達成すればほぼ確実にスポーツ紙の一面を飾るのが、完全試合やノーヒットノーラン。ファンにとても大興奮の記録です。
その完全試合とノーヒットノーラン、具体的な違いを説明できない人も多いのではないでしょうか。
特にメジャーリーグのノーヒットノーランまで話を広げると、実はその定義はちょっとややこしくなるのです。
今回は、野球の完全試合とノーヒットノーランの定義や過去の記録をご紹介します。
【野球】完全試合とは
完全試合の条件は5つあります。
・相手チームにヒットと得点を許さないこと
・ランナーの出塁を許さないこと
・自チームが勝利すること
・継投せず1人で投げること
・9回まで投げること
1人の出塁も許さず、毎回3人のバッターをアウトに取れば完全試合を狙えることになりますが、例えば9回を終わって0対0の同点だった場合、まだ完全試合達成とはなりません。
もし延長戦で負ければ完全試合は消滅。
1人のランナーも出さないまま0対0の引き分けで終わっても、完全試合は公式記録ではなく参考記録となってしまいます。
またコールド試合での勝利も参考記録となります。
日本プロ野球の完全試合
日本のプロ野球では、完全試合は16人がそれぞれ1度ずつ、16回達成しています(2022年6月時点)。
初めて達成したのは1950年の巨人・藤本英雄投手。
このときの年齢32歳1ヶ月は今でも完全試合最年長記録となっています。
そして記憶に新しいのは2022年4月10日のロッテ・佐々木朗希投手。
20歳5ヶ月という完全試合最年少記録に加えて、プロ野球タイとなる19奪三振も記録しました。
ちなみに1971年に東映の高橋善正投手は奪三振1という少なさで完全試合を達成しています。
メジャーリーグの完全試合
メジャーリーグでは過去に23人の投手が完全試合を達成しています(2022年6月時点)。
野球の殿堂入りしているサイ・ヤングやランディ・ジョンソンなど、完全試合達成者は伝説的な投手ばかり。
その中で「最も意外な投手」と言われているのが2012年4月21日に達成したのフィリップ・アンバー投手です。
シカゴ・ホワイトソックスのアンバー投手はシーズン2ケタ勝利の経験もなく、メジャー8年間で通算16勝23敗、防御率5.31という、とても一流とは言えない成績。
その彼のキャリアただ一度の完投が完全試合だったのです。
高校野球の完全試合
高校野球の甲子園大会では完全試合は過去に2度しか達成されていません。
1度目は1978年春の選抜1回戦の前橋高校・松本稔投手。
カーブを低めに集めることで内野ゴロを17本も打たせ、わずか78球で完全試合を達成しました。
次の2回戦では17安打14失点で完敗となりましたが、松本投手は大学卒業後に高校野球の監督に就任し、甲子園出場を果たしています。
2度目は1994年選抜1回戦の金沢・中野真博投手。
こちらも内野ゴロ17本を打たせて99球で完全試合を達成しています。
金沢高校も2回戦では4失点で完敗していますが、中野投手は大学野球や社会人野球でも活躍しました。
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【野球】ノーヒットノーランとは
ノーヒットノーランの条件は、4つあります。
・相手チームにヒットと得点を許さないこと
・自チームが勝利すること
・継投せず1人で投げること
・9回まで投げること
つまり完全試合から「ランナーの出塁を許さないこと」という条件が抜けたことになり、具体的には以下の出塁は認められます。
・四球(フォアボール)
・死球(デッドボール)
・失策(エラー)
・打撃妨害
・振り逃げ
ノーヒットノーランはとても難しい記録ですが、上記の出塁が認められることで完全試合よりはかなり達成しやすくなります。
日本プロ野球のノーヒットノーラン
日本プロ野球のノーヒットノーランはこれまでに85人が合計96度達成(2022年6月時点)。
その中でも特筆すべきは、その名を冠した沢村賞でも知られる沢村栄治投手。
史上初、史上2度目を含む3度のノーヒットノーランを達成し、この記録はいまだに破られていません。
メジャーリーグのノーヒットノーラン
ノーヒットノーランはメジャーリーグではノーヒッターと呼ばれ、条件が日本とは大きく違っています。
・ヒット以外なら失点をしても良い
・自チームが負けても良い
・継投しても良い
このようにかなり条件が緩くなっているのが特徴。
ちなみに日本ではヒット以外の失点も含む記録を「ノーヒットアリラン」と呼んでいます。
日本人メジャーリーガーでノーヒッターを達成したのは、野茂英世投手と岩隈久志投手。
どちらも得点を許さず、継投もしていないため、ノーヒットノーランとも言えます。
また野茂英世投手は1996年と2001年の2度達成。
ナ・リーグとア・リーグ両リーグでの達成は史上4人目という快挙でした。
高校野球のノーヒットノーラン
高校野球甲子園大会でのノーヒットノーランは過去に35回記録されています。
有名な投手では、平成の怪物・松坂大輔投手が1998年夏の大会の決勝で達成。
また最も近いところでは2004年選抜でダルビッシュ有投手が達成しています。
意外なのが1957年夏の大会。
あのホームラン王の王貞治氏が早稲田実業の投手として延長11回のノーヒットノーランを達成しています。
まとめ
記録としてはもちろん、私たちの記憶にも強く残る完全試合やノーヒットノーラン。
近年は投高打低が進んでいるためそれらの記録に近づくチャンスも増えたといわれています。
とはいえ特に完全試合となるとめったに達成できるものではありません。
スポーツファンとしては、ぜひその瞬間を目撃したいものです。
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