合気道という名前は聞いたことあるけど、どんな武道なのか知らない人は多いです。
合気道は心身の鍛錬を目的としていますが、プロの合気道選手というのは存在するのでしょうか。
今回はプロになるための方法をご紹介するとともに、プロの合気道選手の仕事内容についても説明します。
ぜひ参考にしてください。
合気道のプロ選手になるには?
合気道は武道家である植芝盛平(うえしば もりへい)が大正末期から昭和前期にかけて創始した、体術を主とする総合武術のことです。合気道という名前には「天地の”気”に合わせる道」という意味があります。
合気道は、自身の争う心に勝つことを目的としている武道なので、相手に勝つことが目的であるという試合は行わないという理念があります。
これは流派にもよりますが、基本的に合気道には試合がないということです。
合気道の場合は、指導者の資格を持った人がプロと名乗ることができます。指導者になるためには、昇級・昇段審査というものに合格しなければいけません。
四・五段を指導員とし、六段以上で師範となり、合気道の指導者としての資格が与えられます。
昇級・昇段審査に合格するまでの道のり
合気道は各段級で決められた技を審査員に披露し、その出来栄えを審査してもらいます。
では、審査に合格するまでの道のりはどのようなものでしょうか。
下記では、昇級・昇段審査に合格するまでの道のりをご紹介します。
受験資格を得る
合気道の昇級・昇段審査を受けるためには、まず受験資格を得る必要があります。
受験段級 | 受験資格 |
五級 | 入会後30日以上稽古した者 |
四級 | 五級取得後40日以上稽古した者 |
三級 | 四級取得後50日以上稽古した者 |
二級 | 三級取得後50日以上稽古した者 |
一級 | 二級取得後60日以上稽古した者 |
初段 | 一級取得後70日以上稽古した者(満15歳以上) |
二段 | 初段允可(いんか)後1年以上経過した者(稽古日数200日以上) |
三段 | 二段允可後2年以上経過した者(稽古日数300日以上) |
四段 | 三段允可後3年以上経過した者(稽古日数400日以上、満22歳以上) |
上記のように昇級・昇段していくにつれて、受験資格が厳しくなっていきます。
指導者の資格が与えられる四段まで昇段を目指す場合、初段になってから最低でも6年はかかります。
少しでも早く昇級・昇段したい方は、審査が頻繁に行われている武道がおすすめです。
合気道の最高段位は九段ですが、五段以上に昇段するには六段以上の有段者に推薦してもらわなければいけません。
審査内容の技を習得する
各段級によって審査内容が決まっているため、その技を習得する必要があります。
受験段級 | 審査内容 |
五級 | ・一教 ・四方投げ・入身投げ・呼吸法 |
四級 | ・一教 ・二教 ・四方投げ ・入身投げ ・呼吸法 |
三級 | ・一教 ・二教 ・三教 ・四教 ・四方投げ ・入身投げ ・小手返し ・天地投げ ・呼吸法 |
二級 | ・一教 ・二教 ・三教 ・四教 ・四方投げ ・入身投げ ・小手返し ・回転投げ ・天地投げ ・自由技 ・呼吸法 |
一級 | ・一教 ・二教 ・三教 ・四教 ・五教 ・四方投げ ・入身投げ ・小手返し ・回転投げ ・天地投げ ・自由技 ・呼吸法 |
初段 | ・徒手技法 |
二段 | ・初段の審査内容に短刀取・二人掛を加える |
三段 | ・二段の審査内容に太刀取・杖取・多人数掛を加える ・合気道に関する感想文を提出する |
四段 | ・三段審査内容に基いて自由技・小論文を加える |
昇級・昇段審査は年に数回、道場によって決められた日に行われます。
中には年に10回行うところもあるそうです。
少しでも早く昇級・昇段したい人は、審査を頻繁に行なっている道場を選ぶようにしましょう。
合気道のプロ選手の活動内容
プロ合気道選手の活動内容を主に3つあります。
道場や教室に通う生徒の指導
道場や教室に通う生徒と、独り技や組み技、氣の呼吸法、氣の意志法などの稽古を繰り返し行います。
合気道の上達には稽古の継続が欠かせません。
そのため、合気道をより好きになって楽しんでもらえるように、生徒とコミュニケーションを取ることも指導員の役割です。
稽古中の雰囲気作りにも気を配る必要があります。
合気道を世界に広める
近年、海外普及の活動において各国の合気道組織・団体によるセミナーや交流活動、国際交流基金による指導者派遣などを行なっています。
合気道は世界的に広まりつつあるので、今後メジャーな武道の一つになるかもしれません。
昇級・昇段審査の審査員になる
指導員ではなく昇級・昇段の審査員として働くという選択肢もあります。
道場によって異なりますが、審査員検定を設けているところもあるようです。
まとめ
合気道には試合がなく、その代わりに昇級・昇段審査があります。
指導員としての資格を与えられた人が、合気道ではプロと名乗ることが可能です。
しかし、簡単になれる訳ではありません。初段になってからでも最低6年はかかります。
「継続して稽古する」「向上心を常に持つ」「合気道を心の底から好きになる」ということが、一番大切なことです。
辛いことや苦手なことでも諦めず、努力し続けることがプロ合気道選手になるために必要な要素と言えるでしょう。