野球のサイドスローは技巧派のイメージが強い投げ方。
先発投手にはあまりいない代わりに、リリーフで活躍するピッチャーが多い投げ方ですが、なぜサイドスローは技巧派でリリーフ向きなのでしょうか?
そしてサイドスローの正しい投げ方は?
今回はサイドスローについてご紹介。
サイドスローの特徴とメリット、正しい投げ方、練習方法についてじっくり解説します。
サイドスローとは
サイドスローはその名の通り腕を横に振る投球法。
これは和製英語で、本来の英語ではサイドアーム(Sidearm)と言います。
ではなぜ横から投げるのでしょうか。
ボールは本来、上から下に腕を振って投げる方が力を入れやすく自然。
サイドスローのピッチャーも最初はオーバーハンドスローで投げていたけど、身体の使い方が合わずにサイドスローに転向したという人がほとんどです。
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サイドスローのメリット
最初から投げる人は少ないサイドスロー。ではわざわざサイドスローに転向するメリットは何でしょうか?
肩と肘の負担が減る
オーバーハンドスローからサイドスローに転向するメリットは、肩と肘の負担が減ることです。
腕を肩よりも高く上げるオーバーハンドスローは肩に負担がかかる投げ方。
その点、腕の位置が低いサイドスローなら肩への負担を軽減できます。
また腕の遠心力を利用することで肘をあまり曲げずに投げられるため、正しく投げれば肘への負担も減らせるのです。
コントロールが安定する
サイドスローは体重移動をスムースに行いやすく、目線がブレない上、リリースポイントも固定しやすいのでコントロールが安定します。
これが技巧派と言われるピッチャーが多い理由の一つです。
横の変化球を投げやすい
真横から投げることのメリットは変化球にもあります。
それはスライダーやシュートなどの横の変化球ということ。
腕を横に大きく振るサイドスローでは、横の変化をかけやすくなるのです。
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角度が大きくなる
腕を横から振るため、球筋に角度がつくのもメリット。
同じ利き腕のバッターにとってはアウトコースの横の角度が大きくなり、打ちにくいことになります。
このためリリーフで右バッターに右のサイドスローを当てるといった作戦が有効になるのです。
サイドスローのデメリット
メリットがいくつもあるサイドスローですが、デメリットもあります。
球速と球威が落ちる
最も大きなデメリットは豪速球を投げにくいということ。
速くて伸びのあるボールを投げるにはボールにバックスピンをかけて空気抵抗を減らす必要がありますが、腕を横に振るサイドスローは縦の回転をかけるのが苦手。
そのため球速と球威は落ちてしまいがちです。
球の出所が見やすい
腕を横から振るデメリットの一つは、利き腕が逆のバッターからは球の出所がよく見え、打ちやすくなってしまうこと。
このため、例えば右のサイドスローのピッチャーを先発に起用すると、左バッターをズラリと並べられ、簡単に攻略されてしまいます。
これが先発にサイドスローのピッチャーが少ない理由なのです。
縦の変化球が投げられない
サイドスローは横回転の変化球は得意でも、縦回転がほとんど使えないため、変化球の種類が少なくなってしまうのも弱点。
この弱点を補うため、サイドスローで成功しているピッチャーの多くは、利き腕側に曲がりながら落ちるシンカーなど独特な変化球を習得します。
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腰の負担が大きい
サイドスローの投手は下半身がしっかりしていないと腰の遠心力だけに頼りがちになり、腰への負担が大きくなるのもデメリットです。
ただしこれは下半身を強化することで克服することができます。
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サイドスローの正しい投げ方のポイント
サイドスローはオーバーハンドスローの腕を横にしただけの投げ方ではありません。
身体の使い方が大きく違うことを意識して正しいフォームで投げることが大切。
そのポイントを解説します。
体重移動の前に身体を前傾させる
サイドスローは腰の横回転と腕の遠心力を利用する投げ方。
オーバーハンドスローのように腰が立ったままで腕だけ横に振ると、腕の力だけで投げることになってしまいます。
正しいサイドスローは、足を上げた後、身体を前に傾けてから体重移動するのがポイント。
こうすると腰が横回転になり、腕の遠心力が生まれるのです。
腕を後ろに大きく引く
同じく遠心力を利用するため、テイクバックのときには腕を大きく後ろに引きます。
オーバーハンドスローやスリークォーターのときのように肘をあまり曲げないのがポイント。
肘を曲げてしまうとサイドスローのメリットが活かせず、肘の故障にもつながります。
身体を十分にひねるため、ステップ直前までグローブをはめた方の手を右ピッチャーなら3塁、左ピッチャーなら1塁の方向に向けたままにするのもコツです。
腕を地面と平行に振る
サイドスローで力を最も発揮できる肩の角度は、力を抜いて手を後ろに引いた
ゼロポジションの状態。
肩や肘への負担も減るゼロポジションを作ることはサイドスローの大切なポイントです。
そのためには地面と平行に腕を振るよう意識するのがコツになります。
【サイドスロー】の練習方法
サイドスローの弱点のひとつが、オーバーハンドスローより球速が落ちやすいこと。
そのためサイドスローの練習では、正しいフォームの確認をしながら球速を上げることも意識する必要があります。
フォームの確認
正しいフォームを身につけるため、最初はゆったりと投げ、以下のポイントをチェックしてもらいます。
・下半身が安定し、重心が低くなっているか
・上体を十分にひねっているか
・頭が動いていないか
・身体の軸が安定しているか
これらはサイドスローにとってどれも重要なポイントです。
ロングスロー
次にマウンドの距離の1.5倍ほど離れた位置からキャッチャーに向かって投げます。
こちらも最初はゆったりしたフォームで。
サイドスローでは距離が長くなるほど正しいフォームで投げることが求められます。
身体がうまく使えていないと、ボールに勢いがないことが分かるはず。
その際に重要なのは、投げる方の肩を入れることです。
腰の回転から腕の遠心力に移るとき、投げる方の肩をグッと前に出すよう意識。こうすると身体全体の力をうまく使えて、球速も上がりやすくなります。
まとめ
サイドスローには、体格や身体能力によって向き不向きがあります。
特に向いているのは腕が長い人や、下半身が強い人。
そのようなピッチャーで、オーバーハンドスローでは球速とコントロールに限界を感じている人は、サイドスローで技巧派に挑戦してみるのも良いかもしれません。
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