パリオリンピックのサーフィンはこれまでにない試みが話題となっています。
それはフランス本土ではなく、ポリネシアのタヒチで開催されるということ。
パリオリンピックは選手村があるパリの狭い範囲で多くの競技が行われるのもアピールポイントなのに、サーフィン会場だけは1万5706kmも離れているのです。
今回は、パリオリンピックのサーフィン競技に注目。
その会場や、競技の見どころなどを分かりやすく解説します。
【オリンピック】サーフィン競技採用までの経緯
そもそもオリンピックでなぜサーフィン競技が行われているのでしょうか。
まずはその経緯をご紹介しましょう。
ルーツはハワイの英雄
オリンピックとサーフィンの関係は1920年までさかのぼります。
サーフィンを世界に広めたのは、ハワイ出身のデューク・カハナモクという人物。1910年代から100m自由形で活躍し、3度も金メダルを獲得した彼はハワイの英雄でした。
しかし彼が競泳よりも得意としていたのは、実はサーフィン。デューク・カハナモクは競泳選手として訪れた国でサーフィンの魅力を広め、1920年からサーフィンをオリンピック種目にするための活動も行いました。
しかし残念ながらその活動は認められなかったのです。
2020東京大会で初採用
その後も国際サーフィン連盟は長い間、サーフィンをオリンピック種目に推すキャンペーンを継続しました。
そして若者を中心に人気が高く、海で行われるため設備費用も少ないという理由で、サーフィンは2020東京大会からついにオリンピックの公式競技となったのです。
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【パリオリンピック】サーフィン競技はなぜタヒチ?
パリオリンピックのサーフィン競技は、ポリネシアのタヒチ島で開催されます。
パリでサーフィンは難しいとしても、なぜフランス本土ではないのでしょうか?
フランス本土ではサーフィンはできない?
サーフィンにあまり詳しくない日本人なら「フランスにはサーフィンができる海岸がないから」と考えるかもしれません。
確かにハワイやカリフォルニアと比べて、フランスにサーフィンのイメージがあまりないのは事実。
しかしフランスでサーフィンができないということはないのです。
ヨーロッパ随一のサーフスポットも
フランスのサーフスポットとして有名なのは、スペインとの国境に近いバクス地方。
サーフィンの世界大会の一つである「クイックシルバー・プロ・フランス」の開催地となっているホセゴーなど多くの名所があり、アメリカのカリフォルニア、オーストラリアのゴールドコーストと並んで、ヨーロッパのサーフィンカルチャーの中心地となっています。
海岸には大西洋から大きなうねりが届き、コンディションが良ければチューブもできるほど。天候によって波が変わりやすいのは難点ですが、十分にオリンピックを開催できるサーフスポットだといえます。
タヒチが選ばれた理由
タヒチはパリよりもむしろ日本からの距離の方が近い太平洋の島。
しかしフランス領であり、現地の政府とフランス政府が統治しています。
今回、タヒチ島がサーフィン競技の会場に選ばれたのは、海外領も含めたフランスの幅広い伝統を世界にアピールしたいというオリンピック組織委員会の狙いがあるのです。
フランスの海外領がオリンピックの会場になるのはこれが初。
たしかにポリネシアの島で開かれるオリンピックというのは魅力的ですね。
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【パリオリンピック】サーフィン競技の会場
パリオリンピックのサーフィン会場となるのは、タヒチ島のチョープー。
ここはどのような場所で、どのような波が見られるのでしょうか。
会場はサーファーの夢の舞台
サーフィン競技の会場となるチョープーはタヒチ島の南西海岸の村。
チャンピオンシップツアーの「タヒチプロ・チャンピオンシップ」が行われているエリアがオリンピック会場になります。
ここは世界のトップサーファーにとって夢の舞台のひとつです。
チョープーの波の特徴
チョープーの波は「チョープス」とも呼ばれる独特なもの。400m沖合で出現するリーフブレークで、美しいチューブが有名です。水量が多くヘビーで、チューブが長く続くのも特徴。波の高さは通常でも2mから3m。最大で7mにもなります。
オリンピックでは美しいチューブライドに期待したいところです。
求められる勇気
しかし実はチョープーのサーフィンはとても危険。かなりの勇気が求められると言われています。
その理由は、波の起こるリーフがとても浅いから。
リーフエッジの外側は15mの深さがあり、そこを進んできたうねりがサンゴ礁の浅瀬に入って急激に立ち上がるのですが、そのサンゴから水面までは50cmしかないところも多いのです。もしも浅場で波に巻かれると非常に危険。
チョープーの波に乗るトップサーファーたちは、高い技術だけでなく恐怖に打ち勝つ精神力も求められるのです。
チョープーで有利なのは?
サーファーにはサーフボードに立ち上がったときに左足が前にくるレギュラースタンスと、右足が前にくるグーフィースタンスがいます。
このスタンスによっては波との相性が存在するのも面白いところ。
チョープーの波はレフトハンド・ブレイクといい、サーファーから見て右側から左側へと崩れていきます。サーファーは左側にサーフボードを進めるため、波を目の前に見ながらフロントサイドでライドできるグーフィースタンスの方が有利だと言えるのです。
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【パリオリンピック】サーフィン競技のルール
最後にパリオリンピックでのサーフィン競技のルールを解説しましょう。
競技形式
パリオリンピックのサーフィン競技は東京オリンピックと同じショートボード限定で行われます。
出場選手の数は男女それぞれ20人。一定時間内に何度も波に乗るヒート形式で行い、スコアが高い選手が次のステージに進出できるという形式です。
採点
審判は技術的難易度、革新性、多様性、スピード、力、フローなどを基準として選手のパフォーマンスを評価。それぞれの波につき10点満点で採点します。
1ヒートの時間は一般的に20分から25分。その間に選手は1人10本から12本ほどの波に乗ります。得点になるのはそのうち点数が高かった2本の合計点です。
まとめ
魅力的なパリの街に加えて南の楽園タヒチまで見られるということで魅力倍増のサーフィン競技。
タヒチの波の特徴について知れば、競技がより楽しめるのでないでしょうか。
7月27日から7月30日まで開催されるサーフィン競技をお見逃しなく!
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