今年も夏の高校野球・甲子園大会の開催となりました。
過去の春・夏あわせた甲子園大会での、全国都道府県別の活躍状況をみていきたいと思います。
活躍といっても様々な指標がありますが、わかりやすい「物差し」として、甲子園での通算勝利数を中心に分析していきます。
甲子園春夏通算での都道府県別勝利数ランキングは?
まず最初に、甲子園での勝利数が多い順にベスト10を並べてみます。
(数字はいずれも2022年7月末現在。以下同様)
1位: 大 阪 389勝
2位: 兵 庫 315勝
3位: 東 京 312勝
4位: 愛 知 304勝
5位: 和歌山 234勝
6位: 広 島 212勝
7位: 神奈川 209勝
8位: 京 都 206勝
9位: 高 知 189勝
10位: 愛 媛 188勝
強豪ひしめく大阪府が389勝と、全国のトップに君臨しています。そしてお隣の強豪地域である兵庫の315勝が続き、東京(312勝)、愛知(304勝)と、大都市地域が追う状況となっています。
続いて、上位10地域それぞれの成績について詳しくみていきます。
甲子園|都道府県別の主な成績(勝利数含む)と主な活躍選手は
勝利数の上位地域について、より詳しく活躍の状況をみていきましょう。
甲子園勝利数|1位:大阪
勝利数 | 勝率(順位) | 優勝回数 | 準優勝回数 | 最多勝利校(勝利数) |
389 | .631 (1) | 26 | 15 | PL学園(96勝) |
大阪は、勝利数に加えて勝率でも、また優勝回数・準優勝回数も堂々の第1位で、名実ともに圧倒的な全国最強地域といえるでしょう。
大阪での甲子園最多勝利校は、伝説の「KKコンビ」こと桑田・清原両選手が全国に大フィーバーを巻き起こしたPL学園が筆頭です。同校は勝利数に加え、優勝も7回(春3回・夏4回)果たしています。
優勝回数で更に上回るのが大阪桐蔭で、優勝は9回(春4回・夏5回)、勝利数は69に及びます。
主な活躍選手も枚挙に暇(いとま)がありません。上記のKKコンビ以外にも、古くは浪商の尾崎投手や「ドカベン」香川捕手と牛島投手のバッテリー、大阪桐蔭の藤浪投手と森捕手、上宮の元木遊撃手など、その後もプロ野球に進んで活躍を続けた名選手を多数輩出しています。
甲子園勝利数|2位:兵庫
勝利数 | 勝率(順位) | 優勝回数 | 準優勝回数 | 最多勝利校(勝利数) |
315 | .563 (7) | 13 | 7 | 報徳学園(60勝) |
兵庫は、大都市である東京や愛知、また神奈川などを押さえて勝利数2位と、素晴らしい活躍をみせています。勝率は全国7位とやや落ちますが、優勝回数(13回)は大阪、愛知(19回)、神奈川(14回)に続き、和歌山と並んで4位につけています。
兵庫の甲子園最多勝利は報徳学園で、打って投げての大活躍だった金村義明投手を擁しての夏の優勝が印象的です。
活躍した選手も、金村投手をはじめ多数おり、古くは甲陽の別当投手、滝川の別所投手から、育英の鈴木投手、東洋大姫路の弓岡内野手、前出の金村投手など多士済々です。
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甲子園勝利数|3位:東京
勝利数 | 勝率(順位) | 優勝回数 | 準優勝回数 | 最多勝利校(勝利数) |
312 | .5426 (15) | 12 | 12 | 早稲田実(66勝) |
首都・東京は、大阪・兵庫に次ぐ3位の成績です。ところが、意外にも勝率は全国15位と、思いのほか低い順位となっています。
甲子園での最多勝利は早稲田実業の66勝で、春・夏それぞれ1回づつ優勝を飾っており、日大三が54勝、帝京が51勝などと続いています。
活躍選手をみると、甲子園で大スターとなってブレイクを果たした有名選手が多い特徴があります。早稲田実業はあの王選手(当時は投手)で春に優勝し、夏は「ハンカチ王子」として一世を風靡した斉藤投手が優勝を果たしています。
同じ早稲田実業では「大ちゃん」フィーバーで準優勝した荒木大輔投手、最近では清宮内野手など。日大三の吉永投手、帝京の芝草投手なども甲子園で大活躍しました。
甲子園勝利数|4位:愛知
勝利数 | 勝率(順位) | 優勝回数 | 準優勝回数 | 最多勝利校(勝利数) |
304 | .600 (4) | 19 | 9 | 中京大中京(136勝) |
愛知は勝利数304を誇る4位の活躍ですが、その原動力は何といっても中京大中京で、春夏あわせた通算勝利数は136と、2位の龍谷大平安(103)を離して圧倒的な1位です。
同校は優勝回数も11回(春4回・夏7回)と、追い上げる大阪桐蔭(9回)を上回る大活躍です。その他にも優勝5回を誇る東邦や、愛工大明電などの強豪がひしめいています。
甲子園で活躍した選手も、中京が古くは野口投手から最近の堂林投手まで、東邦では「バンビ」こと坂本投手などいますが、最大のスターは愛工大明電のイチロー投手(当時)でしょう。同校では工藤投手も大活躍しました。
甲子園勝利数|5位:和歌山
勝利数 | 勝率(順位) | 優勝回数 | 準優勝回数 | 最多勝利校(勝利数) |
234 | .556 (9) | 13 | 10 | 智弁和歌山(70勝) |
和歌山は、大阪・東京・愛知や神奈川などの大都市ではありません。にもかかわらずこの大活躍は特筆すべきでしょう。
その原動力は、古くは箕島、新興の智弁和歌山の両輪といっても過言ではありません。名将・尾藤監督が率いた箕島は優勝4回・勝利数37の活躍で、それに代わって台頭した智弁和歌山は和歌山最多の70勝に加えて3回の優勝を果たしています。
活躍した選手は、箕島の春夏連覇と、同年の星陵との延長18回に及ぶ死闘を制した際の立役者である石井投手・嶋田捕手のバッテリーが記憶に鮮明ですが、東尾投手や島本投手なども活躍しました。智弁和歌山では竹内外野手、西川外野手などが挙げられます。古くは、海草中の名投手・嶋清一氏の超人的な活躍が球史に残ります。
甲子園勝利数|6位:広島
勝利数 | 勝率(順位) | 優勝回数 | 準優勝回数 | 最多勝利校(勝利数) |
212 | .582 (6) | 12 | 11 | 広陵(73勝) |
広島は、中国地方の強豪地域として昔から有名です。勝利数1位の広陵以外にも、名門・広島商や崇徳、広島工や、最近では如水館など、甲子園で活躍する高校が多数あります。
最多勝利数は広陵の73ですが、広島商も63勝と活躍し、優勝回数は広島商が7回(春1回・夏6回)、広陵が春3回と輝いています。
活躍選手も両校が中心で、広島商では作新学院の怪物・江川を倒した最強優勝チームの佃投手・達川捕手・金光二塁手など、広陵では野村投手・小林捕手のバッテリー。夏の優勝を果たした崇徳の黒田投手や、広島工の高津投手など、多くの名選手を送り出しています。古くは「初代ミスター・タイガース」呉港の藤村投手などもいます。
甲子園勝利数|7位:神奈川
勝利数 | 勝率(順位) | 優勝回数 | 準優勝回数 | 最多勝利校(勝利数) |
209 | .620 (2) | 14 | 7 | 横浜(59勝) |
大都市圏・神奈川は勝利数7位につけており、勝率は大阪に次いで2位の成績を残しています。
神奈川も名門・強豪校がひしめく地域で、勝利数筆頭の横浜は優勝も5回(春3回・夏2回)ですが、ライバルでもある東海大相模も全く同じ内容の優勝回数(春3回・夏2回の計5回)、勝利数47と活躍しています。その他にも、古くは法政二高や横浜商、桐蔭学園などの活躍が挙げられます。
甲子園で活躍した選手としては、筆頭格が春夏連覇に加え、夏の決勝ノーヒットノーランで締めくくった「平成の怪物」松坂大輔投手で異論ないでしょう。横浜ではこれも優勝した愛甲投手や筒香内野手など、東海大相模では現在巨人軍の監督の「若大将」原辰徳内野手や小笠原投手、桐蔭学園からは慶応に進んだ「天才」高橋由伸外野手など。古くは法政二高を優勝に導いた柴田投手(当時)などがいます。
甲子園勝利数|8位:京都
勝利数 | 勝率(順位) | 優勝回数 | 準優勝回数 | 最多勝利校(勝利数) |
206 | .532 (16) | 16 | 11 | 龍谷大平安(103勝) |
京都は、その街同様、古い強豪校が活躍を続ける地域です。筆頭は当然ながら龍谷大平安で、中京大中京に続く103勝は2位であり、なんと京都の通算勝利数のちょうど半分を稼ぎ出している計算になります。優勝回数も通算4回(春1回・夏3回)を誇ります。
その他では飛びぬけた成績を上げている高校は比較的少なく、群雄割拠の状況です。
活躍選手として挙げられるのは、古くは京都商の沢村栄治投手や山城の吉田義男内野手、そして龍谷大平安からは近藤内野手や衣笠捕手(当時)、川口投手などを輩出しています。
甲子園勝利数|9位:高知
勝利数 | 勝率(順位) | 優勝回数 | 準優勝回数 | 最多勝利校(勝利数) |
189 | .602 (3) | 5 | 7 | 明徳義塾(62勝) |
高知は通算勝利数9位ながら、勝率は大阪、神奈川に次いで3位の好成績です。
勝ち頭はこれも近年の名将・馬渕監督率いる明徳義塾の62勝となっていますが、この地域は古くから「四国四商」の一角・高知商(61勝は明徳義塾とわずか1勝差)と高知高校(35勝)などが長く甲子園で活躍し、全体の成績に大きく貢献しています。
明徳義塾といえば、あの星陵・松井選手を5打席連続敬遠したことで様々な話題となりましたが、甲子園で初戦無敗20連勝という記録も作っています。
活躍選手としては、高知商の「火の玉ストレート」藤川投手や中西投手、高知は有藤選手や杉村選手、他校からは伊野商でPL学園を打ち負かした渡辺投手など、多くの選手がいます。
甲子園勝利数|10位:愛媛
勝利数 | 勝率(順位) | 優勝回数 | 準優勝回数 | 最多勝利校(勝利数) |
188 | .597 (5) | 10 | 8 | 松山商(80勝) |
愛媛は甲子園通算勝利ベスト10に食い込む活躍ですが、原動力は古豪・松山商の長期にわたる大活躍が牽引しています。
松山商は通算勝利数80に加え、優勝回数も7回(春2回・夏5回)を数える、広島商と並ぶ公立校です。特に夏に強いことから、「夏将軍」の異名を誇っています。
青森県の太田幸司投手擁する三沢との決勝戦延長18回再試合の死闘や、熊本工との決勝サヨナラ負けからの一転「奇跡のバックホーム」後の優勝など、人々の脳裏に永く刻み込まれる数々の歴史を刻んでいます。
松山商(松山東)の藤本投手や景浦投手、坪内内野手、千葉内野手など、オールドファンには懐かしい名選手がずらりと並んでいます。
【都道府県別】甲子園勝利数からみる栄光の歴史
高校野球の聖地である甲子園での、都道府県別の勝利数と、それぞれを牽引する高校や、活躍選手などについてみてきました。
長い高校野球の歴史を彩る素晴らしい実績と活躍の数々です。
今後もまた、新たな歴史を紡(つむ)ぎ出し続けていただきたいものです。
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