漫画「ちはやふる」の流行から注目を集めている「競技カルタ」。
一度でも目にしたことがある方は、そのスピードと迫力に圧倒されたことがあるのではないでしょうか。実際に競技カルタは「畳の上のスポーツ」「畳の上の格闘技」とも呼ばれています。
ここではスポーツとしての競技カルタを子どもが学ぶメリットをご紹介します。
競技カルタとは
競技カルタは百人一首を使い、1対1で行うカルタ取り。ただしそこには競技としてのルールがあります。
使う札は50枚
百人一首にはその名の通り100枚の札があります。ところがこれを全て使うわけではなく、50枚で行います。
競技開始前に、札を裏向きのままよく混ぜ、1人25枚ずつ取ります。残りの50枚は使わない「空札」。読み手は100枚から読みます。空札が読まれたのに間違えて札に触れてしまうとお手つきです。
自陣の札がゼロになったら勝ち
一般的なカルタ取りでは、バラバラに置いた札が全てなくなるまで行うのが一般的。しかし競技カルタは違います。
競技者はよく混ぜてから取った25枚の札を「自陣」に並べます。自陣の札を取ったら1枚減り、敵陣の札を取ったら1枚相手の陣地に送ることができます。また相手がお手つきをした場合も、相手陣地に札を1枚送ります。
こうして競技を進め、自陣の札がゼロになった時点で勝ち。そのため、自分の得意な札をわざと敵陣に送っておいて取るという作戦も可能で、多彩な作戦が生まれます。
スポーツとしての競技カルタ
競技カルタの激しい攻防はまさにスポーツ。実際に最近では日本各地で子ども向けの競技カルタのグループが「スポーツ少年団」として発足しています。
競技カルタに向いていると言われる適正は以下の4点。
・体力がある
・体幹がしっかりしている
・瞬発力がある
・聴覚が優れている
聴覚以外はまさにスポーツと同じ。これらの適正は天性の場合もありますが、競技を続けているうちに向上することがほとんどです。
体力
競技カルタの試合時間は平均して1時間半前後。大会では1日最大7試合行うこともあるため、10時間以上競技を行うことになります。
この間、句を読み上げる声に集中し、最大限のスピードを発揮するためには、かなりの体力が必要。そのため一流の選手になるには基礎体力のトレーニングは必須となります。
体幹
札を弾き飛ばす様子を見ると腕力が必要な気がしますが、実は最も必要なのは体幹の筋力です。それは畳の上で長時間前傾姿勢を取ることになるから。競技カルタでは、手は自陣の札より手前に置きます。
そして敵陣の札も狙うため、頭が自陣の上段より前に出ない範囲でなるべく前に出します。これはかなりの前傾姿勢。持久力のある体幹の筋肉が求められます。
瞬発力
瞬発力は競技カルタの生命線。過剰な力は必要ないとはいえ、瞬発力を上げる鍛錬は必要になります。
特に腕の振りを素早くスムースにすることが重要。そのために肘から先の筋トレを重点的に行っている選手もいます。
柔軟性
競技カルタで実は重要と言われているのが柔軟性です。特に肩や肘の関節が柔らかいことが重要。スムースに動けることで速さも上がります。また体が硬いと膝や腰が痛くなるという弊害も。
柔軟体操などをしっかり行うことが重要で、そういった面でもスポーツそのものだといえます。
子どもに嬉しいメリット
スポーツ的な側面も大きい競技カルタですが、子どもにとっては嬉しいメリットもたくさんあります。
・記憶力が鍛えられる
・集中して聞く能力が磨かれる
・積極性が身に付く
記憶力と聞く能力はもちろんですが、1対1の対戦に勝つために積極的に札を取りに行くことで積極性が身に付くのは大きな魅力です。ほかにも頭を使うことが好きになる、礼儀正しくなるなどの嬉しいメリットも。
競技カルタはどこで学ぶ?
子どもの成長のためにもメリットが多い競技カルタですが、小学校の活動などで行っている例はまだ少なく、習い事としての教室もほとんど存在しません。
では競技カルタを始めたい場合は、どうすればいいのでしょうか?
地域のカルタ会
実は教室がなくても競技カルタを始めることはできます。多くの地域には老若男女が参加する「カルタ会」があり、一般的には近くのカルタ会に入会して練習するのです。
カルタ会に入会すると、「全日本かるた協会」の会員となり、大会にも出場できるようになります。
競技カルタの費用は?
「カルタ会」の多くは、近場の公民館などで練習しています。カルタ会の会費はその使用料や運営費程度で、月々数百円ほどが一般的。競技カルタ用のカルタや膝サポーターなどを購入しても数千円の出費で済みます。
子どもの習い事としてかなり費用が抑えられることも魅力です。
まとめ
競技カルタは全日本かるた協会の級位や段位を取れば、履歴書に書くことも可能。しかも年齢や性別のない競技ですから、生涯を通じて楽しむことができます。
幼少期のスポーツ体験としても文武両道に役立つことからかなり魅力的。
まずは百人一首に触れてみて、もし子どもが興味を持つようでしたら、地域のカルタ会に見学に行ってみると良いかもしれません。