腕相撲を英語にしただけと思われがちなアームレスリング。しかし、実は腕相撲とは別のスポーツで、世界に目を転じればプロもいるのです。
今回はアームレスリング選手になる方法や大会の種類、トップを目指すために必要な筋力、テクニックなどをご紹介します。
腕相撲とアームレスリングの違い
誰もがやったことのある腕相撲の場合、ルールは暗黙の了解ということがほとんどですが、アームレスリングには厳格なルールがあります。
特に大きな違いは、肘を置くエルボーパッドがあること。ここから肘が離れてはいけないというルールのおかげで、より純粋に力とテクニックを競うことになります。
また、握り合う方ではない手はグリップバーを掴むことも特徴。スタート前のセットアップの姿勢などにも細かな規定があります。大会では男女それぞれに体重別のクラス分けがあり、右腕と左腕でもクラス分けされています。
アームレスリング選手になるには
アームレスリング選手には特に資格はなく、日本国内にはプロと言える人もいない状態です。逆に言えば皆がアマチュアなので、大会に出場すれば、自分はアームレスリング選手だと名乗ることができます。
日本で試合に出るには
日本の競技人口は約10万人といわれており、誰でも参加できる大会が各地で開催されています。強くなればより大きな大会への出場も可能。
ただ、全日本レベルの大会で優勝しても賞金は0円から数万円程度。日本ではアームレスリングだけで生活するのは難しい状況です。それでも多くのアームレスラーが「腕っ節日本一」を目指して、仕事などの合間に鍛錬し、大会に出場しています。
プロとして活躍するには
アマチュアの場合、たとえ世界大会で優勝しても賞金はほとんどありません。しかし、アメリカやロシアなどには高額な賞金が出るプロの大会もあります。
こういった大会に出場できるのは、アマチュアの世界大会では優勝して当たり前という強豪ばかり。この大会は主催者から招待状を貰って初めて出場できます。
そのためには圧倒的に強い、または小さな体で無差別級に勝つなど、プロとして見てみたいと思わせる目立った活躍が必要です。また、アメリカの「ワールドアームレスリングリーグ」などのようにショービジネスとして成功している団体もあります。
この場合、大会の賞金総額が2000万円以上ということも。
世界で人気を獲得できれば、こういったプロリーグで大活躍する道が開けるかもしれません。
アームレスリング選手に求められるもの
プロになることは難しくても、大会で世界一を目指すことはもちろん可能。実際に日本人の世界チャンピオンも誕生しています。
勝つために必要なのは、筋力とテクニック、そして強いメンタル。パワーだけではなく、アームレスリングに特化したトレーニングが必須です。
必要な筋力
アームレスリングに求められるのは、まずは腕の力。手首、前腕、上腕の筋肉はもちろん重要です。しかし、実はアームレスリングは全身運動。
腕を引き、内側に倒すためには胸の筋肉が必要ですし、自分の腕を固定し、相手の腕を引くためには背中の筋肉も総動員することになります。トップを目指すには全身をバランスよく鍛える必要があるのです。
また、とても重要になるのが瞬発力です。パワーでは相手を圧倒していても、試合開始の瞬間のダッシュ力で劣っていては勝つことはできません。
さらに、大会では優勝までに1日で7試合するようなことも。長引くと次の試合に大きな影響が出るため、一気に決着をつける瞬発力がより重要になってきます。
テクニック
アームレスリングで筋力と同じかそれ以上に重要なのが組手のテクニック。試合は自分の力を100%発揮しながら相手が力を発揮できない体勢に持ちこむ技の競い合いとなります。
例えば「トップロール」というテクニックでは、肘を支点にテコの原理で腕を上に引き上げることで、相手の指を伸ばしていきます。手が開いてしまうと、これ以上力を出すことはできません。
また「フック」というテクニックは背中の筋肉で手前に引くのですが、そのときに自分の手の小指側で相手の手を引き下げることで力を発揮できなくします。
このような技の存在がアームレスリングの醍醐味。どれだけパワーがあっても素人が熟練者に勝つことはほとんど不可能と言われているのは、相手に力を出させないテクニックがたくさんあるからなのです。
そのためトップを目指す人の多くが「アームレスリング道場」などに参加し、技を磨いています。
メンタル
開始前から組手の攻防が続くアームレスリングでは、相手を気合いで圧倒するメンタルの強さも重要。
強い選手になるほど、気力負けしない精神力が試されると言われています。
まとめ
日本では一見マイナーな競技ですが、熱い情熱を持って挑戦している選手も多いアームレスリング。
世界に羽ばたけばプロとして大活躍できる可能性もあります。また、全身をバランスよく使う運動で、生涯スポーツとして楽しめるのも魅力。
もしも「腕っ節の強さ世界一」にロマンを感じたら、あなたも挑戦してみてはいかがでしょうか。