メジャーリーグの試合を観戦していると、たまに「サヨナラホームラン!」と聞こえてくることがあります。
しかしこのサヨナラホームラン、日本のサヨナラホームランとは意味が違うのです。
いったいどういうことか分かりますか?
そもそも日本のサヨナラホームランにはどのような意味や条件があるのでしょうか?
今回は、野球のサヨナラホームランを解説。
その記録や、サヨナラホームランにまつわる出来事もご紹介します。
【サヨナラホームラン】意味
サヨナラゲームは、決勝点が入ったことで即試合終了となる状態のこと。
そのうちホームランで決勝点が入ることをサヨナラホームランといいます。
他にもサヨナラエラー、サヨナラスクイズ、サヨナラ押し出し、サヨナラホームスチール、サヨナラ暴投など、条件に合えばさまざまなプレーにサヨナラを付けることが可能です。
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サヨナラゲームの条件
サヨナラゲームの条件は、決勝点が入った時点で試合が終了すること。
表の攻撃の場合は必ずまだ裏の攻撃がありますから、サヨナラにはなりません。
サヨナラゲームが成立する条件は以下の3つ。
・9回または延長の裏の攻撃で
・同点、または先攻チームがリードしている状態から
・後攻チームが勝ち越す
こうなったとき後攻チームの勝利が確定しますから、それ以降を行う意味がなくなり試合は終了。「サヨナラ」となるのです。
ちなみにコールドゲームの5回裏などにコールドが決まる得点が入ったときも回の終了を待たずに試合は終わりますが、こちらはサヨナラとは呼ばないのが一般的です。
MLBでの使い方
メジャーリーグの試合で実況が叫ぶ「サヨナラホームラン!」。
これは観客席に入るボールに対して「サヨナラ」と言っているものです。
日本人選手のホームランでよく使われるもので、日本語のサヨナラゲームのような意味はないことがほとんど。
英語でサヨナラゲームは「walk-off」と言います。
理由は、打たれた投手がゆっくり歩いて帰るから。
サヨナラホームランは「walk-off home run」と表現します。
【サヨナラホームラン】記録
サヨナラホームランランキング
日本のプロ野球でサヨナラホームランを最も多く打った選手といえば、やはりホームラン記録を持つ王貞治氏でしょうか。
実は違います。
2022年時点のサヨナラホームラン数ランキングがこちら。
順位 | 選手名 | サヨナラ本塁打 | 通算本塁打 | 割合 |
1位 | 清原和博 | 12 | 525 | 1/43.7 |
2位 | 野村克也 | 11 | 657 | 1/59.7 |
3位 | 中村紀洋 | 10 | 404 | 1/40.4 |
4位 | 王貞治 | 8 | 868 | 1/108.5 |
若松勉 | 8 | 220 | 1/27.5 | |
6位
| 豊田泰光 | 7 | 263 | 1/37.5 |
長嶋茂雄 | 7 | 444 | 1/63.4 | |
藤井康雄 | 7 | 282 | 1/40.2 | |
井口資仁 | 7 | 251 | 1/35.8 | |
阿部慎之助 | 7 | 406 | 1/58.0 | |
亀井善行 | 7 | 101 | 1/14.4 |
最も多いのは清原和博氏の12本。
注目は通算ホームランに対するサヨナラホームランの割合です。
通算ホームランが最も多い王貞治氏のサヨナラホームランは意外に少なく8本。
サヨナラの割合は108.5本に1本とこのランキングでは圧倒的に率が低くなっています。
その意味ですごいのは、2021年に引退した亀井善行氏。
サヨナラホームランは7本で6位タイですが、通算ホームランに対するサヨナラの割合は14.4本に1本と圧倒的に多いのです。
このランキングを見れば、どの選手が特に勝負強かったかが分かります。
年間記録
サヨナラホームランは1年間にどれくらい出るものなのでしょうか。
2022年シーズンは、セ・リーグが7本、パ・リーグが9本。
2021年シーズンは、セ・リーグが4本、パ・リーグが3本でした。
このようにリーグ全体で一桁というのが一般的です。
では1年間にサヨナラホームランを最も打った選手はというと、2位には3本の選手が15人います。
王貞治氏や、田淵幸一氏、松井稼頭央氏、亀井義行氏など有名な大打者ばかり。
1人で年間3本打つことも驚異的ですが、実は1位の打者はなんと年間に5本も打っているのです。
それは1993年ヤクルトのJ・ハウエル氏。
彼の活躍もあってこの年のヤクルトはチーム全体でサヨナラ勝利14回、サヨナラホームラン9本という日本記録を樹立し、15年ぶりの日本一になっています。
記憶に残る【サヨナラホームラン】
年に数えるほどしか見られないサヨナラホームラン。
しかし野球の歴史の中には、さらに劇的で記憶に残るサヨナラホームランもありました。
ノーヒットノーランを決めたサヨナラホームラン
1973年8月30日の阪神対中日戦で、阪神の江夏豊投手は延長11回までノーヒットノーランを続けていました。
しかしノーヒットノーランは先発ピッチャーが無安打無得点におさえて勝つことが条件。試合に勝たなければ記録は幻となるところでした。
そして迎えた11回裏、サヨナラホームランを打ったのはなんと江夏豊投手本人。自らの力で勝利をもぎ取り、日本プロ野球史上初の延長戦ノーヒットノーランを達成したのです。
幻のサヨナラホームラン
2004年9月20日の日本ハム対ダイエー戦、3点差を追い付いた9回2死満塁の場面で新庄剛志選手(当時の登録名はSHINJO)が見事なサヨナラ満塁ホームランを打ちました。
ところが喜びのあまり、1、2塁間で1塁走者の田中幸雄選手と抱き合い、1回転したのです。
ルール上これは前方の走者を追い越すという反則行為。新庄選手はアウトとなり、本塁打は取り消しになりました。
1塁には到達していたため記録は単打で、追い越しの前に3塁走者が生還していたためサヨナラ勝ちは成立しましたが、せっかくの満塁ホームランは幻となってしまいました。
最も肩書きの長いサヨナラホームラン
ホームランにはさまざまな肩書きが付くことがあります。
サヨナラホームランもそのひとつ。他に代打ホームランや満塁ホームランなども一般的です。
サヨナラホームランにさらに付くことがあるのは、「釣り銭なし」。
これはそのホームランを打ったことで、無駄のない1点差勝ちになったということです。
このような肩書きがたくさんついているのが、2001年9月26日の近鉄対オリックス戦で飛び出したホームラン。
この試合に勝てば優勝が決まるという近鉄は、9回裏2対5と追い詰められた場面でノーアウト満塁のチャンスを迎えました。
ここで代打に送られたのが北川博敏選手。
北川選手は見事にホームランを打ち、これが代打逆転サヨナラ満塁優勝決定ホームラン+釣り銭なしという日米通じてプロ野球史上初の記録になりました。
まとめ
これまでに日本シリーズでのサヨナラ日本一決定は4回記録されています。
そのうち3回はサヨナラタイムリーヒットで、1回はサヨナラエラー。
サヨナラホームランで日本シリーズ優勝が決まったことはまだ1度もありません。
プロ野球の1年を締めくくるサヨナラホームランも、ぜひ見てみたいものです。
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