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【ボクシング】減量事情一覧|世界ランカーの苦悩を調査!

ボクサーにとって試合以上に過酷だと言われるのが、減量です。
体重が重いクラスになるほど相手のパンチは重くなるため、ボクサーは少しでも体重別階級の低いクラスで戦おうとします。
そのため普段のベスト体重から10kg以上落とさなければならないボクサーも。
減量は過酷を極めます。
今回は、ボクシングの減量事情を解説。
世界ランカーがどのような減量をしてきたのか、ご紹介します。

【ボクシング】減量の流行

往年のボクシングファンなら、減量といえばとにかく水を飲まず、最後はサウナで汗を絞るといった方法を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
そのイメージの元になったのは、漫画「あしたのジョー」。水道の蛇口を針金で縛って水を断ち、ミイラのようにげっそり痩せる様子は子どもたちのトラウマにもなりましたが、あの描写は決してフィクションではないのです。

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水抜き

昔からボクサーは実際に水抜きによる減量を行なってきました。
試合2週間前からは1日1回の食事でご飯は100g程度、それに汁物と少しの野菜のみとなり、本格的な水抜きが始まるとほとんど水も飲まずに毎日のトレーニングを続けます。
そして試合の1週間前からは食事は一切なしで水分摂取もほぼゼロ。試合の3日前からは完全に水を絶った上で、つばを吐き出して体の水分を極限まで出しきるのです。
しかしこの方法では脱水症状になって命の危険も。
そこで近年はスポーツ栄養学を取り入れた新しい水抜き法が開発されています。
本来、代謝で脂肪を落とすためには、ミネラルやビタミン、タンパク質をきちんと摂ることが必須。また体脂肪率が減っていなければ水抜きで体を絞ることは不可能です。
そこで、体についている脂肪の重量とその脂肪を除いた体重を体組成計で厳密に計測。どこまでを脂肪で落とせてどこからは水分で落とすのかを見極めます。
調整は試合の2ヶ月ほど前から始め、試合の1週間前までは水分ではなく脂肪で体重を落とすのです。
このとき炭水化物はサツマイモなどの低GI食品で摂取しながら、野菜やフルーツは十分に食べるのがコツ。試合1週間前までは水分はしっかり補給するようにします。
そして最後の1週間に水分摂取を減らして水抜きを行うと、効果的に体重を減らすことができるのです。

【ボクシング】世界ランカーの減量事情

では具体的に世界ランカーたちはどのような減量をしてきたのでしょうか。
何人かのボクサーの実例をご紹介します。

井上尚弥

2022年12月には世界バンタム級4団体統一王座になった井上尚弥選手
彼が最初に世界王者になったのはライトフライ級でした。
通常は60kgの体重をリミットの48.97kgまで落としていたこの頃の減量を井上選手は「命を削る」と表現しています。
ある防衛戦では1カ月前から減量に入って軽い脱水状態が続いている状態だったのに、計量2日前で1.9kgオーバーという事態に。最後の2日間は完全な絶食で水分摂取もゼロという状態で体重を絞ったそうです。
そうした無理な減量の結果、別の試合直前にはインフルエンザにかかり、当日は試合中に足が攣ったことも。
さすがに限界と感じた井上選手とジムの会長は階級を上げることを決断したそうです。

谷口将隆

元WBO世界ミニマム級王者の谷口将隆選手は、普段57kgある体重をリミットの47.62kgまで10kgほど落としていました。
彼の場合は試合の2カ月前から計画的に減量を開始。まずは間食をなくすところから始め、食事は朝昼兼用と夕食の2回にした上で、タンパク質はほぼ赤身だけのダチョウ肉を自ら塩コショウで焼いて食べていたそうです。
こうして1カ月かけて3kg程度減らすと、ここからギアをアップ。残りの1カ月であと7kg落とします。
とはいえ厳しい追い込み練習で4kgは絞れるため、バランスの良い食事を計量の3日前までは継続。最後の3日間にいよいよ水抜きを行います
徐々に飲む量を減らし、2日前は口を潤す程度の水分に。さらに半身浴を続けて汗を絞り出します。
こうしてリミットまで落としたあとは、動く気力すらない状態に。這うように寝床までたどり着いて横になっても、深い眠りにつくこともできず、数時間で目が覚めてしまうそうです。計量前日は一日中寝たきりでやり過ごし、皮膚がカリカリ、顔はしわしわの状態でようやく計量当日を迎えたと語っています。

川嶋勝重

元WBC世界スーパーフライ級王者の川嶋勝重選手の場合は、2週間で減量を行なっていました
この期間は1日1食で、初めの1週間は練習前にご飯・サラダ・ちょっとしたおかず。後半の1週間は納豆・豆腐・もずくだけとなります。
そして最後の3日間は完全に絶食
水抜きはせずに摂るのは水分のみとなりますが、飲んだ分だけ体重は増えるため、グラム単位で計算して飲んだそうです。
そしてスーパーフライ級のリミットである52.1kgに合わせ、計量当日の朝は200gオーバーの52.3kgで家を出ます。そうする理由は、計量会場に向かうまでに基礎代謝で約200g落ちることが分かっているから。
それくらい体重制限ぴったりにしないと、苦しくてやっていられないのです。

ノニト・ドネア

2022年6月に井上尚弥選手に敗れるまでのWBC世界バンタム級統一王者で、世界5階級を制覇したフィリピンの英雄、ノニト・ドネア選手は、減量後のリバウンドでも話題になった人。
前日計量ではバンタム級のリミット53.5kgに合わせてきた後、翌日の試合までにリバウンドで9kg増やしたこともあるというのです。
しかも相手が体力で押し込んでくるタイプならリバウンドを増やし、スピードで勝負するタイプならリバウンドを3kgほどに抑えるなど、相手のタイプに合わせてリバウンドも考えてきたと語っています。

まとめ

ボクサーにとって前日計量とリバウンドは大きな問題。
本来の体重がリミットより大幅に重い選手は過酷な減量に苦しまなければならない代わりに、試合当日のリバウンドで重いパンチを獲得できる可能性もあるのです。
この増減が得意で極端なリバウンドができる選手は、そのために相手から敬遠され、試合がうまく組めないこともあるほど。
ボクサーにとって体重の増減は、ある意味では本来の実力やトレーニング以上に大きな問題でもあるのです。

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