大谷翔平選手の活躍で注目を集める野球の二刀流。
ピッチャーとバッターの両方で活躍するというイメージですが、実はバッティングも得意なピッチャーというだけでは、二刀流を名乗ることはできません。
メジャーリーグでは、二刀流には正式な定義と、クリアしなければならない条件があるのです。
ここでは野球の二刀流はどのようなものかを解説。
そのメリットとデメリット、さらに過去に存在したすごい二刀流選手も紹介します。
【野球】二刀流とは?
高校野球の場合、エースで4番という選手も多く、実力的には二刀流と言える場合も多々あります。
しかしプロになると、バッティングが得意な投手を二刀流とは呼びません。
それはピッチャーの出場機会が少ないから。
プロで二刀流と呼ばれるには、普段は野手または指名打者として出場しながら、ローテーションに合わせて投手としても出場する必要があります。
メジャーリーグでの二刀流の定義
もともとメジャーリーグでは野手がマウンドに上がることも可能で、点差がついた試合では投手を温存するために野手がマウンドに上がることも珍しくありません。
また実際に二刀流の活躍をする選手がいなかったことから、特に二刀流の定義は存在しませんでした。
しかし大谷選手のメジャー挑戦をきっかけに、2020年の新ルールで二刀流の正式な定義が決定。
条件をクリアすれば、選手登録の際に「投手」か「野手」に加えて「二刀流(Two-Way Player)」も選べるようになりました。
Two-Way Playerの定義はこのようになります。
「メジャーリーグの公式戦で、投手として20イニング以上登板し、野手または指名打者として20試合(それぞれの試合で最低3打席)以上に出場すること」
大谷選手もこの条件をクリアした時点で正式な「二刀流」となりました。
増加する二刀流
一方で2020年の新ルールでは、野手が登板できるのは延長線、または6点差以上の点差がついた場合のみと変更されました。
つまり野手が中継ぎで登板できる機会は大幅に減ったということ。
二刀流で登録すればこのような制限はないため、各チームで二刀流の育成が増加しています。
ただし大谷選手のような先発兼指名打者の場合は条件をクリアして二刀流登録できるまでにあまり時間はかかりませんが、中継ぎを兼ねる野手の場合、新ルールでは登板機会が少なく、二刀流と認められるまでにかなり時間がかかることになっています。
日本での二刀流の定義
メジャーリーグの二刀流に相当するルールや定義は日本のプロ野球にはまだありません。
逆に言えば、野手が制限なく登板することも可能。
しかし一方、大谷選手の活躍があるまで日本では「野手は野手、投手は投手に専念する」というチーム作りが一般的でした。
その考えはまだ根強く、投打の両方に挑戦するのは難しい状態が続いています。
【野球】二刀流のメリットとデメリット
1人の選手が二刀流で活躍することには、選手側、チーム側それぞれにメリットとデメリットが存在します。
二刀流のメリット
二刀流のメリットはなんといっても試合に出場できる機会が増え、チームに貢献できるということ。
チームにとっても投手と野手を兼ねてくれれば支配下選手を増やしたのと同じ効果があります。
また選手にとっては、投打のどちらかがスランプや故障で不振になっても、もう一方で活躍できる可能性があるというのは大きなメリットです。
二刀流のデメリット
二刀流のデメリットはメリットと表裏一体。出場機会が増えるということは、それだけ怪我や故障の危険性が増すということ。
それが大きなリスクです。
また投打両方の調整をしなければならず、結局は両方とも中途半端な結果しか残せない可能性も。
そのため、大谷選手のように身体能力がずば抜けて優れている選手でなければ二刀流は難しいのです。
【野球】二刀流・過去の名選手たち
近年では二刀流の選手はとても珍しい存在。
しかし過去には投打の両方で素晴らしい成績を残した選手もいます。
ベーブ・ルース
大谷翔平選手との比較で度々名前が出るベーブ・ルース。
野手としては714本の本塁打が有名ですが、打率も3割4分2厘と超一流。投手としても94勝46敗の成績で、最優秀防御率のタイトルも1度獲得しています。
彼の場合、最初の3年間は投手として活躍し、次の2年間二刀流、その後は打者に専念しました。
二刀流だった1918年には投手で13勝、打者ではホームラン王に。
1919年には投手で9勝、打者ではホームランと打点の二冠王に輝いています。
ジョージ・シスラー
ジョージ・シスラーはイチローが2004年に更新するまで、シーズン257安打の最多記録を84年間保持していた選手。
彼もルーキーだった1915年には二刀流で活躍しています。
この年は8試合に先発し6試合で完投。4勝4敗という成績でした。その後は野手に専念。
シーズン打率4割以上を2度も記録しています。
景浦将
日本で二刀流の選手として知られたのは、阪神の景浦将選手。
主に二刀流として活躍したのは1936年と37年の2年間で、この間に打者としては首位打者と打点王、投手としては最優秀防御率と最高勝率のタイトルを獲得しています。
まとめ
怪我や調整の難しさといったデメリットもある二刀流。
しかし大きなリスクを乗り越えて投打に大活躍する姿は多くの野球少年に夢を与えてくれます。
その夢こそが二刀流の最大のメリットかもしれません。
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