近年、プロ野球ではあまり見ることがなくなってきたアンダースローのピッチャー。
しかし数が少ないだけにバッターはアンダースローのボールの軌道に慣れることができず、それが大きな武器になるとも言われています。
ではアンダースローとはどのような投げ方なのでしょうか。
今回はアンダースローの正しい投げ方のポイントと練習方法をご紹介します。
アンダースローとは
アンダースローは腕が水平よりも下になる投げ方。
ピッチャーによっては地面の上10cmほどから投げるもので、「下手投げ」とも呼ばれます。
アンダースローは和製英語。
英語ではサブマリン(submarine)で、日本でもこの呼び名を使うこともあります。
アンダースローのメリット
アンダースローは下半身を中心に全身を使って投げるフォーム。
肩を上げず、腕力ではなく遠心力で投げるため、肩や肘への負担が少なくなることがメリットです。
また身体の後ろに手が隠れるため、リリースする直前まで球の出どころが分からないのが特徴。
バッターにとってはタイミングを合わせづらくなります。
低いリリースポイントから浮き上がってくるボールの軌道も非常に独特。
投げるピッチャーが少ないこともあって、バッターにとってはとても打ちにくい球となります。
アンダースローのデメリット
アンダースローのデメリットは、球速が出にくいこと。
重力を活かせないフォームで、空気抵抗を減らすバックスピンもかけにくいため、オーバーハンドスローなどと比べれば球速は伸びにくくなります。
またゆったりした動作でテイクバックが大きく、クイックモーションが難しいため、盗塁されやすいのが弱点。
その投げ方から自然に横回転がかかるため、フォークボールが投げにくいこともデメリットです。
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アンダースロー|正しい投げ方とポイント
アンダースローの投げ方はとても独特。
オーバーハンドスローのピッチャーがいきなり投げることはとても難しく、サイドスローから転向することが多くなります。
身体を前傾して体重移動
アンダースローは身体を深く沈める投げ方。
そのため足を上げた後に身体を大きく前傾し、体重移動します。
腕が下から出るためにはこの前傾が重要。
正しく前傾できないと下からの手投げになり、ボールに力を加えられない上、故障の原因にもなってしまいます。
テイクバックで腕を大きく後ろに引く
テイクバックは腕を後ろへ大きく引くのがポイントです。
オーバーハンドスローのように重力を使えない代わりに、腕の遠心力を利用。
これによってストレートの球速を上げることができるのです。
また腕を大きく後ろに引ききることで、身体の体重移動と回転をスムースに行えるようになります。
大きく、低く踏み出す
ステップは前に大きく踏み出すのがポイント。
さらに重心を低くするよう意識しながら体を前傾し、腕を低く振っていきます。
マウンドの前の地面に向かって突き刺さっていくようなイメージ。
こうすることで腕に身体の力を乗せていくのです。
両肩と腕を一直線にしてリリース
リリース時には左右の肩を結んだラインと腕が一直線になるのがポイント。
腕が肩に対して上や下になると力がうまく伝わりません。
アンダースローは水平よりも腕が下がったフォームになりますから、右投げなら地面に対して右肩が左肩より少し下になります。
リリース時の手首の角度
下から投げるアンダースローでは、手首が垂れた形になりがち。
手首のスナップを使うためには、前腕から手首が一直線になるよう、手首を立てることがポイントとなります。
リリースポイントは前に
アンダースローでは身体の回転、腕の遠心力と同時に、体重移動も使ってボールにスピードを乗せます。
できるだけ前でボールを押し込むようにリリースすることがポイントです。
腕が身体に巻きつくフォロスルー
速い球を投げるには、腕を最後まで振り切ることが重要で、フォロスルーでは腕が身体に巻きつくことになります。
巻き付けることを意識するというよりは、しっかり振り切った結果、腕が自然に身体に巻きつくというイメージです。
アンダースロー|練習法
アンダースローの投げ方はいきなりでは難しいもの。
まずはサイドスローの正しい投げ方を身につけてから徐々に腕を下げていくことがコツになります。
同時にステップを大きくし、重心を低くするのがポイント。
そのためには筋力トレーニングなどで下半身を強化する必要もあります。
アンダースローに必要な練習
アンダースローのピッチャーは独特な球筋が武器になりますが、球速が出にくいのは大きな弱点。
前述のポイントを確認しながら、少しでも球速を上げる練習が必要です。
変化球ではフォークボールなど縦の変化のボールが投げにくい代わりに、シンカーなど珍しい変化球を投げやすいのがメリット。
それを生かして数種類の変化球を覚えると強い武器になるはずです。
またアンダースローのテイクバックはゆっくりと行った方が身体をうまく使えますが、ランナーがいる状況では盗塁されやすくなってしまいます。
そのためクイック気味にも投げられるよう、フォームの無駄をなくし、テンポを上げる練習も必要です。
まとめ
球界の主流とは言えないアンダースローは、その希少性が強い武器となる投法。
一方で投げられる人が少ないため、コーチできる人もほとんどいないことが大きな弱点となっています。
逆に言えば、もし身近にアンダースローのコーチがいるのならそれはチャンスかもしれないということ。
遠心力を利用できる腕の長いピッチャー、大きく踏み込める長身のピッチャーはアンダースロー向きと言われていますから、条件が揃っている人はアンダースローに挑戦してみても良いかもしれません。
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