スポーツといえば、身体を動かすものとしてイメージする人が多いのではないでしょうか。
しかし、スポーツは決して「身体を動かすもの」として定義されておらず、スポーツは、「心身の健全な発達、健康及び体力の保持増進、精神的な充足感の獲得、自律心その他の精神の涵(かん)養等のために個人又は集団で行われる運動競技その他の身体活動」とスポーツ基本法で定義されています。
つまり、身体を動かす以外にも、頭脳を使う身体活動もスポーツに入るということです。
身体を動かすスポーツのことを「フィジカルスポーツ」と呼び、頭脳を使うスポーツのことを「マインドスポーツ」と呼びます。
今回はそのマインドスポーツの中でも、日本人に昔ながら愛され続けている「将棋」について解説していきましょう。
【将棋】
将棋は、「盤」と呼ばれるマスが書かれた台(競技場)と、「駒」と呼ばれる手札(選手)を使います。
9×9のマスが書かれた盤の上に、各々20枚の駒を置き、合計40枚を使って戦うゲームです。
将棋の歴史
将棋の起源は定かにされておらず、古代インドの「チャトランガ」というゲームにあるという説が最有力とされています。
1058年に発見された駒が最古と言われていて、すでに五角形の形をしていました。
日本最古の将棋史料は藤原明衡の著書と推定される『新猿楽記(1058年)』で、将棋に関する記述があります。
平安時代に入り、大将棋と小将棋の2種類の将棋が行われるようになりました。
そこから時代が進むにつれて、ルール化されるようになり、13世紀ごろには大将棋が遊ばれるようになります。
そして、14世紀ごろには、複雑になった大将棋のルールを簡略化した中将棋と呼ばれるものが遊ばれるようになり、15~16世紀ごろに現在の将棋に近いルールで遊ばれるようになりました。
日本独自のルールとして、相手の駒を取ったら自分の駒として扱うことが出来るルールが追加され、将棋はより複雑で面白いゲームとなっていきます。
【将棋】ルール
将棋のルールは以下の通りです。
①2人で行い、勝敗を競うゲーム
②順番に駒を動かして、進めていく
③駒は相手の駒の場所に動かせば取ることが出来る
④取った駒は好きなマスに打つことが出来る
⑤敵陣に進んだ自分の駒は裏返る(成る)
⑥相手の「玉将・王将」を先に取った方が勝ち
次の順番で相手の「王将・玉将」を取ることが出来る手のことを「王手(おうて)」と呼び、どうやっても王手を回避できない場合は「詰み(つみ)」と呼ばれます。
「詰み」をされたプレーヤーは、どのように動かしても「王将・玉将」を取られてしまうため、その時点で負けです。
【将棋】並べ方や駒の種類
自分の持ち駒は8種類、計20個で、決まった並べ方からスタートされます。
では、将棋の駒の並べ方とその駒について解説していきます。
将棋の並べ方
将棋の最初に並べ方は決まっていて、各自で変更することはできません。
その並べ方は以下の通りです。
・9×9マスの手前3行が自陣で、一番奥の自陣に、「歩兵」を9つ並べる
・奥から2番目の自陣で端から2つ目のマスに「角行」「飛車」を置く
・一番手前の行に「玉将・王将」を中心として、左から「香車」「桂馬」「銀将」「金将」と置き、それを左右対象に置いていく
相手から取った駒は元の位置に並べるのではなく、好きなマスに置くことが出来ます。
玉将(ぎょくしょう)・王将(おうしょう)
「玉将・王将」はゲーム上、全く同じものとして扱います。
これらは自分の周り8マスに動かすことができ、駒が敵陣に入っても裏返すこと(成り駒)はありません。
この駒が取られると勝負に負けてしまいます。
飛車(ひしゃ)
「飛車」は縦や横にどこまでも真っ直ぐ動くことができます。
1つしかないため将棋において、とても重要な役割を果たす駒です。
敵陣に入ると裏返して「龍王(りゅうおう)」という駒に変わるため、斜めにも1マス進むことができます。
角行(かくぎょう)
「角行」は斜めにどこまでも動くことができます。
1つしかないため将棋において、とても重要な役割を果たす駒です。
敵陣に入ると裏返して「龍馬(りゅうま)」という駒に変わるため、縦と横にも1マス進むことができます。
金将(きんしょう)
「金将」は縦と横に1マス進むことができて、さらに斜め前にも1マス進むことが出来ます。
「金将」は2つあり、ゲーム中に裏返ることはありません。
銀将(ぎんしょう)
「銀将」は斜めに1マス進むことができ、さらに正面にも1マス進むことが出来る動き方です。
「銀将」は2つあり、裏返ると「成銀(なりぎん)」となり、金将と同じ動きをします。
桂馬(けいま)
「桂馬」は前2マス横1マスに動くという将棋の駒の中で一番複雑な動き方です。
敵陣に入り裏返ると「成桂(なりけい)」となり、「金将」と同じ動きが出来ます。
香車(きょうしゃ)
「香車」は前であればどこまでも進むことが出来る動き方です。
敵陣に入り裏返ると「成香(なりきょう)」となり、「金将」と同じ動きが出来ます。
歩兵(ふひょう)
「歩兵」は9つあり、前に1マス進むことが出来る動き方です。
敵陣に入り裏返ると「金」となり、「金将」と同じ動きが出来ます。
これらからわかるように、敵陣に入り裏返ると多くの場合で「金将」と同じ動き方になるのです。
まとめ
今回は基本的な将棋の歴史とルール、駒の種類や並べ方を紹介しましたが、この時点では将棋のスタートに立っただけです。
ここから戦術など理解していくことで、将棋の奥深さを知ることが出来ます。
プロ棋士になれば、1手2手先だけでなく、10手100手先まで予想して勝負していると言われています。
相手との読み合いや心理戦が楽しめる将棋をぜひ体験してみて下さい。
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