皆さんは動画やテレビで、スポーツニュースを見ることはあるでしょうか。野球やサッカー、バレーボールなどといった有名どころのスポーツから、少々マイナーなスポーツまで、数多くのスポーツがあります。
大会で日本人が大きな成果を上げればそれがニュースになりますし、大会がなくてもスポーツ選手のインタビューが記事になることは少なくないでしょう。テレビの中で格好よく活躍する選手に憧れて、自分も同じスポーツで有名になってみたいとその道を志す若者は少なくないに違いありません。
しかし、競技人口が多いスポーツであればあるほど、スポットライトを浴びることのできる選手は一握りとなります。大きな大会があったり、賞金が出たりということも多い反面、頂点まで上りつめるのは並大抵のことではありません。
反面、マイナーなスポーツは、あまりメディアで取り上げられることが多くはないものの、日本代表への道がメジャースポーツと比べて開けている可能性もあります。
そう考えた時、そもそもこの世界にスポーツはどれくらいあるのだろう?と思った人は少なくないのではないでしょうか。そして、それらのマイナースポーツは一体どこから生まれてくるのだろう、と。ひょっとして、自分にも新しいスポーツを作ることができるのでは?と考える人もいるかもしれません。
実際この世界にある多くのスポーツは、メジャースポーツも含め、そんな誰かの自由な発想から生まれて広まっていったものばかりなのです。
今回はそんな、新しいスポーツを作るにはどうすればいいのかについて、実際にそういった企画を立てた方々の実例も踏まえてご紹介します。
ニュースポーツを作る|運動しながら考える
実は、こうしている間にも“新しいスポーツを作ってみよう”と考えている人は少なくありません。
例えば実際に、みんなで新しいスポーツを作ってみよう!という企画を立ち上げた人達がいます。2010年の10月、WEBマガジン『OSOTO』の編集部は“Make New Sports!”という企画を行いました。
「せっかくスポーツを楽しむのなら、スポーツを作るところから楽しんじゃおう」というコンセプトで始まったこの企画には、10名の大学生・大学院生・社会人の方々と、アーティストのキスヒサタカさんが参加しました。キスヒサタカさんは、体を使って楽しめるアートを提案している方だといいます。
スポーツを作るというのだから、とにかく机の上でルールを考えるところから始めるべきでは?と思うかもしれません。しかし、彼等が最初に始めたことは外に出てみることでした。スポーツの多くは、屋内で風を感じながらやるものです。
運動しながら、“どういった運動ならば盛り上がることができるか、どういった道具ならば簡単に用意できるのか”などを、自由に考えてみるところからスタートしました。
ニュースポーツを作る|道具の有無
先述したように、どんな道具を使うのか?は非常に重要なポイントと言えます。多くのスポーツの起源を見るとわかるように、スポーツの中には“貧しい子ども達でも楽しめるように”というコンセプトで作られたものが数多く存在するのです。
そもそも、せっかく作ったスポーツなのに、“道具が高くて用意できないから遊べない”となってしまえば、多くの人に広めていくのは難しくなってしまうでしょう。
ゆえに、まずは“一般の人が気楽に公園に持ってくるような道具から考えてみよう”と“Make New Sports!”メンバーは考えて実行に移しました。
例えば、タオル。マラソンをする人が汗を拭くのにタオルは欠かせませんし、同時に何処でも安価で購入できる品物の一つです。タオルを丸めてボールにしてみたらどうか?という着想から始まり、簡易的にボールを作って投げてみるということからスタートしました。
ちなみに、使う道具の安全性という意味でも、タオルという選択は正しかったのかもしれません。というのも、人に向かって投げる&キャッチするということを行うボールは、当然受け取り損ねる可能性もあります。
うっかり顔に当たったりしても、タオルで作ったふわふわのボールならば人を傷つける心配はないでしょう。現在ある多くのスポーツの中で、最も重く硬いボールを使うスポーツではないかと言われているのがボーリングですが、このボールが重く硬くても問題ないとされるのは人に向かって投げるものではないからなのです。
もちろん、タオルでボールを作った場合は、スピードのある球を投げることは難しくなるでしょうし、またボール状態にしたタオルが解けてボールではなくなってしまう可能性もあります。また、「本当にタオルである必要があるのか?」という疑問点も浮上してくることでしょう。
そうなれば、次に考えるべきは“どうしてもタオルで作るのであれば、公平なルールになるように、タオルの材質やボールの作り方をしっかりと設定するべき”となります。
そう、実際に体を動かして道具を使ってみてこそ、本当に必要なルールや考えるべきことが浮かんでくるものなのです。
ニュースポーツを作る|ルールを考える
仮に球技として考えた場合、ルールには大きく分けて2通りがあると言えるでしょう。
1つは、制限時間内に多くの点数を取ったチームが勝ち、というルール。サッカーや、ラグビー、アメリカンフットボールなどがこれに該当します。
もう1つは、特定の点数を先に取った方が勝ち、というルール。テニスや卓球、バレーボールなどがこれに該当することでしょう。
もちろん、これ以外にも野球のように“特定の条件を満たすと攻守が入れ替わり、それまでは時間制限も点数制限もない”というスポーツも存在するので一概には言えませんが、多くの球技がこの2つのパターンのどちらかに入るのは間違いないようです。
どういった条件で勝ち負けがつくのかどうか、そしてそうやって競い合う状態をいかにプレイヤーたちが楽しめるかどうか、それがスポーツを作るにあたり鍵となる点だと言っても過言ではありません。
同時に、作ろうとしているスポーツを楽しむ層をどのように想定するのか、それによっても必要なルールが変わってくることでしょう。“Make New Sports!”メンバーの場合は、「プレイするコートの広さを、選手達によって変化させるというルールはどうか?」という意見も出ました。
具体的には「コートの広さをプレイヤーの歩数で決めれば、子どもや女性にはコートが小さくなっていいのではないか」という提案です。
そう、新しいスポーツを作るのであれば、既存の発想に囚われる必要はありません。状況と選手によって、好きなようにコートの広さを変えることができる、あるいはボールの材質を変えてもOKというルールを設定してもいいのです。
ただし、安全性や公平性だけを重視していても、誰もが楽しめるスポーツは生まれません。最終的に最も大切なのは、いかにプレーする選手達が楽しんで行うことができるかどうか、であるのは間違いないことでしょう。
ニュースポーツを作る|マイナースポーツの数々
新しく生まれていくマイナースポーツの中には、その起源を知れば知るほど「その発想はなかった!」と驚かされるものが数多く存在しています。
例えば、アルティメットテーザーボール。このスポーツはなんと、ボールの他にスタンガンを武器として用います。もちろん電圧は下げて安全性を考慮したものではありますが、これだけ聞くと「あんな怖いものを何故スポーツで使おうと思ったの?」と思う人も少なくないのではないでしょうか。
このスポーツを作るにあたり、考案者たちがスタンガンを使うことを決めた最大の理由は“体格差に囚われず、誰もが楽しめるスポーツを作ろう”ということでした。
スタンガンで敵の足を止めることができるため、アメフトのように小柄な人間がタックルでふっとばされて不利になる、ということがないのではないかと考えたのです。
また、架空の世界のスポーツを現実に取り入れられないかと考えた例もあります。それが、あのハリーポッターの世界観を元にしたスポーツであるクィディッチです。
もちろん現実の世界では箒に乗って空を飛ぶことはできないので陸上で行うことになりますが、箒に跨りながら行う点や、ハリーポッター世界のクィディッチと同じように、シーカーやビーターといったポジションがあることが共通しています。
もちろん、あの世界のようにスニッチという“羽根が生えていて飛んで逃げていくボール”はないのですが、それを“スニッチと呼ばれる黄色のタグを腰に付けたプレイヤー”に置き換えることで再現しています。現実世界でも、スニッチを捕まえたチームは即座に勝利となるのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。身近な道具を利用してスポーツを考えてみる、あるいは架空の物語を元にしてスポーツを考えてみるなど様々な発想があります。
今こうしている間にも、次から次へと新しいスポーツが生まれており、それらがどこかの未来ではメジャー競技として、何億人もの人々に愛されるスポーツになっていることも充分に考えられるのです。
興味を持った方はぜひ、自分でも新しいスポーツの考案に挑戦してみてください。多くの人に愛される次のニュースポーツを考え出すのは、あなたかもしれません。
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