アメリカの総合格闘技界でUFCに次ぐ人気を誇るのがベラトール。
しかし日本での一般的な知名度はUFCやRIZIN、K-1などよりはかなり低くなっています。
このベラトール、UFCとはどのように違うのでしょうか。
そしてどちらの方が強いのでしょうか。
今回は、ベラトールの特徴をUFCと比較しながらご紹介します。
【ベラトール】 概要
「ベラトール」の正式名称は「Bellator MMA」。
アメリカの総合格闘技団体で、「Bellator」という言葉はラテン語で「戦士」という意味を持っています。
歴史
ベラトールの設立は2008年です。
初代会長兼CEOのビョルン・レブニー氏は、元はボクシングのオスカー・デ・ラ・ホーヤやシュガー・レイ・レナードのマネージメントをしていた敏腕プロモーターでしたが、次第に総合格闘技に傾倒。「Bellator Fighting Championship」を設立しました。
当初はシーズン制のトーナメントを開催するイベントからスタート。優勝者が各階級の王者への挑戦権と賞金10万ドルを獲得できるという内容でした。
2011年には「バイアコム」が大株主となり、2013年にはSpikeでの放送を開始。これをきっかけに団体名を「Bellator MMA」に変更します。
そして2015年にはシーズン制のトーナメント形式から1試合制のイベントスケジュールに移行。2018年からは部門別グランプリトーナメントを開催するようになりました。
2020年にはCBS Sports Network、2021年にはShowtimeでの放送も始まり、人気はさらに拡大。今ではUFCに次ぐNo2の座を盤石なものにしています。
【ベラトール】 UFCとの違い
ベラトールは打倒UFCを目指して設立された団体。
さまざまな違いがありますが、大きく違うのはその軸が競技性にあるかエンタテインメント性にあるかだと言われています。
ベラトールはエンタテイメント性が強いのが特徴。競技性が強いUFCに対して、ベラトールの方が個性豊かなファイターが集められる傾向があります。
それがよく分かるのがマッチメイク。
UFCの場合、他の団体で好成績を残している選手が参戦しても、まずは無名の下位選手としてマッチメイクが行われます。
しかしベラトールでは、他団体の個性の強い選手を集め、話題性の高いマッチメイクを行うのが一般的です。
では他にはどのような違いがあるのでしょうか。
歴史
2008年設立のベラトールに対して、UFCは1993年設立とかなり長い歴史を誇ります。
当時の柔術家集団グレイシー一族の活躍に触発されたアメリカの広告代理店が最強の格闘技を決めるトーナメントを考案。
さまざまなジャンルの格闘家をノールールで戦わせる大会をグレイシー側に提案し、第1回大会が開かれました。
この大会はかなりの人気を集めますが、ほぼ何でもありの大会は「暴力的だ」と批判を浴びることに。アメリカの多くの州で「総合格闘技禁止法」が成立してしまいました。
これに対してUFC側はルールの制定と競技化を推進。その結果、現在の総合格闘技の統一ルールである「ユニファイドルール」が成立しました。
4大ネットワークでの放送も始まって人気が拡大したUFCは、今では世界172カ国で放送されるほどに成長。世界から最高峰の総合格闘技選手が常に600人近く参戦する、まさに世界最大の総合格闘技団体になっています。
ルール
細かなところでは違いがありますが、ベラトールとUFCはどちらもユニファイドルールを採用しています。
試合時間
試合時間に関してもベラトールとUFCは同じ。
ノンタイトル戦の場合は1ラウンド5分×3ラウンド制で、タイトル戦は1ラウンド5分×5ラウンド制です。
そして決着がつかない場合は、3人の審判ジャッジによる判定となります。
階級
階級は、ベラトールの場合、男子がヘビー級からバンタム級までの7階級で、女子はフェザー級からストロー級までの3階級。
UFCは男子がヘビー級からフライ級までの8階級で、女子がフェザー級からストロー級までの4階級です。
規定体重は両団体とも全く同じ。
しかしベラトールにはUFCにはある男子のフライ級と女子のバンタム級がないというのが違いになっています。
リング
リングには大きな違いがあります。
ベラトールは金網で囲まれた円形のケージです。
一方のUFCはオクタゴンと呼ばれる八角形のケージ。これはUFCが考案したスタイルです
ファイトマネー・年収
UFCのファイトマネーは総合格闘技界では世界最高。
世界中のトップファイターが集まるため、1試合のファイトマネーが1000万円以上になることもよくあります。
一部のトップ選手はファイトマネーが億単位になることも。
また超人気団体であるだけに選手の多くはスポンサー契約を結んでいて、多額のスポンサー収入も得ることができます。
そのため下位の選手でも年収は平均3000万円以上です。
一方、ベラトールのファイトマネーはトップ選手で2000万円前後。
下位の選手の平均年収は1500万円以上と言われていて、UFCよりは劣ることになりますが、それでも総合格闘技の団体として堂々の2位になっています。
選手のレベル
選手のレベルはどちらも最高峰。
しかし人気・実力を兼ね備えた選手が集まりやすいのはUFCです。
それはUFCの方が視聴者数などの規模が圧倒的に大きく、多額のファイトマネーやスポンサー収入が期待できるため。
UFCは他の団体で王者となった選手や無敗の選手、各国のチャンピオンレベルが集まる夢の舞台となっていて、選手のレベルもより高くなっています。
まとめ
打倒UFCを掲げて旗揚げしたベラトールは、歴史こそまだ浅いものの急成長している団体。
現在も実力者が多く集まっていますが、今後さらに視聴者数を増やしていけば、UFCを逆転する日が来るかもしれません。