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子ども達への指導の「やり方」【くぼっちコラム】

もちろんやり方は指導者の数だけ千差万別、その人なりの方法がありますから、何か一つだけが正解ということはありません。

ですのでここでは、以前までの自分のやり方、そして今辿り着いたやり方、さらには「やってはいけないこと」について、書いていきたいと思います。

在り方とやり方、両方大事

サッカーに限らずどんな種目でも、子ども達への「指導」をするのであれば、前回書いたような「在り方」をしっかりと持ち、その上で、自分なりの「やり方」を持たなければいけません。

いくら指導者として立派な在り方を持っている人でも、子ども達を楽しませながら上達させる術を持っていないのならば話になりませんし、その逆もまた然り。

いくら楽しくて効果的な練習メニューをたくさん持っている人でも、まず指導者としての在り方がまるでない人だとしたら、その人が持つせっかくのスキルも、子ども達にはきっと何も伝わらずに終わってしまうでしょう。

どちらかだけではダメで、両方大事なんですよね。だから、僕も両方書こうと思いました。

以前までの自分、今の自分

今から20年以上前、自分でクラブを立ち上げたばかりの当時は、とにかく「1から100まで何もかも教えなきゃ!」と熱くなってしまい、練習では手取り足取り子ども達に指導をし、試合でもプレーに関することは全て指示を出して子ども達を動かすという、、あの頃の自分は、思い出せば今でも顔を覆いたくなるような、恥ずかしい指導者でした。

事細かにやってあげること、言ってあげることが指導だと思っていたし、そうでないと子どもはうまくならない、試合にも勝てない、と真剣に信じていましたから。

もちろん、そんな指導では子ども達に何も伝わりません。試合にも勝てない。きっとあの当時の僕の指導に嫌気がさしてクラブを移籍してしまった子や、ひょっとしたらサッカー自体を辞めてしまった子もいたと思います。今思えば、本当に申し訳ないことをしました。

そんな若さ全開のイタい時期を過ぎ、紆余曲折ありながら経験も積んでいく中で、それではダメなのだと気づきます。
子ども達の興味を引き出すようにしなければいけないし、何よりもまずは子ども達自身で考え、答えを導き出すようにしなければと思うようになりました。

そう思うことで、練習に集まった子ども達にはまず彼らだけでゲームをやってもらうという習慣ができ、やがてそれはクラブの当たり前の風景となり、名物にもなっていきました。

彼ら彼女らが最初から楽しそうにゲームをやっている姿を見て、「じゃあ今日はこんな練習をしようかな」と、あくまでも目の前にいる子ども達のその日の雰囲気や様子を見てメニューを決めていくというスタイルに落ち着いたのです。

それは試合でもそう。メンバーはまず子ども達だけで相談して考える。試合も自由にやる。
その上で、試合が始まってみて何か問題が起きたり、選手同士のマッチングなどでうまくいかないな⋯というときに、初めてこちらが介入して一緒にその試合を乗り切る方法を考える、、という感じで、クラブチームを持っていたときは最後まで、そんなやり方で通してきました。
勝てないことも多かったけれど、あのやり方は決して間違いではなかったと思っています。もちろん、正解でもないのかもしれません。

そして今は個人レッスンなどもやらせてもらうことが多くなり、また高校生の指導にも携わらせてもらっています。
個人レッスンの場合はチーム全体を見るわけではなく完全に「個人対個人」ですから、その選手をよーく観察し、さらに観察に観察を重ねて、必要なことを伝え、その選手に合った方法で一緒に改善していくというやり方をしています。

高校生の場合はチーム全体のコーチなわけですが、多感な高校生、やはり個々の観察は不可欠です。個人個人で現状や背景そしてもちろんスキルも違いますから、一様に「じゃあこうして!」というのではきっと伝わらない。

個々に特化した伝え方をしながら、でもチームの味方同士でそれをどう擦り合わせていくか、という観点を多く話すようになりました。
部員は約50名。僕ら指導者側から見たら1対50ですが、彼らからしてみたら1対1ですからね。

やってはいけないこと

やってはいけないこと、これはもう明確です。体罰や暴言はもちろん論外ですが、ミスをした選手をすぐに責めたり、起きたことばかりに反応して何でもキーキーと言ったり。これは絶対にダメですよね。

そのミスにはどんな理由があったのか、本人にはどんな狙いがあったのかをちゃんと想像して、ときには本人にもちゃんと聞いて、その上で対応してあげないといけません。
そして先ほど書いた、昔の僕のような「1から100まで」を絶対にしないこと、ですね!

まとめ

冒頭にも書いた通り、やり方は人それぞれいろんな方法があっていいのだと思います。

指導者それぞれがしっかりと自身の矜持を持ち、その人ならではのやり方を見つけ、実践と失敗を繰り返しながら自分なりにアップデートしていくことが大事ですね。

しかし「やってはいけないこと」はどんな指導者でもきっと全世界共通!なはずです。

次回はここからさらに踏み込んで、「子ども達への伝え方いろいろ」というテーマで書いていきます。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。



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くぼっち

くぼっち

見方と考え方が変われば違う景色が見える。違う自分になれる。現実の殻を破るのだ

20年以上サッカーのプロコーチをしてきましたが、サッカーよりも好きなものがたくさんありすぎて、その影響か、サッカーを別の角度から見たり、疑ったり、これまでの見方を変えてみるという悪癖があります。でもそうすると、これまでとは全く違う景色が見えたり、新たな興味も湧いてくるんですよね。理想が現実を塗り替えていく、そんな世の中にしたいです。

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