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十種競技の歴史・競技人口・ルール・大会【スポーツ辞典】

「十種競技」 とは、何の種目があるの?どうやって競うの?この記事を見る多くの方は、そう感じているのではないでしょうか。

陸上競技は、100m/200m/走幅跳/走高跳・・・。その他の種目でさえ名前が出てこないという方も多くいるかもしれません。

そんな陸上競技の中でも「男子の混成競技」とも言われ、特に馴染み少ない十種競技について、どんな種目なのか、歴史や単独種目とは異なるルールなどを含めご紹介していきます。

十種競技の起源・歴史について

紀元前708年、ギリシャ時代に開催された古代オリンピックの五種競技(ペンタスロン)が現代の十種競技の元になっており、スタンディオン走、走幅跳、やり投、円盤投、レスリングの5種目で行われる競技でした。
「あらゆる競技能力に最も優れた選手を決める」 ということを目的に誕生したのが、この五種競技です。

近代の十種競技ではレスリングを省いた、短距離(100m/400m)、中長距離(1500m)、ハードル(110m)、走高跳、走幅跳、棒高跳、砲丸投、やり投、円盤投の10種目とし、陸上競技における全ての要素が詰め込まれる真の競技へと変化しました。

この種目において、究極のオールラウンダーである勝者は競技者の王 「キング・オブ・アスリート」と称えられ、その昔からの名残は今も残り続けています。

1904年セントルイス五輪では十種競技の初の試みが行われたのですが、同時に三種競技(走幅跳/砲丸投/100ヤード走)も実施されました。

1908年のロンドン五輪には混成競技の実施はなく、1912年ストックホルム五輪において、再び五種競技の実施とともに十種競技が正式種目として採用されました。

このように、混成競技としての試行錯誤が続いた歴史の中で「十種競技」が本格的に世界共通の競技として行われるようになりました。

日本における十種競技の歴史について

1912年ストックホルム五輪で十種競技が正式種目へ採用されたことを機に、1916年の第4回日本陸上競技選手権大会において初めて十種競技が開催されました。

この大会において日本初代のキング・オブ・アスリートとして、東京高師の野口源三郎選手が名を残し、1916年~1918年と3年連続優勝という快挙も歴史に残っています。

また、野口選手は1920年のアントワープ五輪へ十種競技で日本人初となる五輪参加をした選手でもあり、日本十種競技界の後世へと繋がる光を灯した選手です。

十種競技と関連のあるスポーツ

関連のある競技には、女子の混成競技とされる七種競技があります。五輪や世界陸上競技選手権でも実施され、男子は十種競技、女子が七種競技、同じ混成競技でも種目数には違いがあります。

この七種競技の起源となるのは、1964年の東京五輪で初めて女子五種競技の実施がスタートしたことがルーツとなります。

短距離(200m)、ハードル(80m)、走幅跳、走高跳、砲丸投で行われていた五種競技から、種目変更・追加などを経て、1984年のロサンゼルス五輪からは、七種競技が正式種目となりました。

勝者は王「キング」ではなく、 「クイーン・オブ・アスリート」 競技者の女王と称えられ、女性アスリートにとっての究極の種目とされています。

十種競技の競技人口について

陸上競技における全ての要素が詰め込まれる十種競技。

競技自体が過酷であることに加え、技術的な練習時間の確保や投擲・棒高跳など、フィールド種目の練習が十分に行える環境に恵まれていることも必要であり、日本国内において極めて競技人口が少ないのが実情です。

世界に目を向けてみると、アメリカやヨーロッパでは競技チャンピオンを 「キング・オブ・アスリート」 として認め、その競技人気と地位も確率されており、陸上競技のスペシャリストとして選手の意識高い取り組みや大会イベントなどを通して混成競技に触れる機会も多く見られます。

その一方、日本では、競技人口が少ないため対抗戦や選手権等で入賞しやすいからといった理由で単発的な混成競技への参加や、単独種目では上位にあと一歩届かないからといった消極的な理由から混成種目に取り組むケースも多く見受けられます。

こういった競技背景の違いから競技に対する意識などにも差があり、日本では競技人口が少ないスポーツであるものの、アメリカやヨーロッパを見ると人気の高い競技です。

この点を考えると、十種競技の魅力を今以上に発信し、競技人口を拡大していくためのイベントなどの取り組みなど、今後の日本での課題となりつつあるのかもしれません。

十種競技の基本ルールについて

ここからは十種競技のルールについて、解説していきます。

競技形式

十種競技は、2日間の日程に分かれ、競技が行われます。

1日目・・・100m、走幅跳、砲丸投、走高跳、400m

2日目・・・110mハードル、円盤投、棒高跳、やり投、1500m

上記の順番で各種目が行われ、それぞれの種目記録を国際陸上競技連盟の定める採点表にしたがって得点に換算し、合計した総合得点で力を競い合うのがこの十種競技です。

単独種目と異なるルール

混成競技ならではの、単独種目とは異なるルールがあります。

・走幅跳と投擲種目の試技数は3回(単独種目は6回)

・1種目でもスタートをしない、1度も試技を行わない種目があれば棄権と見なされ以降の競技を続けることができない。また、総合順位もつかない。

・混成競技の総合得点が公認記録となる風の条件は、以下の2つのうち、最低1つを満たしている場合のみ。
①風速を測定する個々の種目が、追い風0mを越えない
②平均秒速が0mを越えない

総合順位の決定ルール

順位については、以下の方法で決定するルールがあります。

・総合得点の多い順に順位を決める。

・総合得点が同じ場合は、より多くに得点を取った種目が多い者を上位とする。

これで決まらない場合は、全種目を通して最高得点を取った者を上位とする。

それでも順位が決まらない場合は2番目の得点を取った者、

さらに決まらない場合は、3番目、4番目という順で高得点を取った者を上位とする。

十種競技の国際的な大会について

1912年のストックホルム五輪から十種競技は正式種目に採用され、現在も変わらず五輪の陸上競技種目として実施されています。

また、国際陸上競技連盟(IAAF)が主催する世界陸上競技選手権はじめ、ヨーロッパ中心に混成競技を行う国際的な大会が開催されていて、この大会の中には混成競技大国のフランスで行われる、 (デカスター)という有名な国際大会があります。

このデカスターにおいては過去多くの十種競技世界記録が誕生するなど、世界的にも歴史のある混成競技の国際大会として名が広く知られています。

世界から見た日本男子 十種競技の強さのレベル

100mなどの予選から行う単独種目とは違い、十種競技は一発決勝の種目として行われる競技である為、五輪への参加出場枠は世界から24人と厳しい枠制限があります。

参加資格条件は参加標準記録の保持者、またワールドランキングの24位相当を満たす必要があります。

2012年ロンドン五輪、2016年リオデジャネイロ五輪へ右代啓祐選手が2大会連続で参加したことが近年の日本史として残っています。

それ以降、日本代表選手が十種競技において五輪へ参加する機会は惜しくもなく、2016年以降日本男子選手の十種競技の世界ランキングは24位相当には満たされていないことが分かります。

まとめ

十種競技はヨーロッパを中心に人気のある陸上競技の種目です。

走る・跳ぶ・投げる、全ての要素が詰まる競技で、ジュニア期において単独種目のスペシャリスト育成の土台作りとなる側面も合わせ持つとも言われ、注目されています。

こんな魅力のある十種競技が日本ではまだ競技人口が少ない実情であるため、より多くの人が混成種目を知り、この競技に興味を持ってもらえるよう実際に競技に取り組む選手だけでなく、陸上界全体での魅力発信が必要となりそうです。

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ありゆい

南の島の気ままライター☆

自分の気持ちのまま素直に心も身体も動く、ありゆいです。 あれもやりたい!!これもやりたい!!やってみよう‼と考えるより先に身体が動いてしまいます。 幼い頃から身体を動かすことが大好きで、特に陸上競技からは、ずっと離れられません。陸上競技/幼児体育/運動あそび/親子運動など、スポーツに関わる情報を南の島よりお届けします。

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