体操競技は日本でとても馴染みのあるスポーツで、幼少期や小学校、中学校に上がってからも「器械体操」という名前で体験したことがあるスポーツです。
「日本のお家芸」と評されることもあった日本の体操競技のレベルはどんどん上がってきており、世界と比較しても日本の体操競技レベルは高く、世界大会でメダルを取る選手も増えてきています。
体操競技は男子と女子で分かれており、それぞれ種目が異なります。
男子は「跳馬」「平行棒」「鉄棒」「ゆか」「あん馬」「つり輪」とあり、女子は「平均台」「跳馬」「ゆか」「段違い平行棒」と分かれていて、それに加え、男女ともに「団体総合」「個人総合」といった全種目の総合得点を競う競技もあります。
徒手もしくは器械を使って体操の演技を行い、技の難しさや美しさをなどを基準に採点をし、その点数を競うスポーツのため、技の難易度が上がれば上がるほど、危険も伴ってきます。
そのため、思いがけない怪我をすることがあります。
今回は体操競技を「跳躍系」「非跳躍系」のカテゴリーに分けて、アスレティックトレーナーの資格を持つ筆者が起こりやすい怪我についてご紹介します。
跳躍系の体操競技で起こりやすい怪我とは?
跳躍系の体操競技は「跳馬」「ゆか」の2種類あります。
跳躍系の特徴は大きな力が瞬間的に加わり、それに耐えうる身体が必要になります。
他の種目でも着地などで、強い衝撃が加わるため一概に「跳馬」「ゆか」の競技だけが起こる怪我とは言えませんが、跳躍系により多く発生する怪我をご紹介します。
足関節捻挫
足関節捻挫はどのスポーツでも発生しうる怪我の1つです。
足部は体重を支えるためクッションの役割を果たす必要があり、細かい骨がたくさんあります。
その骨同士をそれぞれ固定するために、細かいたくさんの靭帯で補強されています。
体操では身体を捻り、回転させながら跳躍し、着地します。そのため、方向感覚が定まらないまま着地をすることもあります。
体操選手は、回転している状態でも方向感覚が正常であることが多いのですが、技の難易度が上がると、身体をコントロールすることが出来ず、バランスを崩し、着地に失敗した時に足を捻って、靭帯や軟部組織を損傷してしまいます。
膝半月板損傷
膝の半月板は膝の安定性を図ると同時に、衝撃を吸収して荷重を分散する役目を果たしています。
膝半月板のお陰で膝のなめらかな動作を可能としています。
跳躍や着地時に、膝を捻ったりすると、半月板に強い負荷が加わり、半月板がその衝撃に耐えることが出来ずに損傷してしまいます。
膝半月板が損傷すると、炎症による腫れ以外にも、膝の曲げ伸ばし時の痛み、パソコンのマウスをクリックしたような音が鳴るといった症状が現れます。
重症の場合は、断裂した半月板の一部が関節の隙間に入り込んでしまい、激痛を引き起こし、膝を動かせなくなる「ロッキング」といった症状が現れることもあります。
腰椎椎間板ヘルニア
腰椎には、椎間板と呼ばれるクッションの役目を果たす組織があります。
椎間板の中には、髄核と呼ばれるクッションの中のお水みたいなものがあり、強い衝撃が腰に加わることにより、髄核が椎間板から飛び出し、脊髄や神経根を圧迫することで症状が出ます。
症状の出方は飛び出した高さによって変わり、4番目と5番目の間、5番目と仙骨の間に好発します。
腰痛、下半身の痛みや痺れなどの症状が出ます。
腰椎椎間板ヘルニアの予防法として、体幹部のトレーニングはもちろん、体操により硬くなった身体を日頃からケアすることが大事になります。
非跳躍系の体操競技で起こりやすい怪我とは?
体操競技の中で非跳躍系に分類されるのは、男女合わせて「平行棒」「鉄棒」「あん馬」「つり輪」「平均台」「段違い平行棒」この6種目です。
着地がこれらの競技でもあるため、下半身の怪我をする場合はありますが、今回は非跳躍系で起こりやすい上半身の怪我をご紹介します。
肘の内側側副靱帯損傷
膝の内側側副靱帯はよく聞くという方も多いのではないでしょうか。
実は肘にも同様に内側側副靱帯があり、外反ストレスに対応し、肘の安定性を高めてくれる役割があります。
非跳躍系は思わぬところで転倒してしまい、それによる怪我が度々発生してしまいます。
肘の内側側副靱帯も転倒により手をついてしまい、強い外反ストレスが加わり損傷してしまうケースが多いです。
三角線維軟骨複合体損傷(TFCC損傷)
三角線維軟骨複合体とは手首の小指側に存在していて、手首の運動や支持性に関係しています。
三角形の形をしていて、関節円板や靭帯などで構成されており、膝関節にある半月板のような役割を担っており、手関節に加わる衝撃を吸収してくれます。
体操では手を着くことが多く、とても負荷がかかりやすいため、三角線維軟骨複合体がその強い衝撃に耐えることができず、損傷してしまうことで症状が発生します。
さらに転倒により、発症することも度々あります。
手を動かすときに強い痛みを発生させるため、すぐに体操を中止し、患部の炎症を抑える必要があります。
転倒などの予期せぬ突発的な怪我は防ぐことができませんが、怪我をした後の対処がとても大切になります。
まとめ
今回は体操競技を「跳躍系の種目」「非跳躍系の種目」にカテゴリー分けをして、発生しやすい怪我をご紹介しました。
体操競技は徒手や道具を使って競技を行うため、予期せぬ転倒で突発的に怪我をしてしまう可能性があります。
怪我を予防することが出来ないのかというと、そうではなく、使いすぎたことによる怪我は防ぐことが出来ます。
転倒などの怪我も、その後の対処を適切にすることで治療期間を縮めることが出来ますので、適切な知識を持って楽しく体操を取り組んでください。
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