさらに広がるかもしれません。
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