かつての大ブームほどではないにせよ、日本人選手の活躍もあって根強い人気を誇るテニス。
その発祥についてはいくつかの説があります
しかしその中でどの説が最も有力なのでしょうか?
ここでは、5000年前に遡るかもしれないテニスの歴史をご紹介します。
【テニス】歴史 テニスの源流
テニスの起源については、ペルシャ地方の古い球技説などいくつかの説がありますが、実は有力なものは1つの遊戯に絞られます。
まずは、その遊戯のさらに元になったと言われるものからご紹介しましょう。
古代エジプト
数あるテニスのルーツの説で最も古いと言われているのは紀元前3000年頃の古代エジプトで行われていた遊び。
数人が球を打ち合う姿が壁画に残っていて、何かの宗教行事を兼ねていたのではないかと推測されています。
ジュ・ド・ポーム
直接のテニスのルーツと考えられているのは、11世紀から12世紀にフランス修道院の回廊で貴族が始めた遊びです。
これは古代エジプトの壁画を真似たと言われるもの。
当初は手のひらを使って球を打ち合いました。
14世紀のフランス王ルイ10世もこの遊びの愛好家で、頑張りすぎて体を壊したという詩が残っているそうです。
やがてこの遊びは「ジュ・ド・ポーム(手のひらの競技)」と呼ばれるようになります。
しばらくすると手のひらの代わりに原始的なラケットが使われるようになりましたが、それでもジュ・ド・ポームという名前は残りました。
【テニス】歴史 近代テニスの発展
最初はただの遊びだったものが賭け事を含む競技になっていったジュ・ド・ポームはイギリスに渡り、貴族の賭け遊びとして人気に。
その中からテニスが生まれることになります。
ローンテニス
1873年、イギリスのウィングフィールド少佐がスフェリスティキというスポーツを考案しました。
これはジュ・ド・ポームを原型としたもので、ネットを挟み、現代の軟式テニスのボールのようなものを打ち合うスポーツでした。
彼はネットやラケットなどをセットで販売。
持ち運びができて芝生があればどこでも楽しめるということで、「ローンテニス(芝生テニス)」という名になり、これに対してジュ・ド・ポームはイギリスでは「リアルテニス」と呼ばれるようになりました。
「テニス」の語源
ではテニスという特徴的な名前はどこから出てきたのでしょうか。
実はその語源もジュ・ド・ポームにあると言われています。
この競技ではサーバーが「トゥネス!」と叫んでからサーブを打ちました。
これはフランス語で「取ってみろ!」という意味。
しかしイギリス人には「テネッツ!」と聞こえたため、テニスという名前になったと言われています。
道具の進化
ジュ・ド・ポームの時代、素手からグローブ、木の棒と変化した道具は、後にバトワールと呼ばれる一枚板を削ったラケットに進化しました。
さらに網のようなガット(ストリングス)が張られるようになったのは1550年ごろ。
そしてウィングフィールド少佐が発明したテニスラケットは現在の形に近いものでした。
そこから長い間、テニスラケットの素材は木製でしたが1967年にスチール製のラケット、翌年にはアルミ製のラケットが誕生。
今ではカーボン素材を応用した炭素繊維強化プラスチックのラケットが主流となりました。
ガットは羊の腸が主流でしたが、その後、ナイロンやポリエステル製が登場。
とはいえ今でもトッププロの多くは腸(多くは牛の腸)のガットを使用しています。
一方、ボールは羊などの動物の腸を毛皮や羊毛などで包んでロープで巻いたものでしたが、1870年代にドイツでゴム製のボールが登場。
イギリスでこれを糸や布で覆って、ほぼ現在の形になりました。
コートの変化
ローンテニスが誕生した1873年当時のテニスコートは、真ん中がくびれた砂時計型でした。
しかしその後の数年で改良されて、現在のような長方形になっています。
ウィンブルドン選手権
世界で最も古いテニスのトーナメントは、現在の4大大会の中でも別格とされるウィンブルドンです。
第1回大会が開かれたのは1877年で、なんとローンテニスが誕生してわずか4年後のことでした。
最初の大会は会場のローラーを新しく買うための資金集めが目的だったと伝えられています。
この時は男子のみの大会でしたが、1884年には女子の大会も開催。
初代女王になった地元のモード・ワトソン選手が白いウェアで統一していたことから、今でもウィンルドンは白い服と決められているのです。
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【テニス】歴史 日本のテニス
フランスで原型が生まれ、イギリスで完成したテニス。
では日本へはどのようにして伝わったのでしょうか。
日本への伝来
日本にテニスが伝わったのは、1876年という説が有力。
横浜や神戸などの外国人居留地に持ち込まれたのが始まりと言われていて、1878年に最初のテニスコートが作られた横浜の山手公園内には「日本庭球発祥之地」の記念碑が立っています。
そして普及に貢献したのは、卓球を広めた人物でもある坪井玄道氏。
彼が東京高等師範学校(現在の筑波大学)にローンテニス部を作ったことで日本人にもテニスが広まりました。
軟式テニスの発展
とはいえ、当時のテニスに必要な道具は輸入するしかなく、とても高額なもの。
そのため特に消耗品となるボールはおもちゃのゴムボールを利用していました。
その後、日本のゴム会社に国産ゴムボールの生産を依頼。
それをきっかけに日本ではゴムボールを使った独自の軟式テニスが広まっていきました。
1920年代から1930年代にかけて、日本の多くの選手が世界で活躍しましたが、その多くは軟式テニスで培ったドライブ打法で世界を席巻したのです。
まとめ
近代テニスはイギリスで生まれて世界に広がったスポーツ。
今ではその中心地は世界ランク1位の選手を10名も輩出したIMGアカデミーがあるアメリカに移っています。
とはいえ近年の世界ランク1位の選手の国籍は、セルビア、スイス、スペイン、ロシア、ポーランド、オーストラリア、ルーマニア、デンマーク、そして日本などまさに世界中。
各国の選手が個性的なプレースタイルで競い合うテニスは、今後も大きな進化を続けていきそうです。
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