パリオリンピックの陸上競技や競泳に参加するためには、参加標準記録を突破することが最初の条件になります。
しかしこの参加標準記録は、パリオリンピックではかなり厳しくなっていることでも話題。一体どれくらいの厳しさになっているのでしょうか。
今回は、オリンピックの参加標準記録について解説。
かなりレベルが高いといわれる陸上競技と競泳の参加標準記録の内容をご紹介します。
【パリオリンピック】参加標準記録とは?
参加標準記録は、陸上競技や競泳、スピードスケートなどの大会に参加を許可する基準なる記録。
主に大会主催者が設定するもので、選手は定められた期間内に参加標準記録を突破しなければ出場できないことになります。
ただしオリンピックは出場枠が決まっているため、参加標準記録だけでは枠が埋まらないことも。その場合には、別の方法での出場の道も残されています。
【パリオリンピック】陸上競技の参加プロセス
パリオリンピックの出場枠の半分は参加標準記録を突破することで決定。残りの半分は世界陸連の世界ランキングによって与えられます。
対象期間
対象期間は2023年7月1日から2024年6月30日まで。ただしいくつかの競技は対象期間が異なります。10000m、混成競技、競歩、リレーは2022年12月31日から2024年6月30日まで、マラソンは2022年11月1日から2024年4月30日までが対象期間です。
記録はどの大会でもよいわけではなく、公認された競技会で達成する必要があります。
リレーの選出方法
またリレー種目の場合は、2024年の世界リレーのトップ14が自動的に出場権を獲得。残りチームは2022年12月31日から2024年6月30日までの世界陸連のリレー成績表をもとに選出されます。
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【パリオリンピック】競泳の参加プロセス
パリオリンピックの競泳の出場権には4つの優先順位があり、上から順に枠が埋まっていきます。
①参加標準記録を満たしたすべての競技者
②リレーに出場する選手(リレー限定選手)
③ユニバーサリティー枠
④参加考慮記録を達成した招待選手
参加標準記録
まずは2023年5月1日から2024年6月23日までの間に参加標準記録を突破することが重要。突破できた場合、所属する国内オリンピック委員会の種目ごとの最大出場枠の範囲内で出場権を得ることができます。
ただし各国内の最大出場枠を超える人数になった場合は、国内での選考が行われます。
リレー
リレーは2023年7月に福岡で開催された第20回世界選手権と2024年2月にドーハで開催された第21回世界選手権の結果で各種目最大16のチームが決定しました。
ユニバーサリティー枠
次のユニバーサリティー枠は、上記の2つで出場資格を得た選手やリレーチームがない国や地域に対して、出場枠が与えられるもの。1種目に男女1名ずつ最大2名の枠となります。
ただし誰でもよいわけではなく、対象の条件は第20回か第21回の世界選手権の少なくとも一方に出場した選手のみとなっています。
参加標準記録を突破しているのに各国の出場枠の上限で出場を逃した選手も、ユニバーサリティー枠で招待される可能性があります。
参加考慮記録
競泳に参加できるのは852人。上記の3つで選手が決まった後に残った枠には、参加標準記録よりも甘く設定された参加考慮記録を突破することで入れる可能性があります。
ただしこの場合、参加考慮記録を突破した選手たちの中から世界水泳連盟に選ばれ、招待されるのが条件です。
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【パリオリンピック】陸上競技の参加標準記録
ではパリオリンピックの参加標準記録はどれほどのものなのでしょうか?
陸上競技の参加標準記録一覧
2022年11月に発表された参加標準記録はこのようになっています。
種目 | 男子 | 女子 |
100m | 10.00 | 11.07 |
200m | 20.16 | 22.57 |
400m | 45.00 | 50.95 |
800m | 1:44:70 | 1:59:30 |
1500m(Mile) | 3:33.50(3:50.40) | 4:02.50(4:20.90) |
5000m | 13:05.00 | 14:52.00 |
10,000m | 27:00.00 | 30:40.00 |
110mハードル/100mハードル | 13.27 | 12.77 |
400mハードル | 48.70 | 54.85 |
3000m障害 | 8:15.00 | 9:23.00 |
走高跳 | 2.33 | 1.97 |
棒高跳 | 5.82 | 4.73 |
走幅跳 | 8.27 | 6.86 |
三段跳 | 17.22 | 14.55 |
砲丸投 | 21.50 | 18.80 |
円盤投 | 67.20 | 64.50 |
ハンマー投 | 78.20 | 74.00 |
やり投 | 85.50 | 64.00 |
十種競技/七種競技 | 8,460 | 6,480 |
20km競歩 | 1:20:10 | 1:29:20 |
マラソン | 2:08:10 | 2:26:50 |
少し陸上に詳しい人であれば、これがいかに高いレベルであるか分かるのではないでしょうか。
なんと以下の競技で、日本記録でも参加標準記録を突破していないということになってしまうのです。
男子
800mや1500m、5000m、10000m、三段跳、砲丸投、円盤投、十種競技
女子
100m、200m、400m、800m、400mハードル、3000m障害、走高跳、三段跳、砲丸投、円盤投、ハンマー投、七種競技
東京オリンピックからさらに厳しく
世界陸連が発表したパリオリンピックの参加標準記録は、男子の400m、走高跳、女子のやり投げ除いた全ての種目で東京オリンピックよりも高い参加標準記録が設定されました。
分かりやすいところではマラソンの記録が、男子で3分20秒、女子で2分40秒も短縮。
男子の100m走は0.05秒短縮されて、ついに10秒00になりました。
ほんの少し前には「夢の10秒切り」と言われていた記録が、いまや参加のための最低条件になってしまったのです。
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【パリオリンピック】競泳の参加標準記録と参加考慮記録
競泳には参加標準記録と参加考慮記録があります。その両方をご紹介しましょう。
男子
男子の参加標準記録と参加考慮記録はこちら。
種目 | 参加標準記録 | 参加考慮記録 |
50m自由形 | 21.96 | 22.07 |
100m自由形 | 48.34 | 48.58 |
200m自由形 | 1:46.26 | 1:46.79 |
400m自由形 | 3:46.78 | 3:47.91 |
800m自由形 | 7:51.65 | 7:54.01 |
1500m自由形 | 15:00.99 | 15:05.49 |
100m背泳ぎ | 53.74 | 54.01 |
200m背泳ぎ | 1:57.50 | 1:58.09 |
100m平泳ぎ | 59.49 | 59.79 |
200m平泳ぎ | 2:09.68 | 2:10.33 |
100mバタフライ | 51.67 | 51.93 |
200mバタフライ | 1:55.78 | 1:56.36 |
200m個人メドレー | 1:57.94 | 1:58.53 |
400m個人メドレー | 4:12.50 | 4:13.76 |
さすがに水泳がお家芸の日本だけあって、すべての種目で日本記録が参加標準記録を上回っています。
女子
女子の参加標準記録と参加考慮記録は以下のようになっています。
種目 | 参加標準記録 | 参加考慮記録 |
50m自由形 | 24.70 | 24.82 |
100m自由形 | 53.61 | 53.88 |
200m自由形 | 1:57.26 | 1:57.85 |
400m自由形 | 4:07.90 | 4:09.14 |
800m自由形 | 8:26.71 | 8:29.24 |
1500m自由形 | 16:09.09 | 16:13.94 |
100m背泳ぎ | 59.99 | 1:00.29 |
200m背泳ぎ | 2:10.39 | 2:11.04 |
100m平泳ぎ | 1:06.79 | 1:07.12 |
200m平泳ぎ | 2:23.91 | 2:24.63 |
100mバタフライ | 57.92 | 58.21 |
200mバタフライ | 2:08.43 | 2:09.07 |
200m個人メドレー | 2:11.47 | 2:12.13 |
400m個人メドレー | 4:38.53 | 4:39.92 |
こちらもすべての種目で日本記録が参加標準記録を超えています。
とはいえかなり厳しい基準であることは間違いありません。
まとめ
かなりのレベルが求められるオリンピックの参加標準記録。
特に日本選手にとっては陸上競技の参加標準記録は大きな壁となっています。
多くの種目で日本記録を出しても参加標準記録に届かないという状況を、選手や連盟も悔しく思っているはず。
今後、記録を超える選手が現れることを期待し、私たちもしっかり応援していきたいですね。
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