プロ野球のペナントレース終了後、10月に開催されるクライマックスシリーズ。
日本シリーズの出場権をかけて、セ・パ両リーグのシーズン上位3球団がトーナメント方式で対戦します。
今では当たり前になったクライマックスシリーズですが、一方でペナントレース1位の球団がそのまま日本シリーズに出場していた時代を覚えている方も多いはず。
クライマックスシリーズはいつ、どのようにして始まったのでしょうか。
今回は、クライマックスシリーズの歴史を調査。
セ・パ両リーグでの歴史をご紹介します。
クライマックスシリーズ導入以前
クライマックスシリーズのスタートは、セ・パ両リーグともに2007年です。
しかしクライマックスシリーズに繋がる制度は、それ以前に一方のリーグで行われていました。
まずはその歴史から。
昔のプレーオフ制度
クライマックスシリーズ導入の基礎となったのは、2004年からパ・リーグで始まったプレーオフ制度です。
しかし一言で「プレーオフ制度」と言ってもその方式はさまざま。
混同してしまうと誤解を招くことになりますので区別する必要があります。
まずはプロ野球スタート時期からのプレーオフ制度。これはペナントレースで勝率や勝利数が同率1位となったときに優勝決定戦として行うものでした。
ただしこれはルール上想定されていただけで、実施されたことは1度もありません。
その後、1973年から1982年にはパ・リーグが前期・後期の2シーズン制を導入。前期と後期の優勝チームが異なる場合に日本シリーズ出場権をかけたプレーオフを実施しました。
さらに1983年から1985年には、パ・リーグが変則的なプレーオフ制度を導入します。これは130試合終了時点で1位と2位のゲーム差が5ゲーム差以内の場合、最大5試合のプレーオフを実施し、レギュラーシーズンとの合計の勝率で順位を決定するというものでした。そして最大135試合の間に逆転の可能性がなくなった時点で終了というルール。
ところがこの3年間は優勝チームがすべて独走してしまい、プレーオフは一度も実施されませんでした。
また2001年から2006年にはセ・リーグが勝率1位と勝利数1位によるプレーオフを設定。ペナントレース終了時点で勝率1位のチームと勝利数1位のチームが異なる場合にはプレーオフを実施するというルールでしたが、こちらも該当することは一度もありませんでした。
2004年のプレーオフ制度
2004年にパ・リーグは、シーズン上位3球団によるトーナメント方式のプレーオフを開始します。細かなルールの違いはありますが、現在のクライマックスシリーズと基本的に同じ形でした。
これはリーグ優勝決定後の消化試合を減らすことを目的にしたもの。実際にレギュラーシーズンのAクラス入りの重要性が高まったため消化試合が減少し、パ・リーグは興行的に大成功をおさめました。
一方で2004年と2005年には2年連続でレギュラーシーズンを1位通過しなかったチームがプレーオフで勝利。日本シリーズも制してしまいます。そのためペナントレースのみで決まっていたセ・リーグ優勝チームとの優勝の価値の差が問題に。
当時、セ・リーグはプレーオフ制度の導入には消極的な姿勢を見せていました。
2006年のプレーオフ制度
2年連続でレギュラーシーズン1位チームが敗退したことを受け、2006年のパ・リーグのプレーオフでは、シーズン1位チームに1勝のアドバンテージが与えられることになりました。
するとこの年シーズン1位だった日本ハムがプレーオフでも優勝。
セ・リーグでも翌年からこの形式を採用して「ポストシーズンゲーム(仮称)」を開催することが決まりました。
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クライマックスシリーズのスタート
セ・リーグでも導入が決定した「ポストシーズンゲーム(仮称)」。
これに合わせて、名称も統一することが決まり、公募で選ばれたのが「クライマックスシリーズ」という名前です。
そして導入に合わせて、細かなルールの変更が行われました。
ペナントレースの順位決定
2004年から2006年までのパ・リーグのプレーオフ制度は、それによってペナントレースの最終順位が決まるというものでした。
しかしクライマックスシリーズではペナントレースの順位決定の要素は廃止。従来通り、ペナントレースの順位はペナントレースだけで決まることになりました。
試合数
第1ステージは3試合2勝制で、プレーオフ制度と同じ。
しかし2007年の第2ステージは、1勝のアドバンテージなしの5戦3勝制で実施することになりました。これはアドバンテージがあると早く決着がつく可能性があり、興行的に損だとセ・リーグが反対したから。
ところがその結果、セ・リーグはシーズン2位の中日がシーズン1位の巨人に3連勝して優勝。
やはりシーズン1位チームに有利にすべきだという論調になり、翌年からはアドバンテージを含む6戦4勝制となりました。
ステージの名称
各ステージの名称は、当初はプレーオフ制度と同じ「第1ステージ」「第2ステージ」でした。
しかし2010年シーズンからは第1ステージが「ファーストステージ」、第2ステージが「ファイナルステージ」に変更されています。
まとめ
パ・リーグからスタートし、セ・リーグも導入する形で始まったクライマックスシリーズ。
セ・リーグとパ・リーグでは歴史に違いがあることから、クライマックスシリーズでは面白い現象が起こっています。
それは胴上げ。
パ・リーグはかつてプレーオフ制度がレギュラーシーズン最終順位決定戦だったことが理由なのか、シーズン2位や3位だったチームがクライマックスシリーズで優勝した場合も胴上げをします。
しかしセ・リーグでは、シーズン2位や3位だったチームがクライマックスシリーズで優勝しても胴上げはしたことがないのです。
このようにセ・パで微妙な温度差もあるクライマックスシリーズ。
歴史を知るとより深く楽しめるのではないでしょうか。
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