犬を飼う時に気を付けなければいけないことの一つが、運動不足を解消するために日々の散歩を欠かせてはいけないということでしょう。
散歩の量は犬種によって異なりますが、運動量の多い犬を飼えば飼うほど長時間の散歩や複数回の散歩が必要になってきます。
反面、犬を飼うようになってから散歩と餌の時間を気にするようになり、不規則だった生活が規則正しくなり、健康的になったという話もよく耳にすることでしょう。
そんな中、愛犬の元気な散歩についていくためにも、より健康になりたいと考える人は少なくないはずです。そんな人にぴったりな、愛犬との絆をより深めつつ適度な運動ができるスポーツがあります。
今回はそんなフリスビードッグについて詳しく解説していきます。
フリスビードッグの起源・歴史について
このスポーツが正確にはいつ始まったのかはわかっていません。しかし、「犬はフリスビーで楽しく遊んだり、スポーツを行ったりできるものらしい」と人々に広く知らしめた出来事が1974年にありました。
この年の8月、メジャーリーグの試合に沸き立つドジャーズスタジアムでそれは起こったと言われています。この試合の7回と8回の間のタイミングにて、アレックススタイン氏とその愛犬であるアシュレイ・ウィペットが突然グラウンドに飛び出したのです。
スタイン氏は最終的に逮捕されてしまうのですが、それまでの8分間に愛犬とともに見事なパフォーマンスを行ったと言います。この試合は、全米にテレビ中継されていました。
パフォーマンスの内容は「フリスビーを犬がキャッチする」というものであり、全米の人々に強烈なインパクトを与えるには充分だったのです。
そして、この試合を偶然見ていた人物がいました。当時の世界フリスビー協会の会長である、アーブ・ランダー氏です。
彼は一人と一匹のこのパフォーマンスに注目しました。その後に行われたローズ・ボウル・スタジアムでのフリスビー世界選手権でのデモンストレーション・エキジビションを皮切りとして、スポーツとしてのフリスビードッグの歴史が幕を開けたのです。
日本におけるフリスビードッグの歴史について
日本におけるフリスビードッグは、アメリカのそれと比べるとまだまだ歴史が浅いと言えるでしょう。
1994年7月に、現日本フリスビードック協会代表である山田仁氏によって、日本フリスビードック協会が設立されたことが始まりでした。
その後、日本各地でフリスビードックの普及活動と本格的な競技会が開始されたと言われています。
フリスビードッグの始まりとなった出来事がアメリカのメジャーリーグでのアレックススタイン氏と愛犬のパフォーマンスであったことは先述した通りですが、日本におけるフリスビードッグもまた野球とは切っても切れない縁があります。
というのも、協会設立の翌年である1995年、プロ野球オールスターゲームにフリスビードッグが登場しているのです。超満員だった広島市民球場の5回と6回の間の10分間に、日本のフリスビードッグたちが登場。
華麗な演技を披露して、その模様が全国に生中継されることになりました。この事がきっかけで、愛犬とフリスビーでスポーツを行うということが、日本国民にも広く知らされるようになったのです。
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フリスビードッグと関連のあるスポーツ
先述した通り、フリスビードッグと野球には強い結びつきがあります。
野球がなければ、フリスビードッグというスポーツが始まることも、人々に知らしめられることもなかったと言っても過言ではないからです。
そんな野球の起源については諸説あります。先史時代には、人が野球のボールくらいのサイズの石を用いて投げるという行為を行っていたことはわかっていますが、かつてのそれは武器としての意味合いが強く、スポーツではなかったようです。
さらに時が経ち農耕が発展していくと、ボール=球体は「世界と宇宙」、つまりは権威の象徴として多くの祭儀に利用されるようになりました。
古代エジプトやその他の地方では、王が球を棒で打ち、その飛び方で農作物の豊凶を占っていたことがわかっています。
そんな野球の起源となるスポーツが生まれたのが、12世紀頃のフランスのことでした。ここで“ラ・シュール”と呼ばれる競技が誕生しています。
このゲームは2チームに分かれて、足や手、棒などを使い敵陣に設置された2本の杭の間にボールを通すゲームでした。
野球のみならず、あらゆる球技の原型とされるスポーツです。
ただし、当時は死傷者が出るほど危険な競技であったことも知られています。
フリスビードッグの競技人口について
世界的な競技人口ははっきりしていませんが、日本フリスビードッグ協会によると日本では急速にプリスビードッグを楽しむ人が増加しているとのこと。現在では、会員6000名以上を数え、約130名のインストラクターが活動しているそうです。
フリスビードッグのルールについて
フリスビードッグは、現在大きく分けて二つの種目があります。
一つ目はディスタンス。設定された時間内に犬がフリスビーを何回、どのような状態でキャッチできるかを競うというもの。
一回投げるごとにポイント制で採点していき、時間内での合計得点の多いチームが上位となるのです。
ちなみにポイントには距離も大きく関係しています。人がフリスビーを投げた地点と、犬がキャッチした地点との距離が長いほど高いポイントがつくのです。
さらに、犬がジャンプしてキャッチすることができた場合はより高得点を得ることができます。
この種目では、カテゴリーによってポイントエリアに違いがあります。
例えばビギナーでは、短距離からポイントが発生するのに対して、上位クラスになると最低15メートル以上の距離を取った上でフリスビーを投げないと、犬がキャッチしてもポイントが得られないので注意が必要なのです。
また、公式戦コート(JFA公式コート)は、30メートル以上からポイントエリアの幅が徐々に狭くなるという、非常に難易度の高いコート設定となっています。
それぞれのカテゴリーごとに、必要な戦略も変わってくるのです。
さらに、この競技は犬がキャッチして終わりではなく、きちんと人のところまでフリスビーを持って帰ってこなければ成功したことになりません。
人のところまできちんと持ってきたところで、ようやくポイント確定となるのです。
もう一つの種目はフリーフライトと言い、競技性が大きく異なってくるものとなっています。スピードスケートとフィギュアスケートの違いに近いかもしれません。
5枚から7枚のフリスビーを120秒間、音楽に合わせて自由に投げて犬と一緒にパフォーマンスを行います。フリスビーをキャッチする犬と人の演技の美しさを競うのです。
技の成功率や難易度、コンビネーションなどでジャッジされることになります。
フリスビードッグの国際的な大会について
現在大きな国際大会などは行われていないようですが、日本フリスビードッグ協会によれば年間延べ120日以上の大会を日本全国で開催しているそうです。
2022年の7月には、『JAPAN FRISBEEDOG ASSOCIATION PRESENTS CHAMPIONSHIPS 2022-2023』が京都にて開催予定となっています(2022年7月8日時点)。
世界から見た日本のフリスビードッグの強さのレベル
大きな世界大会などはまだ開催されていないため、日本のレベルおよび世界のレベルは未知数となっています。
しかし、犬と一緒にスポーツを楽しみたい人が増えると同時に、フリスビードッグの選手数(と、一緒に競技を行う愛犬の数)は増加傾向にあります。
いずれ日本の愛犬家たちが、世界の愛犬家たちと華やかな舞台で競う日も近いかもしれません。
まとめ
フリスビードッグはどんな犬種でもできるスポーツと言われています。
特にレトリーバー系の犬種や、ウェルシュ・コーギー・ペンブローク、ボーダー・コリーなどの犬種が特に向いています。
世界の愛犬家の皆さんも、犬と人の競技を観戦することが好きな皆さんも、ぜひこの競技についてさらに詳しく調べてみてください。
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