パリオリンピックの開会式に注目が集まっています。
それはこれまでのオリンピックとは大きく異なるユニークなものになりそうだから。いったいどのような内容になるのでしょうか?
今回は、パリオリンピックの開会式をご紹介します。
どこが今までと違うのか、その見どころや、指摘されている問題点を解説。
また過去のオリンピックの開会式名場面も振り返ります。
【パリオリンピック】開会式の概要
2024パリオリンピックは、これまでのオリンピックで最もサステナブルな大会の実現が目標。そのため競技施設の95%は既存のものや仮設の施設を利用することになっています。
そして既存のものを生かすという意味では開会式も同じ。パリにはたくさんの見どころがあるということで、それを活かした開会式になるのです。
開会式をセーヌ川で実施
2024パリオリンピックの開会式は、これまでのオリンピックのようにスタジアムでは行われません。
その代わりに、セーヌ川で開会式を実施。各国の代表団がボートに乗ってセーヌ川を約6kmパレードします。途中にはパリの見どころもたくさんあるため、それらの名所の魅力を世界に広く伝えることにもなるのです。
誰でも見られる
2024パリオリンピックの重要なスローガンがあります。
それは「Games wide open」。広く開かれた大会という意味です。
開会式はこのスローガンにふさわしく、一般の観客の多くが無料で観覧できることになります。セーヌ川で開会式を開くことで、なんと30万人以上の観客が開会式に参加できるのです。
【パリオリンピック】開会式の見どころ
セーヌ川で行われるという前代未聞の開会式。いったいどのような見どころがあるのでしょうか。
開会式の日程とコース
開会式は現地時間の7月26日夜7時30分から3時間のスケジュールで行われます。
これまでのオリンピック開会式ではメインスタジアムに各国の選手が入場してきましたが、今回は1万人以上の選手団が船でパレード。その数は150隻とも180隻ともいわれています。
そしてセーヌ川沿いのオステルリッツ橋から出航。再建されたばかりのノートルダム大聖堂やルーブル美術館などの前を通過します。
そして西へと向かう約6キロの区間をパレード。その終着点はエッフェル塔の前のイエナ橋です。
開会式のショーの会場
オリンピックの開会式といえば、入場パレードの後のショーも見どころ。
スタジアムで開催されない今回はどこで行われるのでしょうか。
イエナ橋で船を降りた選手たちはパリの名所のひとつであるトロカデロ庭園に移動。セレモニーはトロカデヨ庭園で行われます。聖火台が設置されるのはシャイヨー宮です。
そして開会式は船上オーケストラの演奏や光のショーなどでフィナーレ。パレードやショーの様子は、セーヌ川の岸や橋の上に設置された80もの巨大スクリーンにも映し出され、多くの観客が一緒に楽しむことになります。
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【パリオリンピック】開会式の問題点
これまでにない開会式だけに、問題点も指摘されています。
最も大きな問題は安全性の確保です。
警備の問題で観客が半減
実は当初の計画では、開会式の無料チケットを手に入れられる観客は約60万人、そのほかに合計200万人がセーヌ川沿いに集まるといわれていました。
しかし実際に計画が進むと、それは難しいことが判明。誰でも自由に行けるわけではなくなり、無料チケット22万2000枚を含む32万6000枚のチケットを用意することになりました。
人数が半減した理由は警備上の問題があるから。大会組織委員会に対してパリ警視庁が「安全に行うことができない」と抗議。結果として参加人数を減らした上、無料チケットを入手できるのは招待客に限るということになりました。
招待されるのは、地元の競技連盟の会員や地域で選ばれた開催地住民が対象。観光客は事前に有料チケットを手にいれる必要があります。
厳しい警備を実施
国際情勢の悪化もあって、オリンピックがテロの標的になる可能性も増加。その状態で通常の10倍もの観客を招くオープンな開会式が安全に行えるのか、心配の声も上がっています。
これに対してフランスのマクロン大統領は、安全面を徹底させると宣言。連日3万人の警察官や軍隊を配備して厳戒態勢を敷くと言っています。
【オリンピック】歴代の開会式
心配はありつつも期待が高まるパリオリンピックの開会式。
ではこれまでの開会式にはどのようなものがあったのでしょうか。
第1回アテネ大会
1896年にアテネで開催された近代オリンピックの第1回大会。当時はまだ「オリンピック憲章」がなく、開催要項も決まっていませんでした。
しかし5万人の観衆が集まった開会式ではファンファーレにのって選手団が入場。「オリンピック賛歌」が歌われ、国王の開会宣言と祝砲、鳩が飛び立つ演出など、その後の開会式の原形がここでできました。
ちなみにこのオリンピックの選手は14ヵ国から集まった241人。全員が男性でした。「女人禁制」という古代オリンピックの悪しき伝統は第2回のパリ大会で消えますが、その後も長い間、女子選手はごく少数でした。
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第5回ストックホルム大会
日本がオリンピックに初めて参加したのは1912年のストックホルム大会。
選手は2人だけで、入場行進のプラカードにはその後定着した「JAPAN」ではなく、「NIPPON」と書いてありました。これはプラカードの文字表記に制限がなかったため。日本人に馴染みがある「日本」と外国人も読める「JAPAN」で意見が分かれ、間をとった「NIPPON」になったそうです。
ただしアルファベット順となる入場は、「JAPAN」の位置でした。
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第23回ロサンゼルス大会
1984年のロサンゼルスオリンピックは、オリンピックが商業化した革命的な大会。テレビ放映権料や協賛スポンサーなどで費用を集め、税金を全く使わずに開催を実現しました。
その開会式もエンテーテインメント精神に溢れたもの。映画音楽の巨匠ジョン・ウィリアムズが歴史に残るオリンピックテーマ曲を作曲し、ロケットマンの飛行が大きな話題を呼びました。
第25回バルセロナオリンピック
近年のオリンピックで最も芸術性が高いと評価されているのがバルセロナオリンピック。
三大テノールの1人、ホセ・カレーラスが音楽監督を務め、数多くのオペラ歌手が出演。日本の坂本龍一氏が作曲した曲も披露されました。
そして「五輪史上最も劇的で美しい演出」といわれたのが、聖火台への点火。パラリンピックのアーチェリー選手、アントニオ・レボージョ氏が放った炎の矢が高さ60mの聖火台に向かって放物線を描いて飛び、見事に点火されました。
まとめ
過去のものと比べて最も興味深い内容になりそうなパリオリンピックの開会式。
現地時間の7月26日午後7時30分に始まるということは、日本時間では7月27日の午前2時30分になります。そして終了するのは3時間後の午前5時30分。なんとも辛い時間です。
とはいえ7月27日は土曜日ですから、運良く仕事がお休みの方は朝までがんばって見ることができそうですね。
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