助走をつけて遠くへ跳び、距離を競う。
走り幅跳びはとても単純明快な競技です。
では、踏み切り板より後ろから跳んだらどこから測るのでしょうか?
また斜め横に跳んだら、斜めに測るのでしょうか?
助走は何mまで許されるのでしょうか?
跳んでいる途中で落とし物をしたら?
空中で前方宙返りをしても良い?
今回は、意外と分からないことが多いかもしれない走り幅跳びのルールや測定方法をご紹介します。
【走り幅跳び】主なルール
単純そうに見えても実はいろいろなルールが必要な走り幅跳び。
まずは主なルールをご紹介します。
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跳躍の回数
そもそも走り幅跳びの競技会では何回跳ぶことができるのでしょうか。
世界大会などで出場人数が多く、予選がある場合、予選の跳躍本数は3本。
決勝ではまず全員が3本跳び、上位8人はさらに3本跳べることになります。
国内の主な大会ではいきなり決勝ということが一般的です。
助走距離
ルールブックには走り幅跳びの助走距離についての規定はありません。
極端に言えば、フルマラソンの距離を走ってから跳んでも良いのです。
とはいえ途中で疲れてスピードが落ちてしまっては意味がありませんから、選手レベルで35m〜45mの距離が一般的。
助走路については最低40m、できれば45m用意するようにと定められています。
助走路からのはみ出し
では助走路から横にはみ出してしまった場合はどうなるのでしょうか。
100m走などではコースからのはみ出しは失格となりますが、走り幅跳びでは助走路からはみ出しても無効にはならないと決められています。
ただし踏み切りが踏み切り板より左右にはみ出した場合は無効です。
マーカー
走り幅跳びの選手は跳ぶときに踏み切り板をじっと見て足を合わせたりしません。
助走の間にうまく歩幅を合わせるのですが、この目安になるのがマーカーです。
マーカーは助走路の外に選手が自分で置いておくマーク。
スタート地点や中間地点に置いておき、歩幅の目安にします。
ただしこのマーカーは、2つまでしか置いてはいけないというルール。
そのため選手によって置く位置を工夫しています。
スタート
走り幅跳びではスタート前に観客に手拍子を求めるなどして、なかなか助走を始めない選手がいます。
ではスタートに関するルールは特にないのかというと、そうではなく、競技開始の合図から60秒以内と決まっています。
また同じ選手が2度続けて跳ぶ場合は合図から120秒以内というルールです。
踏み切り板
走り幅跳びで最も厳密に決まっているのが、踏み切り板のルールです。
この板は長さが1220mm±10mm、幅が200mm±2mmの白い板で、スパイクが滑らない強固な素材。
その前にファールの測定のために幅100mm±2mmの粘土板が設置されます。
しかもこの粘土板は踏み切り板より7mm±1mm高く、踏み切り盤に接する辺は45度の角度にしなければならないという規定です。
踏み切りのファール
厳密な規格の粘土板が設置される理由は、この粘土板でファールを測定するからです。
白い踏み切り板から少しでも前にはみ出し、粘土板に跡がついたらファール。
もちろん大きくはみ出してもファールになります。
ただし踏み切り板よりも後ろなら、いくら離れていてもファールにはなりません。
前方宙返り
助走路での走り方は自由で、例えば後ろ向きに走っても反則にはなりません。
ジャンプの姿勢も基本的には自由。
ただし1つだけ禁止されている跳び方があります。
それは前方宙返り。
「回転式前方宙返り跳び」と呼ばれるもので、1973年にドイツの選手が7m近い記録を出したことから一時期とても話題になりました。
回転式前方宙返り跳びは回転することで助走の推進力をそのまま跳躍力に変えられるという、実は合理的な跳び方。
しかしあまりにも危険なため、ルールではっきりと禁止されました。
【走り幅跳び】測定方法に関するルール
選手がジャンプをしたあと、ファールの旗が上がらなければ測定となります。
測定の仕方にはどのようなルールがあるのでしょうか。
着地
着地は身体のどこでしても反則にはなりません。
ただし着地した身体の跡のうち、踏み切り線に最も近い位置が記録となります。
つまり着地した後に後ろに手をついてしまったら、その手の位置が記録になるということ。
また斜めに飛んで砂場の外に手をつくなどしたとき、それが砂場の中の着地した位置よりも踏み切り線に近いと、その跳躍は無効になってしまいます。
斜め跳び
投擲競技では円盤や砲丸がエリア内で斜めに飛んだときも、その距離を正確に測ります。
では走り幅跳びでも選手が斜めに飛んだら、踏み切った位置から斜めに測ってくれるのかというと、そうはいきません。
計測は踏み切り線かその延長線に対して直角に行うというルール。
斜めに跳んだ分は損をしてしまうため、できるだけまっすぐ前に跳ばなければならないのです。
落下物
途中でアクセサリーなどが落ちた場合はどうなるのでしょうか。
なんとこれは、落下物までの距離が跳んだ距離になってしまうのです。
イヤリングやメガネなど、途中で落ちそうなものは身につけないよう、選手は気をつけなければなりません。
風の影響
走り幅跳びは風の影響が大きい競技。選手たちはスタートの合図の後、なるべく追い風が吹くのを待ってスタートします。
そして追い風や向かい風は常に計測。記録にも記録が「7m45(+0.6)」などと記録されます。これは「追い風が風速0.6m吹いている中で、7m45cm跳んだ」という意味。
風速が2.1m以上だと「追い風参考」として参考記録になってしまいます。
同記録だったとき
最も跳んだ記録が全く同じだったら順位はどうなるのでしょうか。
この場合、その選手たちが2番目に長く跳んだ記録を見て、より跳んでいる方が上位。
それも同じなら3番目の記録、4番目の記録、と見ていきます。
まとめ
ルールをほとんど知らなくても観戦できる走り幅跳び。
しかし助走距離やマーカーの使い方など、ルールを知っておけばより深く楽しむことができるはずです。
特に厳密にチェックされる踏み切り板からのはみ出しは、ルールギリギリの攻防が見もの。
選手たちは少しでも前から跳ぼうとしますが、調子が良いときほど攻めすぎてファールになることが多いそうです。
走り幅跳びを観戦するときは、踏み切り板を巡る数mmの戦いにも注目してみてください。
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