日本のプロ野球(NPB)にはシーズン終了後、選手の活躍を称えるさまざまな選手表彰が行われます
それらは、本塁打数や勝利数、打率や防御率など細かい数字での比較が行われる個人タイトルとは別で、投票や審議された上で決まるものです。しかし、個人成績各部門の1位に与えられるタイトルと同様、選手にとって名誉であることに変わりはありません。
今回は、日本のプロ野球における個人表彰について、どのような種類があり、またその選考方法についてなど、詳しくみていきたいと思います。
最優秀選手
最優秀選手とは、シーズンでもっとも活躍した選手が選ばれます。通称、MVP(Most Valuable Player)という呼び方も一般的でありますが、最高殊勲選手と呼ばれることもあります。
記者投票によって選出され、投票資格は全国の新聞、通信、放送に携わり、一定の期間(5年以上)プロ野球を担当した者と定められています。
選ばれる対象となるには、様々な要素が当てはまります。
主にリーグ優勝を果たしたチームの中で、もっともシーズンを通して勝利の貢献度が高かった選手や優勝チーム以外からも個人成績で極めて高い成績(3冠王など)を収めた選手も選出されて来ています。
セ・パ各リーグ1人ずつが選ばれるという、選手としての最高の栄誉だと捉えられるでしょう。
沢村賞
プロ野球黎明期であった戦前、剛球投手として名を馳せた、沢村栄治の功績を称えて制定されました。沢村賞(正式名称は沢村栄治賞)は、そのシーズンで両リーグ通じて、一人だけ選ばれます。
前述の記者投票に加え、選考委員の審議により選出されます。先発投手が対象で、7項目の選考基準のうち、一定の成績をクリアする必要があります。
選考基準は以下の通りです。
・登板試合数25試合以上
・完投試合数10試合以上
・勝利数15勝以上
・防御率50以下
・勝率6割以上
・奪三振150個以上
・投球回数200イニング以上
上記7つの基準が定められていて、全てをクリアする必要はありませんが、近年では先発投手の完投数が減ったことで、「完投試合数」の基準である「10試合」に対し、大きく届かないシーズンが殆どです。
それにより、リリーフ投手の登板が格段に増えた現代の試合展開に見合った選考基準の見直しを求める声も少なくありません。
ベストナイン
ベストナインは、両リーグ、各ポジションに、好成績を残したプレーヤーが選ばれます。パ・リーグは9つのポジションの他に、指名打者制度が採用されていますが、「最優秀DH賞」として、区別されています。
記者投票による選出ですが、ポジションごとの選出のためMVPとは異なり、個人成績がより反映されやすい賞といえます。また、投票により一つのポジションで複数の選手が同票となった場合は、同じ投票数となった選手の同時受賞となります。
ゴールデングラブ
ベストナインと同様、各ポジション一人ずつが記者投票により選ばれますが、こちらは守備において優れたプレーヤーに贈られる賞です。
ただし、目に見える数字が判断材料となるベストナインと違い、数字に表れないプレーとなる守備力により選出されるため、有資格となる選手が対象となります。
投手であれば規定投球回以上、またはチーム年間試合数の3分の1以上の登板、野手はチーム試合数の半数以上を同じポジションでの出場が必要とされています。
新人王
新人王はその年の最も活躍した新人選手が選ばれます。正式には「最優秀新人」とい名称となっています。
各リーグ一人ずつ、記者投票により選出されますが、成績などを踏まえ、相応しい選手がいないと判断した際には「該当者なし」との票を投じることもできる(実際、受賞者が居ないシーズンもありました)。
また、新人が対象となるが、必ずしも1年目の選手だけではなく、出場試合数などにより、入団から2年目以降の選手も該当するケースもある。
対象となるのは、以下の全項目を満たす選手に与えられる。
・米国など、他国のプロ野球リーグに参加した経験がない
・支配下選手として初めて登録されてから5年以内
・投手として前年までの1軍での登板イニング数が30イニング以内
・打者として前年までの1軍での打席数が60打席以内
また、日本人選手だけでなく、外国籍選手でも、海外のプロリーグ経験が無ければ新人王の対象となります。
まとめ
今回紹介した表彰はそれぞれが、前述の通り明確な数字で表れない要素で決まる賞と言えるでしょう。
MVPや新人王などは、特に優れた成績の選手が複数いた場合は意見が分かれ、関係者やファンの間で大きな話題となります。また、新人王では過去4人も新人王に相応しいとされるプレーヤーが活躍したシーズンがありました(1998年セ・リーグ)。
この時には、新人王以外の3人には特別表彰が贈られることになるほど、レベルの高い新人王争いとなりました。
その他の賞も、発表が行われるまで結果がわからないものが殆どであるため、多くのファンにとっては想像を膨らませることが出来る、大きな楽しみであるとも言えるでしょう。
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