華やかなプロスポーツ界。しかしどの選手にも引退のときはやってきます。
多くのプロスポーツ選手は20代から40代に引退。その後には長い「セカンドキャリア」が待っています。その実態はどうなっているのでしょうか。
ここではプロスポーツ引退後のセカンドキャリアの実態についてご紹介します。
各スポーツの平均引退年齢
スポーツ選手の引退時期は、競技によって大きく違います。
例えば年齢を重ねても活躍できるボートレースの場合、平均引退年齢は50歳。とはいえこれは他のスポーツに比べて極端に遅くまで活躍できる競技です。
逆に引退時期が早いのはボクシングで、平均は23歳となっています。プロボクシングではチャンピオンにならない限り生活にも困る年収という場合が多く、一度試合に負けただけで見切りをつける選手が多くなっているのです。
ではその他の競技の平均引退年齢はどうなっているのでしょうか。プロまたは全国大会レベルの競技ではこのようになっています。
・フィギュアスケート=24歳
・水泳=25歳
・ラグビー=26歳
・体操=28歳
・柔道=28歳
・バスケットボール=30歳
・バレーボール=30歳
・卓球=30歳
・バドミントン=30歳
・テニス=35歳
・競馬=40歳
プロ野球
プロ野球選手の平均引退年齢は29歳。
現役時代の平均年収は3000万円台と言われていますが、数億円プレイヤーが平均を押し上げていますので、多くの選手は引退の段階では一般的なサラリーマンの生涯賃金に達していないことになります。
当然、引退後はセカンドキャリアについて真剣に考える必要があります。ところがNPB(日本野球機構)のアンケートによると、みやざきフェニックス・リーグに参加した若手選手のうち、セカンドキャリアについて考えていない選手は約半数。はっきり「考えている」と答えた選手は6%ほどという結果でした。
では実際のセカンドキャリアはどうなるのでしょうか。
ある年にプロ野球で戦力外通告を受けた選手の進路を見ると、別のチームの選手や育成選手として残ったのは約23%。監督やコーチに就任したのは約7%でした。最も多いのは球団職員やチームスタッフとしての再雇用で、約21%。およそ半数がプロ野球の世界に残ることになります。
その他の野球関係では、独立リーグと社会人野球に移るのが約20%。野球解説者や評論家が約3%。希望者は多いものの学生野球の指導者になれるのは約2%。全てを合計すると約75%、4人中3人は野球関係の仕事を続けられることになるのです。
一方で、全く無関係な一般企業に就職する人も10%ほど。独立・起業して会社経営者になりたいと考えている選手も多く、今後は元プロ野球選手による起業も増えるかもしれません。
Jリーグ
Jリーグの場合、平均引退年齢は26歳。現役時代の平均年収は2000万円台で、収入の少なさとキャリアの短さから野球以上にセカンドキャリアが重要になっています。
そのためJリーグが開設していたのが、JCSC(Jリーグキャリアサポートセンター)。ところが2012年に廃止されています。その理由は、利用する選手がほとんどいなかったから。
Jリーグでは戦力外通告を受けた選手のほとんどが、リーグを下げるなどしてサッカーを継続するという決断をします。人生を賭けてサッカーに打ち込んでいる選手に対して、サッカー後の人生を考えるのは現実的ではないのです。
特にセカンドキャリアが問題になるのは、実はJ1の選手。トップチームには幼い頃からサッカー一筋で活躍してきた選手が多く、引退後にサッカー以外の人生を考えられない選手が多くなっているのです。一方でJ2やJ3は大卒選手の割合が増加。セカンドキャリアに目が向いている選手も多くなっています。
では引退したJリーガーの就職事情はどうなっているのでしょうか。
一般企業に就職する場合、中途採用扱いとなり不利な場合もありますが、元Jリーガーという経歴は有利になることも。スポーツメーカーやスポーツジム、スポーツショップに勤める他、粘り強く目標に向かって努力する姿勢から、営業職で活躍している元選手も多いようです。
大相撲
大相撲の平均引退年齢は25歳。それまでに番付を上げ、引退後に親方になれば、大相撲の世界に残れます。しかしほとんどの力士は関取になれずに引退。中学・高校卒業後に入門し、相撲一筋に打ち込んできた彼らにもセカンドキャリアが待っています。
引退した力士の仕事として有名なのはちゃんこ料理店の経営。他にも先輩力士をマッサージしてきた経験を生かす整体師や、筋力を発揮できる介護職員などの職業が知られています。
さらに日本相撲協会では引退後の力士を支援する一般社団法人力士セカンドキャリア推進協会を設立。支援企業に引退した力士を紹介している他、希望する職種に就くためのアドバイスも行っています。
まとめ
近年では、引退後に0からやり直すセカンドキャリアではなく、アスリートとしてのキャリアはトータルな人間としてのキャリアの一つと考える「デュアルキャリア」という概念も登場。
その中では、目的意識を持って全力でスポーツに取り組んだことは次のキャリアでも大きな価値になるとされています。
人生100年と言われる時代。今後は引退後も含めたスポーツへの取り組みや指導が求められるかもしれません。
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