スポーツをやるにあたり、皆さんが一番重要だと考えることは何でしょうか。
個々の身体能力が生かせるスポーツがいい、という人もいるでしょう。
足の速さで勝負できるスポーツがいい、小柄でもできるスポーツがいい、あるいは逆に大きな体を武器にできるスポーツがいいという人もいるのではないでしょうか。
または、競技の中身そのものよりも、仲間との絆を深めあえるようなスポーツがいいと考える人も少なくないことでしょう。
そんな中、子供達に勧められるようなスポーツや、小学校の体育の授業に導入されるスポーツ、年輩者でもできるスポーツと言われているものには共通点があります。
それは、少しでも怪我をする危険性が低い、安全なスポーツであるということ。
ボールが柔らかいものであるなど、体がぶつかり合う機会が少ないスポーツが選ばれる傾向にあります。
むしろ、老若男女問わずできるように、という工夫から生まれたスポーツもあることでしょう。
では逆に、子供にさせるのは少々危ないかもしれないスポーツ、危険度が高いと言われることもあるスポーツというのはどのようなものでしょうか。
タックルによって敵の攻撃を止めることのある、アメリカンフットボールのようなスポーツでしょうか。
実は、それらとはまったく別の意味で、少々危険かもしれないと言われる珍しいスポーツがあるのです。
今回はそんなちょっとスリリングなスポーツ、アルティメットテーザーボールについて詳しく解説していきます。
アルティメットテーザーボールの起源・歴史について
この競技がどう危ないのかを説明するよりも前に、この競技の起源について解説していきます。
アルティメットとは文字通り究極を意味する言葉です。この競技は、別名をアルティメット・タック・ボールと言います。
カナダ放送局CTVの情報によれば、アルティメットテーザーボールを考案したのはアメリカに在住するドイツ人のエリック・ブンシュさんら3人のグループであるとのこと。自分達で新しいスポーツを生み出してみたいと考える人は少なくありません。
彼等もまた既存のスポーツから新しいものを生み出したいという探究心に燃えていました。きっかけとなったのは空気銃を使ってさまざまなルールで敵と戦う、米国で盛んな“ペイントボール”であったのだそうです。
そこから飛び出し、「さらに面白くて、新しいスポーツを」との要望に応えるべく、この刺激的なスポーツを考案するに至ったようです。
3人は“アルティメットテーザーボール”の組織化に着手し、アメリカのカリフォルニア州に2チーム、フィラデルフィア州とカナダのトロントに各1チームずつ、計4チームによるリーグを設立するに至りました。
公式サイトもすでに開設されています。
日本におけるアルティメットテーザーボールの歴史について
残念ながら、このスポーツは生まれて間もないということもあり、まだまだ日本での認知度はほとんどないようです。
現在ではそもそも日本でプレイできる場所がないという情報もあります。
アルティメットテーザーボールと関連のあるスポーツ
アルティメットテーザーボールの生みの親である3人が、この競技を生み出すきっかけとなったスポーツが、アメリカで人気のペイントボールというスポーツです。インクを付着させるペイント弾を使って敵を攻撃する、一種のサバイバルゲームに近いかもしれません。
かつてアメリカの牧場主達は、数種類存在する牛達を目的別に選別するため、ネルスポットガン(ペイント弾を発射する道具です)を使用し、マーキングを行っていました。
そんなネルスポットガンを使用し、若い牧場主達が敵味方に分かれて撃ち合いながら、敵陣地のフラッグを奪い合ったのがこのスポーツの始まりであったようです。
やがてこのペイントボールという競技はアメリカにおける正式な競技になり、全米で大ブームを巻き起こしました。現在、世界のペイントボールの競技人口は1000万人を超えるとも言われています。
この競技は、1試合5分で行われます。1チーム最大5名のチームを作り、同時に2つのチームで対戦します。それぞれのスタート地点からレフリーの合図でゲーム開始となります。
フィールドにはタイヤなどの障害物がいくつもあり、それに身を隠しつつペイント弾を発射して相手プレーヤーを攻撃していくことになります。
このペイント弾に打たれてインクをつけられてしまった選手はアウトとなり、フィールドの外に退場しなければなりません。
最終的には、試合時間内に相手側のスタート地点にフラッグを持っていく事が出来たチームが勝利となります。
いかに敵の人数を減らしつつ、フラッグを運ぶか、運動神経のみならず頭脳も要求されるスポーツと言えるでしょう。
アルティメットテーザーボールの競技人口について
まだまだマイナーなスポーツであるため、発祥の地であるアメリカにおいても競技人口は多くはありません。
現在、本国アメリカにおいてもチームの数は少ないのです。
ロサンゼルス・ナイトライト、フィラデルフィア・キラーワッツ、トロント・テラー、サンディエゴの合計4チームであるとのこと。
ですが、これからまだまだ増える予定ではあるようです。
アルティメットテーザーボールのルールについて
このスポーツはフットサルと同じコートで行うことができます。
用意するものは、直径60cm程のやや大きなボール。バランスボールと同じくらい、と言えば皆さんにも想像がつきやすいかもしれません。
そしてなんと言っても特筆するべきは、このスポーツでしか使わない特別なアイテム。なんとこのスポーツでは、スタンガンを武器として扱うのです。
ボールをゴールまで運び、シュートを目指すという点ではサッカーに近いものがあるでしょう。
しかし、サッカーと違うのはこのボールがサッカーボールより遥かに大きく、また手で触って運んでもOKだということ。
とにかく手で抱えて持ってもよし、味方にパスしてもよし。1チームは4人であり、試合は7分×3セットで行われます。
そして全員がスタンガンを持っており、敵のチームを妨害するためにこのスタンガンを使うのです。スタンガンの使用に特に制限はないようで、ボール保持者だけにしか使えない、回数が限られているといったことはないようです。
「スタンガンなんて人に向けて危なくないの?」と思う人もいることでしょう。
もちろん、このゲームで使うスタンガンは充分に安全性を考慮されています。というのも予め電圧を3~5mA程度に落とされており、普段使用される護身用のスタンガンの約10分の1程度の電圧に設定されているからです。
これは、輪ゴムでパチン!と叩かれたくらいの痛みであるとのこと。
何故スポーツにスタンガンを採用したのか。それは選手の体格差に左右されない競技を作りたかったからだと言います。
スタンガンで攻撃する仕組を作ることにより、体格の有利不利をなくそうという狙いがあったようです。
アルティメットテーザーボールの国際的な大会について
2012年3月に初の公式試合がタイのバンコクで開催されました。
まだまだアメリカ本土でもマイナー競技であることは否めないようですが、現在はスポーツチャンネルなどに売り込んでいるところであるとのこと。
ひょっとしたら今後、本当にプロスポーツとして成立する日も来るのかもしれません。
世界から見た日本のアルティメットテーザーボールの強さのレベル
残念ながら、まだ日本には上陸していないスポーツです。
スタンガンをスポーツ用として起用できるかどうかは日本の法律を考えると壁が高いと言えるかもしれません。
実際、トロントにチームを持っているカナダでは個人のスタンガン携帯が違法となっているそうです。
このチームは別のトレーニングを強いられているとのことで、若干の不利は否めないようです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。スタンガンを扱うということで、やや危険なイメージが強いスポーツであるかもしれません。
しかし、個人の体格差を問わずに勝負できるように生まれた、という点には魅力を感じる人も多いのではないでしょうか。
このように海外には日本人があっと驚くような不思議なスポーツ、魅力的なスポーツがたくさんあります。
日本に上陸する時が来るのかはわからないですが、日本語の紹介ページなども数多く存在しているので、興味を持った方は是非チェックしてみてください。