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【競歩】審判員はどこをチェックしてるの?仕事内容も詳しく解説!

日本人も活躍する競歩。長距離を歩く競技で、走ってはいけないということは多くの方がご存知ではないでしょうか。

この競歩、種目によっては50㎞もの距離を歩くのですが、その間に審判員は6人から9人しかいないのです。その人数でいったいどうやって反則を見破っているのでしょうか。

ここでは競歩審判員の仕事をご紹介します。

競歩の基本ルール

競歩はその名の通り、走るのではなく歩くことで競うスポーツ。陸上競技の中でも特にルールが厳しい種目と言われています。

では具体的にどのような状態だと反則になるのでしょうか。

ロス・オブ・コンタクト

「ロス・オブ・コンタクト」は、両足が地面から浮いてしまうこと。常にどちらかの足が地面に接していることが求められます。

ベント・ニー

「ベント・ニー」は、膝が曲がったままの状態で歩くこと。競歩では体の前方でかかとが地面についてから脚が地面と垂直になるまでは膝を曲げてはならないという決まりがあります。

膝を曲げたままだと両足が浮いていなくても走るのに近い状態となるため、反則となるのです。

反則=即失格ではない

競歩では一度反則を取られても即失格とはなりません。

審判員はロス・オブ・コンタクトまたはベント・ニーの反則があると判定した場合、それぞれの反則のマークを記した「イエローパドル」で警告します。それでも改善が見られないと「レッドカード」を提示。

ただしレッドカード1枚でも選手はまだ失格にはなりません。異なる審判員3人からレッドカードを出されると失格です。

またこの時点でも即失格とはならず、ペナルティーゾーンに一定時間とどまるというルールのレースもあります。

審判員は過酷

競歩の選手はギリギリの速度で歩いているため、違反も起こりがち。上記のように何度も反則を指摘されて初めて失格なのに、世界大会でも1割ほどの選手は失格になるのです。

そんな反則を見つける競歩審判員はかなり困難な仕事です。審判員の人数は、一般的にトラックでは6人、ロードでは6人から9人。そのうち1人は主任審判員で、残りの審判員を適切な位置に配置する役割も担います。

審判員が6人から9人しかいない理由

長距離なのに審判員が6人から9人しかいない理由は、競歩が「周回コース」で行われるから。例えば1周2㎞のコースを10周する場合、主任審判を除いた8人が分担することになります。

この場合、1人が担当する距離は250m。自分の立った位置の100m手前くらいから観察し始め、通り過ぎる間に判定します。まさに一瞬の観察眼と判断力が求められるのです。

審判員がやってはいけないこと

審判員はとても微妙な反則を短時間のうちに見つけることになりますが、それに加えてやってはいけないことがあります。

それは、競技者の真正面や真後ろから判定をしてはいけないこと。また足をよく見るために屈みたくなりそうなものですが、審判員は競技者と同じ高さの地面に直立しなければならないという決まりもあります。

選手を追いかけて確認することも不可で、その場に静止して判定すると定められています。

審判員はどこを見ている?

では審判員は、「一瞬、足が浮いた」「膝が曲がるのが少し早かった」などの微妙な反則をどうやって見つけているのでしょうか。

実はそこには、反則の予兆を見破るワザのようなものが存在するのです。

ロス・オブ・コンタクトになりがちな歩行の特徴

審判員は競技者の足が実際に浮いているかを見ると同時に、ロス・オブ・コンタクトになりがちな歩行の特徴に注意しています。

その特徴は以下のようなものです。

・頭が上下動する。
・前に降り出した脚の膝や足首の位置が高い。
・手を胸より高く振り上げている。
・同時に膝が曲がっている状態があるように見える。
・靴裏全体が上を向くほど激しく地面を蹴り上げている。

この動作自体は反則ではありませんが、審判はこういった動きに注目します。

続いて、競技者の両足が前後に最も開いた姿勢のときに前足のかかとと後ろ足のつま先を結ぶ線をイメージします。線が上下動して見えるようならかなり疑わしい状態。それを見つけたところで審判員は前足の接地の瞬間に集中するのです。

ベント・ニーになりがちな歩行の特徴

一方のベント・ニーにも、なりがちな歩行の特徴があります。

・膝が伸びている状態がない、いわゆる忍者走りに見える。
・支えている方の膝の角度が上下に動く。

このような動きが目についた場合、審判員は競技者の前足が接地する瞬間から地面と垂直になるまでに注目します。このとき、太ももの付け根と足首を結ぶ線をイメージ。この線が膝の側面に収まっているかを凝視します。

もしこの線よりも膝の方が前に出ていたら疑いあり。脚が体の真下に来たときにも膝が曲がっていたら、反則を判定します。

審判員が特に注意する場所と場面

反則はいつでも起こり得るものですが、特に反則しがちな場所や場面も存在します。

・スタート
・追い越し
・飲食物供給所や給水ポイント
・集団の中
・登り降り
・ラストスパート

審判員はこれらのポイントでは特に注意します。特に反則が起こりやすいゴール近くには主任審判員を配置。ゴール前で主任審判員からレッドカードが出ると即失格となります。

まとめ

競歩ではビデオや写真判定は行われず、ある区間を担当する審判員は他の審判員や競技役員、観衆の言動にも惑わされてはならないとされています。つまり判定に関して絶対的な権限を持つのが審判員なのです。

実は日本が競歩の強豪国になれた理由の一つが、日本人審判員の強化だったと言われています。

世界レベルの審判がどこを見ているかを知ることが、競技技術の向上にも繋がったのです。競歩審判員の高度な判定技術にもご注目ください。

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競歩の歴史・競技人口・ルール・大会【スポーツ辞典】



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でかむ

スポーツで人生楽しむ自然派ライター

筋トレとアウトドアをこよなく愛するライター。某FM局の作家時代、筋トレマスターに師事し、トレーニングブログを3年間で100本以上執筆しました。

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