揚力を使って水上を滑走する「セーリング」。東京2020オリンピックにも種目として採用され、注目を集めています。
とはいえ、セーリングに関してまだ馴染みのない人も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、セーリングの歴史や基本的なルール、世界から見た日本のセーリングなどについて解説します。
セーリングの起源・歴史について
セーリング発祥の地はオランダ。移動手段がまだ少ない時代に、海を渡るためにヨットが誕生しました。
ヨットが誕生した当時は、スポーツ的な要素は少なく、輸送や連絡などに利用されていたようです。
セーリングがスポーツとして誕生したのは1720年。世界最古のヨットクラブがアイルランドで設立されたのが始まりとされています。
また、20世紀の後半までヨットは艇の購入や維持費が高価であったことから、お金持ちのスポーツでした。
しかし、1950年代から1960年代にかけて、ボートの製造が安価にできるようになったのをきっかけに普及しています。
日本におけるセーリングの歴史について
日本で初めてヨットレース(セーリング)がおこなわれたのは1875年。ボートはすでに大学予備門などの上級学校に導入され、1890年代には各地の師範学校や旧中学校でレースがおこなわれていました。
その後1932年に「日本ヨット協会(JYA)」が発足しています。
1999年になると日本ヨット協会(JYA)と日本外洋帆走協会(NORC)が統合され、財団法人日本セーリング連盟(JSAF)が発足されました。
セーリングと関連のあるスポーツ・派生したスポーツ
スポーツとしてのセーリングは艇体(ボート)の大きさによって分類されています。
それぞれ小さいものから、RSX級、レーザー級(レーザーラジアル級)、フィン級、470級、49er級(49erFX級)、フォイリングナクラです。
なかでもウィンドサーフィン(RSX級)はマリンスポーツとして、男女問わず多くの人に親しまれています。
そんなウィンドサーフィンの最大の魅力は「自然をダイレクトに感じられる」こと。落ち着いた波の日だけでなく、荒れた海でも滑るようにサーフィンを楽しめます。
またウィンドサーフィンは、全身の力で帆を動かし推進するので、体力や持久力が必要なスポーツでもあります。
セーリングの競技人口について
2018年に開催された、セーリングのオープン競技会「YANMAR CUP in BIWAKO」では、会場に900名ほどが訪れています。
しかし、実際に競技したのは約50艇であり、競技の参加者はさらに少ないと考えられます。
また東京2020オリンピックでは、セーリング競技の参加者が350名でした。同じウォータースポーツの競泳は182カ国875名であるため、セーリングは競泳の半分以下の人数であることが確認できます。
セーリングに関する具体的な競技人口は不明ですが、開催されている大会の参加者数を見ると、ウォータースポーツのなかでも、マイナーであることがわかるでしょう。
セーリングのルールについて
セーリングは揚力(帆に働く力)を使って、水上を滑走する競技です。刻々と変わる波や風の動きをコントロールしながら、指定されたルートを進みます。
オリンピックでは、6分前からスタートのカウントダウンが開始。スタートは2隻の運営ポートで挟まれた仮想のスタートラインを通過しなくてはなりません。
順位はゴールの到着順に点数化され、1位=1点、2位=2点、3位=3点などと低得点方式に基づきます。そして最終レースの終了と同時に順位が確定され、各レースの合計点がもっとも低いチームが勝利となります。
スタートミスやレース中の違反行為によりペナルティを受けると、即失格になったり、レースの参加艇数に1を加えた得点が与えられたりします。
セーリングの国際的な大会について
セーリングには、国際セーリング連盟が主催する「セーリングワールドカップシリーズ」があります。大会は世界を駆け巡りながら、1年間に4大会開催され、総合チャンピオンが決められます。
2021年のワールドイズワン江の島セーリングカップは、東京五輪会場である江の島でおこなわれました。
世界から見た日本女子セーリング&日本男子セーリングの強さのレベル
セーリングの種目のなかで日本人に適しているのが、470級(ヨンナナマル)です。
1976年のモントリオールオリンピックで男女区別なしの種目として採用され、1996年のアトランタ大会で女子ペアが銀メダルを獲得しています。そして2004年のアテネ大会では、470級で男女ペアが銅メダルを獲得しています。
そのほか2018年江の島ヨットハーバーで開催された世界選手権では、吉岡愛選手と吉岡美帆選手が470級で総合2位という快挙を果たしました。
さまざまな種目のなかで、470級の種目は世界的に見ても強いといえるでしょう。
まとめ
セーリングは、1720年に誕生した歴史のあるマリンスポーツです。
体を大きく動かすだけでなく、帆で受ける風や波を読むといった頭脳も必要になります。
オリンピックに採用される種目でありながら、まだ認知度が低いセーリング。
本記事を参考に少しでも興味を持っていただければ幸いです。
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