パリオリンピックのラストを飾るマラソン競技。
そのコースがすごいと評判になっています。
注目は2つ。ひとつはパリとその近郊の観光名所を巡るすばらしいコースになっていること。
そしてもうひとつは、史上最高ともいわれるほどの難コースになっていることです。
今回は、注目のパリオリンピックのマラソンコースをご紹介。
その見どころと難コースである理由を解説します。
【パリオリンピック】マラソンコースの概要
パリオリンピックのマラソンコースが決定し、公開されたのは2022年10月5日。そのコースは1789年10月5、6日のフランス革命期に行われた「女性の行進(ヴェルサイユ行進)」から考案されたもので、大きく3つの特徴を持ったものでした。
スタジアムを使用しない
これまでのオリンピックではマラソンのゴールは陸上競技も行われるメインスタジアムとなるのが通例でした。
しかし今回のゴールはスタジアムではなくパリの名所の一つである旧・軍病院のアンヴァリッド。
アーチェリー競技の会場と自転車ロードレースのスタート地点にもなるここには特設スタンドが作られ、7000人が観戦できると発表されました。
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パリと周辺の名所を巡る
今回のマラソンコース最大の特徴は、パリとその周辺の名所を巡ること。
スタートはパリ市庁舎で、オペラ座、ヴァンドーム広場、チュイルリー庭園、ルーヴル美術館、コンコルド広場、グラン・パレ、トロカデロ庭園、ヴェルサイユ宮殿、エッフェル塔を通過して、アンヴァリッドでゴールします。
まさにパリ観光の気分で楽しむことができるのです。
オリンピック会場を巡る
もう一つの特徴は、オリンピックの各競技の会場を巡るコースでもあること。
今回のパリオリンピックは市内の各所が会場になることでも知られています。
例えばコンコルド広場ではBMXフリースタイルやブレイキン、スケートボード、バスケットボール3×3を開催。ヴェルサイユ宮殿では近代五種と馬術、エッフェル塔の近くではビーチバレーが行われます。
マラソン中継ではオリンピックの激闘を振り返る演出も見られそうです。
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【パリオリンピック】マラソンコースの見どころ
ではコース上の見どころを順にご紹介しましょう。
パリ市庁舎
スタート地点となるパリ市庁舎の土地は、1357年以来パリの行政機関が置かれている由緒ある場所。現在の建物は1892年に再建されたもので、幅143m、鐘楼を入れると高さは50mという堂々たるネオルネッサンス建築です。
ヴァンドーム広場
ヴァンドーム広場は「世界で一番豪華な広場」とも言われる八角形の広場。
ルイ14世の時代に作られた広場をかつての貴族の館が囲み、高級ブティックやジュエリーショップも並んでいます。
チュイルリー庭園
チュイルリー庭園は、パリ市内最古の庭園。
シャンゼリゼ大通りからルーヴル美術館まで続く広大な公園です。
彫刻や噴水で飾られた野外美術館のような公園で、パリオリンピックでは聖火台がここに設置されます。
コンコルド広場
コンコルド広場は、シャンゼリゼ通りの東端にある市民広場。
フランス革命の中心的な場所となり、1900年のパリ万国博覧会の入場口にもなりました。ちなみに1900年の第2回オリンピックパリ大会はこの万国博覧会の付随行事として行われたもの。オリンピックにもゆかりのある広場なのです。
グラン・パレ
グラン・パレは、パリの中心にあるガラス屋根の巨大な建物。
こちらも1900年のパリ万国博覧会のために建設され、フランスの歴史的文化財に指定されています。
この建物は今回のオリンピックでフェンシングとテコンドーの会場にもなります。
ヴェルサイユ宮殿
パリ近郊にあるヴェルサイユ宮殿は、フランス革命まではフランス王室の本拠地だった世界遺産の名所。
マラソンコースはこの宮殿で大きく折り返します。
今回のオリンピックでは庭園の近くに屋外仮設アリーナを建設。馬術競技と近代五種の会場にもなります。
【パリオリンピック】マラソンコースの過酷さ
名所ばかりに目を奪われがちですが、パリオリンピックのマラソンコースで忘れてはならないのが、史上最も過酷なコースと言われていること。
いったいどういうことでしょうか?
高低差と急勾配
今回のコースの特徴は、上り下りがとても多いこと。
全体には高低差156mのコースで、スタートからゴールまでの累積高低差は438m!非常に起伏の激しいコースとなります。
16km地点から20km地点までが最初の上り坂。そして27km付近で立ちはだかる2回目の上り坂はかなりの急勾配で、最も急な勾配は13.5%にもなります。
箱根駅伝の5区の登りの最大勾配が13%ですから、いかにすごい坂か想像できるのではないでしょうか。
過酷な暑さ
パリの位置は、北海道の稚内より北となる北緯48度。例年の気温は東京の6月上旬並みでした。従来の気温なら、東京大会より気温が上昇することはないはず。
しかし近年のヨーロッパの夏は異常な暑さが続いています。
2022年にはフランス各地で40度を超えた地点が続出。また日照時間が長いため、気温は夕方まで上昇し続けるのが特徴です。
そのためマラソンは男女とも朝8時スタートに。それでも女子のマラソンが行われる8月11日には、2020年に8時の気温が25度、ゴール時刻となる10時30分前後には31度を記録しています。
東京オリンピックでは気温がスタート時に26度、ゴール時に27度になった男子で完走率が71.7%、スタート時に25度、ゴール時に29度になった女子で完走率が83.0%でした。
高低差と高温が重なれば、東京オリンピック以上のサバイバルレースになる可能性があるのです。
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【パリオリンピック】マラソンの画期的な試み
パリオリンピックは「参加型のオリンピック」を目標としている大会。
マラソンコースではオリンピック史上初の試みが行われます。
パリ2024市民マラソン
それは一般参加者を対象としたマラソン大会です。
しかも開催は、オリンピックの期間中である8月10日。フルマラソンは21時に、10kmは23時30分にスタートします。
オリンピックの男子マラソンは8月10日の8時、最後の種目となる女子マラソンの決勝は8月11日の8時にスタートしますから、男子と女子のレースの間にオリンピック選手と同じコースを走ることができるのです。
42.195km、10kmそれぞれに20,024枚のゼッケンが無料で配布されるそう。
これはかなりの盛り上がりとなるのではないでしょうか。
まとめ
パリとその近郊の名所を巡るマラソンは、中継でもずっと飽きることなく楽しめそう。
その一方で選手たちにとってはかなり過酷なコースになりそうです。
スタート時間の朝8時は、日本の午後3時。時差の関係で夜中の放送になることが多いパリオリンピックの中でも、比較的観戦しやすい時間です。
勝負の行方と観光名所の数々、どちらもしっかり楽しみたいですね。
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