東京パラリンピックでの日本人の活躍もあり注目されたボッチャ。
競技では障がいの種類と程度でクラス分けされますが、近年では誰でも楽しめるスポーツとして注目されています。
ボッチャのルールは簡単。
その上、高い戦術性があり、面白さも抜群です。
ここでは魅力的なスポーツ、ボッチャについて解説します。
【ボッチャ】とは
ボッチャとはイタリア語で「丸い球」という意味。
英語のボールに当たる言葉です。
ボッチャは1980年代に誕生したスポーツ。
本来は脳性麻痺の方のリハビリテーションスポーツとして生まれました。
しかし特に日本では誰でも楽しめるユニバーサルスポーツとして親しまれています。
ボール
ボッチャのボールは天然皮革や合成皮革、スウェードの袋の中にプラスチックの粒が入ったもの。
お手玉のようなもので、直径は約9cm、重さは270g前後です。
ちなみに機械で生産できない手作りなので、ボッチャボールは非常に高価。
安いものでも1セット13球で2万円前後、競技用は7万円以上で、最高級品は20万円近くにもなります。
【ボッチャ】ルール
ボッチャのルールはとてもシンプル。
一言で表現すれば「球寄せゲーム」です。
1対1で行う個人戦、2対2で行うペア、3対3で行う団体戦がありますが、どれも1チーム6個の赤または青のボールを白いジャックボールに近づけるように投げます。
試合の流れ
試合を行うコートの広さは長さ12.5m、幅6m。
コート内にある「スローイングボックス」というエリアから投球します。
まず先行チームの左端の人が投げるのが、白いジャックボール。
このジャックボールが目標物となります。
続いて同じ人がチームの色のボールを投球。
さらに相手チームの誰かがチームの色のボールを投げます。
その次から投げるのは、ジャックボールに遠い方のチーム。
一方のチームが6球投げたら、もう一方のチームは残ったボールを連続して投げ、全て投げたところで1エンド終了です。
個人戦とペア戦は4エンドで、団体戦は6エンド。
その合計得点を競います。
得点の計算
1エンドの勝者となるのは、最もジャックボールに近いボールがあるチーム。
得点は、負けたチームのボールのうちジャックボールに最も近いボールを基準にし、勝ったチームがその内側に何個入れたかで決まります。
この辺りのルールはカーリングと同じ。
例えば、最も近いボールが赤だった場合、負けた青のボールのうち最も近かったものを見て、それより内側の赤いボールを数えます。
内側に赤いボールが3個あったら、3得点です。
コンパスのように開いてジャックボールとボールの距離を測るキャリパーという道具を使いますが、全く同じ距離だった場合には得点は両チームに1点ずつ入ります。
【ボッチャ】技と戦術
ボッチャは別名「地上のカーリング」と呼ばれるほどカーリングに似たスポーツ。
投球の正確さも求められますが、6つのボールを投げ終わった時点で得点が決まるため、最終的な形を想定した戦術が大きな意味を持ちます。
このためルールは単純ですが、技や戦術には見どころがたくさんあるのです。
ジャックボールが動く
カーリングと最も違うのは、目標となるジャックボールを自分で投げるということ。
その位置取りが重要で、選手たちは相手のパワーや正確性なども考慮してジャックボールを投げます。
そして不利に見える状況でも、最後にジャックボールを動かして逆転することは可能。
優秀な選手はそこまで見越してボールを配置します。
さらにジャックボールをコートの外に出すと、クロスと呼ばれるコートの中央付近の場所に戻されるため、一発逆転できる可能性もあるのです。
ボールの種類
ボッチャのボールは大きさや重さに規定はありますが、材質や硬さは自由。
そのため、選手は自分のプレースタイルに応じてボールをカスタマイズしています。
例えば天然皮革のボールは当てたり弾いたりして相手のボールを動かすときに有利。硬いボールも他のボールを弾く際に使われます。
合成皮革のボールはシワが規則的で真っ直ぐ転がりやすいのが特徴。
滑りにくいため、ボールの上にボールを乗せるという戦術にも使われます。
スウェードのボールは摩擦が少なく、飛距離が伸びるのが特徴。
滑らせて的に近づける役割のほか、勢いを利用して相手のボールを弾く際にも使われます。
相手にボールを投げさせる
ボッチャで勝つには、自分たちより先に相手にたくさん投げさせ、取れる戦術を少なくしてしまうことが重要。
ジャックボールに遠い方が投げるというルールのため、序盤の投球で持ち球をジャックボールに密着させれば、相手にボールを投げさせる機会が増えます。
こうすればもし後半に不利になっても、球数で戦略を立てて逆転が可能。
ボッチャを観戦する際は、残りの球数にも要注目です。
スーパープレー ライジング
ボッチャは目標となるボールに近付けるルールなので、終盤はボールが密集して思うように投げることが難しくなります。
そのときに使われるスーパープレイがライジングです。
これは密集するボールの上に乗って転がるというすごい技。
東京パラリンピックで金メダルを獲得した杉村英孝選手が得意とするライジングは彼の名をとって「スギムライジング」と名付けられています。
スーパープレー ジャンプ
障害物となるボールがあるときに使うスーパープレーがジャンプ。
ボールを弾ませて邪魔なボールを飛び越すというもので、うまく越えれば、相手の内側に飛び込むことができます。
まとめ
シンプルながら戦術は非常に奥深いボッチャ。
理解するほどにその面白さにはまってしまうはずです。
観るのもプレーするのも楽しいボッチャに、ぜひご注目ください。