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スキージャンプのスーツに関するルールとは!?秘密を追及!

スキージャンプの競技で年に数回見られるのが、「スーツの規定違反による失格」です。スーツが規定より大きかったという場合が多いのですが、なぜこのようなことが起こってしまうのでしょうか。

実はスキージャンプのスーツには非常に厳しいルールがあり、その限界に挑む開発競争が日々繰り広げられているのです。

ここではスキージャンプのスーツの裏にある厳しい戦いをご紹介します。

スキージャンプとスーツの変遷

かつてのスキージャンプは空中で手をぐるぐる回して飛ぼうとするなど、科学的な空力を無視したものでした。しかし徐々に揚力の重要さが認識されるようになると、スキージャンプのスーツはどんどん分厚く、風を受けやすい形状になりました。

特にスーツの重要さが認識されるようになったのは、V字ジャンプの登場以降。板を開くことで板と体の両方で揚力を得るというスタイルが確立しました。
分厚く大きなスーツと長いスキーによる効果は絶大であり、同時に低身長で軽量な選手が圧倒的に有利になるという現象も起こりました。

スキージャンプではサッツ(踏切り)が重要ですが、サッツの技術がなくても体格が有利であれば勝ててしまうという事態に。そこでスキー板の長さが制限されると同時に、スーツの大きさや生地の厚さにも厳しいルールが設けられるようになりました。

スーツに関するルール

現在のスキージャンプのスーツは、選手の体に対してほぼぴったりフィットするようにできています。

長野オリンピックまではダボダボのスーツが常識でしたが、体に対する余裕部分への制限が10センチ、8センチ、6センチと徐々に厳格化。一時期は余裕0センチのピチピチでなければならないとされたこともありました。

しかし、それでは身動きがほとんどとれず危険な状態に。少しだけ余裕を認めるようになりました。

スーツ大きさ、厚さ、生地の規定

選手は規定のアンダーウエア一枚で体の隅々まで測定。またスーツを着用した状態でも測定されます。

スーツは「全ての箇所で選手のボディーにぴったり合うものでなければならない」とされていて、わずかに数センチの最大許容差が定められています。しかもこの最大許容差はルール改正で頻繁に変更されます。

また生地の厚みもルール改正で徐々に薄くなっています。これは生地が厚いとジャンプしたときに伸びて揚力を生むという理由で、現在は非常に薄いものになっています。

さらに生地は軽いポリウレタンで作られるのですが、その空気透過率も決められ、空気を通すようになっています。それは空気を通すことで揚力を抑えるのが目的です。

選手の苦労

体に対する余裕がほとんど認められないため、選手やスーツ開発企業は非常に苦労することになります。選手としては少しでも揚力を得るため、スーツをギリギリまで大きくしたいのですが、遠征中に体型が変わってしまうことも。
その結果、規定違反になってしまうこともあるため、ミシン持参でスーツをミリ単位で手直しする選手もいます。

また何度もジャンプすると生地が伸びて空気を通しすぎるようになり、揚力が減ってしまうため、何着も用意する必要があります。

さらに選手を悩ませるのが、寒さ。スーツは非常に薄く空気をよく通す素材で、しかもアンダーウエアも薄いものが1枚だけと決められており、スキージャンプの選手は強烈な寒さに耐えなければならないのです。
特にジャンプ直前に待機している間は体を動かすこともできないため、耐え難い寒さとなります。

スーツの開発競争と選手の変化

このようにスーツには厳しい決まりがあり、ルール変更も頻繁に行われます。

その影響は大きく、長野オリンピック以降に日本のスキージャンプがしばらく低迷していたのは、スーツ開発に出遅れたのが理由とも言われているほど。

しかし今では、日本は再び世界トップの技術を確立しています。

最新のスーツ開発

スーツを開発する研究者やメーカーは、ルールの範囲内で最適な素材や形状を常に研究しています。特に最近活用されているのはコンピューターシミュレーションや風洞実験です。

生地や縫い目の幅、カッティングを変更して空気力学的な効果を検証。それらを全てデータ化して新しい生地や形状を開発しています。さらに日本人選手のフォームや体型に合わせた微調整も。

こうして空気抵抗を減らしつつ揚力を増やすという難題に挑み続けているのです。

スーツの進化が選手のジャンプ技術も変える

スキージャンプの飛び方は、スーツの変化とともに大きく変わっています。スーツが大きかった時代は、少し山なりに飛び出し、スキー板と体全体で揚力を得てゆっくりと落下するのが主流でした。

しかしスーツが小さくなり揚力も得にくくなった今では、空気抵抗をなるべく受けずに速度を維持したまま、上ではなく前に向かって飛び出すスタイルが一般的に。低く、速く飛ぶことで距離を稼ぐというスタイルになっています。

素材が変わるとスーツにとって最適な形も変わり、スーツが変わると最適な飛行フォームも変わるのです。その進化は今も止まることなく続き、選手は常に変化するジャンプ方法に柔軟に対応する能力を求められます。

まとめ

スキージャンプのスーツは、体格差による圧倒的な有利不利をなくすためにルール改正が繰り返されてきました。

非常に厳しいルールの中で日々進化しているスーツ、そしてスーツが変えるジャンプの技術にもご注目ください。

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でかむ

でかむ

スポーツで人生楽しむ自然派ライター

筋トレとアウトドアをこよなく愛するライター。某FM局の作家時代、筋トレマスターに師事し、トレーニングブログを3年間で100本以上執筆しました。

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