日本プロ野球には様々な選手表彰やタイトルがありますが、その中でも、シーズンを通して各ポジションで最も守備力に卓越した選手(守備の名手)に与えられるのがゴールデングラブ賞です。
1972年にダイヤモンドグラブ賞として創設され、1986年からスポンサー企業の協賛により、現在の名称(正式名称:三井ゴールデン・グラブ賞)となりました。
歴代の上位受賞者についてみていきましょう(敬称略)。
セリーグのゴールデングラブ・歴代上位受賞者
セリーグのポジション別上位受賞者から確認します。
投手
巨人の西本(連続7回含む8回:最後の1回は中日時代)、桑田(8回)、堀内(連続7回)と、巨人の選手が図抜けています。
他球団では広島の前田(4年連続含む5回)などいますが、上の3人には大きく水をあけられています。
捕手
ヤクルトの名捕手・古田が10回と「ダントツ」。
その古田と並び称される横浜~中日の谷繁と、ヤクルトの大矢がそれぞれ6回と続いています。
一塁手
ここでも、投手と並んで巨人の独壇場です。
あの「世界の王」こと王貞治が連続9回、中畑(連続7回)がいますが、駒田が最多の7回連続含む合計10回と、最多を誇ります。
二塁手
年間守備率10割を達成した、広島の菊池が連続9回(継続中)で、「神がかり的」な存在です。
これに中日の荒木(連続6回)が続きます。
三塁手
群雄割拠のポジションです。
ミスタータイガース・掛布とヤクルト・岩村がそれぞれ6回、ヤクルト・宮本(連続4回:他に遊撃手で6回)など。
ちなみに初代受賞者はミスタープロ野球・長嶋茂雄です。
遊撃手
大洋・山下大輔(連続8回)がトップで、他にも中日・井畑(連続6回含む7回)、ヤクルト・宮本(連続5回含む6回)、巨人・川相(5回)などの名手が揃(そろ)っています。
外野手
外野手は、セ・パ両リーグとも「左翼手」「中堅手」「右翼手」の区別なく、外野手全体(各年度3人)として括(くく)られます。
「ミスター赤ヘル」山本浩二(連続10回)、ヤクルト・飯田(連続7回)、巨人・高橋由伸とヤクルト・青木(それぞれ6回連続含む7回)、阪神・新庄(5回連続含む7回)、中日・大島(合計7回:継続中)、阪神・赤星(連続5回含む6回)など、錚々(そうそう)たるメンバーが名を連ねます。
パリーグのゴールデングラブ・歴代上位受賞者
続いてパリーグについて見ていきます。
投手
西武の松坂(7回)がトップで、次に同僚の東尾(連続5回)、阪急・山田(5回)などが挙げられますが、セリーグほど突出した状況ではありません。
捕手
西武・伊東が合計11回の記録を誇り、次いでダイエー・城島が連続7回選出されています。
最近ではソフトバンクの甲斐が連続5回で、なお継続中です。
一塁手
外国人選手が多いポジションのため、飛びぬけた選手は見当たりませんが、西武の清原と日ハムの小笠原がそれぞれ5回受賞しており、日本人選手としては最多です。
二塁手
西武の辻(連続7回)が突出しており、日ハム・田中(連続5回)がこれに続きます。
三塁手
セリーグ同様、多くの名手が林立(りんりつ)していまが、最多は現役のソフトバンク・松田(連続7回含む8回)で、近鉄・中村(連続4回含む5回)、西武・石毛(5回)などが続きます。
遊撃手
阪急の名手・大橋が初回から連続7回選出です。
西武・石毛はここでも5回(三塁手とあわせて合計10回の記録はセリーグの宮本と同様)選ばれています。
現役ではソフトバンク・今宮(連続5回)、西武・源田(連続4回:継続中)がいます。
外野手
スーパースターが名を連ねています。
「世界の盗塁王」阪急・福本(連続12回はプロ野球記録です!)、西武~ダイエーの秋山幸二(連続10回)、阪急・蓑田(連続8回)、MLBに羽ばたく以前のオリックス・イチロー(連続7回)、日ハム~オリックス・糸井と西武・平野(それぞれ連続6回)など。
連続受賞者が多いことが特徴です。
セ・パ両リーグの歴代ゴールデングラブ受賞者ベストナイン
セ・パ両リーグの歴代ゴールデングラブ賞受賞上位選手についてみてきました。
その中から、両リーグの歴代ゴールデングラブ賞上位受賞者によるベストナインを選定したいと思います。
セリーグ
【投手】西本(巨人~中日)、桑田(巨人)
【捕手】古田(ヤクルト)
【一塁手】駒田(巨人)
【二塁手】菊池(広島)
【三塁手】掛布(阪神)、岩村(ヤクルト)
【遊撃手】山下(大洋)
【外野手】山本浩二(広島)、新庄(阪神~日ハム:合計では10回受賞)、飯田(ヤクルト)、高橋(巨人)、青木(ヤクルト)、大島(中日)
パリーグ
【投手】松坂(西武)
【捕手】伊東(西武)
【一塁手】清原(西武)、小笠原(日ハム)
【二塁手】辻(西武)
【三塁手】松田(ソフトバンク)
【遊撃手】大橋(阪急)
【外野手】福本(阪急)、秋山幸二(西武~ダイエー)、蓑田(阪急)
まとめ
ところで、冒頭に述べたとおり、このタイトル自体が「1972年」発足ということから、プロ野球のオールドファンにはやや物足りない、あるいは不公平だと感じられる方もいらっしゃることでしょう。
例えば、「(今)牛若丸」と称された阪神の遊撃手・吉田義男や、中日の「バックハンドトス」の名二塁手・高木守道、そして巨人の「(新)塀際の魔術師」高田繁など。
また、この賞が制定された時代には既に晩年を迎えていた巨人の長嶋茂雄、その長島と華麗な三遊間を組んだ「六大学の貴公子」広岡達郎や、南海の野村克也・巨人の森昌彦といった捕手陣、南海の名内野手・木塚忠助や、阪神の鎌田・三宅の三遊間など、など・・・。
当時からこのタイトルがあれば、更に凄(すご)い記録が誕生していたことでしょう。
それにしても、守備の名人・達人のプレーを楽しむことは、粋な野球ファンの醍醐味でもあります。
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