今回からは「サッカーにおける《攻撃》とは」というテーマで攻撃について考察し、またシリーズの中で独自の掘り下げ方をしていきたいと思います。
その初回である今回ですが、攻撃シリーズを始めるにあたり、そもそも《攻撃》とは何なのかという大前提について書いていきます。
「攻撃」「攻め」「オフェンス」「マイボールのとき」言い方は多々あるでしょうが、意外とその定義づけはあまり明確にはなっていません。もちろんこちらにボールがあるときが攻撃、というのが一般的ではあるのでしょうが、果たして本当にそうなのでしょうか。ボールがあるときは全て攻撃なのか。ボールがないときには攻撃できないのか。ボールがあるときに全部攻撃しようとしてしまうから、うまくいかないのではないか。
そんな、ちょっとひねくれた考察です。どうかお付き合い下さい。
そもそも《攻撃》とは何なのか
そもそも「攻撃」とは何でしょう。まずは「攻撃」という漢字を分解してみましょう。
「攻撃」
攻めて、撃つ、と書きます。うーん、早くも少し怪しくないですか。こちらがボールを持ったその瞬間から「攻めて撃つこと」が毎回すぐに始められて、それをずっと続けられるでしょうか。できる時もあるかもしれませんが、マイボールの時間は全て攻めて撃って攻めて撃って、ということはまずできないですよね。
少し話は飛びます。実はこの攻撃シリーズの後には「守備シリーズ」を用意しているのですが、守備が終わるのって、いつでしょう。
守備シリーズを始める前に少し先出ししちゃいますが、それは「相手のボールを奪いに行く瞬間から」です。
ボールを奪ってからではなく、奪いに行き始めた瞬間から。
そう、しっかりブロックをつくって網を敷いてゾーンで守って、という「守備モード」からスイッチを切り替え、相手ボールを完全に奪いに行くモードに切り替えた瞬間。それはもう守っている状態ではなくて、相手ボールを「攻撃」しに行ってるんですよね。
なので、攻撃が始まるのは「相手ボールを奪いに行く瞬間」です。
この前提のもとに、ここから話を進めていきます。
攻撃と攻撃の間にあるもの
相手ボールを攻撃しに行ってボールを奪った。攻撃の始まりが成功しました。しかしここからずっと攻撃が続くのではなく、この後には、別のモードが発生します。
「保持」「様子見」「揺さぶり」「攻略」です。もちろんこの4つ全てを経由しなければいけないということではないですし、相手が戻り切れていない状態で奪ったのならば、奪った攻撃モードのままで一気にカウンターアタックを行い最後まで仕留める、というのもありでしょう。
しかしここでは、カウンターができない状況を想定して書いてみますね。
相手からボールを奪うための「攻撃」が成功した後は、まずは簡単に奪い返されないことです。つまり「保持」です。
そして保持しながら、相手の陣形や出方を見る「様子見」をしつつ、相手を崩すため、背後を取っていくために「揺さぶり」「攻略」していきます。揺さぶりや攻略の仕方は、次回以降のコラムで言及していきます。
そして最後。読んで字の如く「攻めて撃つ」つまりシュートを撃って攻撃を終える。
これこそがまさに「攻撃」の定義、だと思うのです。
いつ攻撃を始め、どう終えるのか
つまり、こちらにボールがある時間は全て攻撃の時間ということでもないということ。ここでもまた日本語を活用して考えるのであれば、保持、様子見、揺さぶり、攻略を経て、最後にもう一度攻めて(崩す、背後を取る)撃つ(シュート)攻撃により、ゴールを決める。
いつ、攻撃を始めるのか。攻撃の始まりは相手のボールを奪いに行く瞬間からと定義するならば、相手のボールを攻撃しに行くのはいつか。それをチームで共有する。そしてボールを奪った後はそれをどう保持し、どういう基準で相手を見て、どう揺さぶって相手をどう攻略するのか。
そこを合わせていくことこそが、チームのスタイルとなっていくのではないでしょうか。
相手のボールを奪いに行くところから攻撃が始まり、最後の攻撃までの間には保持、様子見、揺さぶり、攻略がある。
いつ攻撃を始めて、どのように保持から攻略までを表現し、いつ、どのように攻撃を終えるのか。
攻撃と攻撃の間にあるものを理解しているのとしていないのとではサッカーの見方や理解にも大きな違いが出てくると思いますので、サッカーを観戦の際は、ここまで書いてきたような観点でいると面白いかもしれません。
「あぁ、今は様子を見とんのやなぁ。どう攻略するつもりなんやろ」と。
最後に
いかがでしたでしょうか。こういう定義づけは、サッカーを整理して考えるためにはとても分かりやすい方法かと思います。皆さんも皆さんなりに独自の見方を探してみたら、これまでよりもさらにサッカーを楽しく、興味深く観ることができるかもしれません。
次回は「ボクシングのように攻める」です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。