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【沢村賞】条件や賞金について解説!厳しい選考基準とは?

プロ野球のレギュラーシーズンも終盤になると話題になるのが沢村賞。
芥川賞や直木賞のように人の名前を冠した賞ということで野球の賞の中でも目立っていますが、どのような賞かよく分からない方も多いのではないでしょうか。
今回は、プロ野球の沢村賞をご紹介。
その厳しい選考基準や賞金についても調査しました。

【沢村賞】概要

【沢村賞】条件や賞金について解説!厳しい選考基準とは?①

そもそも沢村賞は正式名称ではありません。
芥川賞の正式名称が芥川龍之介賞であるように、本来はフルネームで沢村栄治賞と呼ぶのが正式な名前です。

沢村栄治とは

沢村栄治氏は日本プロ野球が始まったばかりの頃に大活躍した伝説的な投手。1934年の日米野球ではベーブルースやルー・ゲーリックなどのスーパースター軍団を見事に抑え、その後、巨人の初代エースとなりました。
史上初の投手5冠に輝いた1937年の春季には先発24回で24回完投
後には史上最多タイとなる3回のノーヒットノーランも達成しています。
しかし太平洋戦争に召集されて戦死。
戦後の1947年に彼の背番号14は日本プロ野球史上初の永久欠番となり、同じ年に彼の功績を称えた沢村賞が創設されました

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沢村賞の意味

沢村賞はそのシーズンに最も優れていた投手に贈られる特別賞
しかし投手なら誰でも良いわけではなく、先発完投型投手を対象としています。
同じように大投手の名前を冠したMLBのサイ・ヤング賞と比較されることもありますが、サイ・ヤング賞は全ての投手が選考対象。
ちなみにサイ・ヤング賞が創設されたのは1956年で、沢村賞の方が歴史の長い賞なのです。
この沢村賞はセ・パ両リーグが対象
しかし1950年に日本プロ野球が2リーグ分裂した当時はセ・リーグのみが対象となっていました。
パ・リーグにも選考対象が拡大されたのは1989年からです。

賞金

沢村賞の賞金は300万円
これは年間MVP(最優秀選手賞)と同じ額で、シーズン全体を対象として選手に送られる賞金では最高金額となっています。
ところが日本シリーズMVPは100万円×スポンサー7社で700万円
システムが違うとはいえ、短期決戦の賞金の方が高くなっています。
ちなみに月間MVPの賞金は30万円で、交流戦MVPは200万円、オールスターMVPはこちらも短期なのに300万円です。
とはいえこれらの賞を受賞するような選手の多くは年俸が億単位。
彼らにとってはちょっとしたボーナス程度かもしれません。

【沢村賞】選考の条件

【沢村賞】条件や賞金について解説!厳しい選考基準とは?②

沢村賞は1981年までは新聞記者で構成された東京運動記者クラブ部長会が選んでいましたが、1982年以降は選考委員会方式に変更されました。
その選考委員会はプロ野球の元先発投手
2022年現在は堀内恒夫氏が委員長を務め、平松政次氏、山田久志氏、北別府学氏が名を連ねています。
全員が通算200勝以上というこの4人がまずは話し合いで選考。もし決まらない場合は多数決となります。

選考基準

一言で先発完投型といってもそれでは基準が曖昧。公平を期すために沢村賞には1982年以降、7項目の選考基準が設けられています。

・登板試合数:25試合以上
・完投試合数:10試合以上
・勝利数:15勝以上
・勝率:6割以上
・投球回数:200回以上
・奪三振:150個以上
・防御率:2.50以下

基準の重要度

上記の7項目が選考の大きな基準となりますが、全てを達成しなければ資格がないというものではありません
むしろ7項目のうちどれかに漏れがある投手の方が多いほど。
しかしこの項目を重視するのは事実で、年によっては「該当者なし」とすることもあります。
逆に全項目を満たしているにもかかわらず受賞を逃すケースも。
ダルビッシュ有投手は2008年と2011年に全項目を満たしながらも受賞を逃しています。
代わりに2008年に受賞したのは完投勝利がわずか5回と基準に満たない岩隈久志投手でした。しかし岩隈投手は勝利数、勝率、投球回、防御率でリーグ1位。完投数こそ少ないものの文句なしの受賞だったと言えます。

新基準

2018年から上記の7項目に補足項目が付け加えられました。
それは「先発登板時、投球回数7回で自責点3点以内の達成率」というもの。
このような項目が加わったのは、投手の分業化が進んでいるからです。
沢村賞は先発完投型投手を表彰するものですが、今では先発投手は100球前後で交代するのが常識。
10試合以上の完投試合や200投球回を達成する投手が激減しているため、その代わりに沢村賞独自の基準で定めたクオリティ・スタート(QS)の達成率を含むことにしたのです。
クオリティ・スタートは本来、先発投手が6イニング以上を投げて自責点3点以内に抑えたときに記録されるもの。
先発投手を評価する現代的な指標ですが、沢村賞ではそれよりも基準を1イニング長くしています。

重視される基準

7つある基準のうち、最も重視されるのは何でしょうか?
近年は完投試合数や投球回数が基準を満たさなくても受賞できる傾向があるのは明らか。
一方で、これを外したら受賞はほぼ不可能という項目もあります。
それは登板数と勝利数
1982年に7項目の指標が決まって以降、防御率が基準に満たなかった受賞者は12人いますが、登板数・勝利数が基準に満たなかったのは2人のみ。
さらに過去に遡ってもこの基準を満たしていない受賞者が他にいないことも合わせると、登板数と勝利数が少ない投手はまず受賞できないと言えそうです。
そして勝利数が最も多い投手が沢村賞を受賞する可能性は大
最多勝を逃した投手が沢村賞を受賞したのは1947年から2022年までの76回の歴史で19回、過去20年には3回しかありません。
それ以外は全て最多勝投手がそのまま沢村賞も受賞しているのです。

まとめ

先発完投型の投手を表彰する沢村賞。
しかし過去20年の受賞者のうち、10試合以上完投という基準を満たしているのはわずか5人です。
2022年に2年連続受賞したオリックスの山本由伸投手は完投試合がわずか4で投球回数も193。いずれも基準を満たしていませんが、実は両項目ともリーグトップでもあるのです。
近年、「沢村賞は指標を見直すべきだ」という声も。
そのような声を受けて補足項目が設定されましたが、一方で「サイ・ヤング賞よりも歴史ある沢村賞は簡単に指標を変えてはいけない」という意見もあります。
今後、沢村賞の選考基準がどのようになっていくのかも注目です。



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スポーツで人生楽しむ自然派ライター

筋トレとアウトドアをこよなく愛するライター。某FM局の作家時代、筋トレマスターに師事し、トレーニングブログを3年間で100本以上執筆しました。

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