東京オリンピック2020で日本は野球、ソフトボールとも金メダル獲得という輝かしい戦績で幕を閉じました。
しかし2008年の北京オリンピックを最後にオリンピック競技として復活するまで10年以上の月日を経たのです。
その実施競技復活にはWBSCの存在がありました。
そこで今回は東京オリンピックで野球・ソフトボールが競技種目として復活する一役を担ったWBSCをWBCの運営組織と比較します。
組織の設立した背景に着目しながら組織が何を目指しているのかを中心として、話を進めさせて頂きます。
WBSCとは
WBSCとはWorld Baseball Softball Confederationの頭文字をとった略称で、日本語で世界野球ソフトボール連盟と呼ばれる組織です。
元々野球にはIBAF(国際野球連盟)、ソフトボールにはISF(国際ソフトボール連盟)といった別々の組織がありました。
ターニングポイントは2016年リオデジャネイロオリンピックでの実施競技復帰失敗でした。
これにより今後、野球単独、ソフトボール単独でのオリンピック実施競技復帰が難しいと判断し、一枚岩となってオリンピック実施競技への復帰を目指していく運びとなりました。
つまり野球・ソフトボールの普及は然ることながら、WBSC組織最大の目的は「オリンピック実施競技への復帰」です。
尚、本部はスイスのローザンヌにあり、138の国と地域に会員がいます。
WBSCが管轄している大会とは
WBSCの最大の目標は「オリンピック実施競技への復帰」ですが、そのためにも競技普及は不可欠です。
そのためオリンピックとは別にWBSC主催の世界大会が設けられています。
野球では4年に一度の世界大会であるプレミア12、女子ワールドカップ、年齢別カテゴリーでのワールドカップ、ソフトボールでは男子ワールドカップ、女子ワールドカップなどがあります。
男子野球に関してはIBAF時代、世界選手権としてインターコンチネンタルカップとワールドカップがありましたが、こちらが全てなくなり、プレミア12に再編されました。
ワールドカップはアマチュア主体の大会であるのに対し、プレミア12はプロ主体の大会です。
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WBSCとWBCIとの違いは
プレミア12がプロ主体と述べましたが、WBC(ワールドベースボールクラシック)と違ってメジャーリーガーは出場していないと感じた方も多いかもしれません。
実はメジャーリーガー派遣にはMLB選手会の意向が大きく関与しています。
WBCの運営組織はWBCIという組織ですが、この組織の立ち上げに関与したのはMLBとMLB選手会です。
そのため、メジャーリーガーをWBCへ派遣する障害がプレミア12ほど高くありません。
WBSCの最大の目的は「オリンピック実施競技への復帰」ですが、どうしてそれほどオリンピック競技への復帰に拘るのでしょうか。
理由はIOC(国際オリンピック委員会)からの補助金です。
2008年の北京オリンピック以降、この補助金を失ったことで、各種国際大会の存続が危ぶまれました。
そのためIOCに補助金を失い、WBSCはMLBの支援を受けざるを得ない状況となっていたのです。
そういった経緯からWBSCはMLBの意向が反映されやすくなっています。
競技普及という観点は共通ですが、野球の本場であるアメリカでのマーケットの拡大という点で両組織間での意向が食い違っているのは否めません。
尚、WBCはWBSCが公認した野球世界一決定戦です。
しかしながら、WBCIはこのWBCをオリンピック競技に代わる国際大会へ育てたいという意向があり、WBSCの目的である「オリンピック実施競技への復帰」と相反しています。
そしてWBSCが主催するプレミア12へ今後メジャーリーガーが出場できるようMLBで協議中ですが、どのように進展していくのか今後を注視する必要はありそうです。
まとめ
WBSC、WBCを主催するWBCIについて触れてみて、野球・ソフトボールの国際大会として一番の大会はどこなのか、これが特に野球において定まっていないという印象が残ったのではないでしょうか。
たとえばサッカーのようにワールドカップが国別対抗戦としては最高位にあり、オリンピックはアンダーカテゴリーであるように野球ではなっておりません。
また野球と同じくアメリカが競技発祥地であるバスケットでは野球と異なり、オリンピックが最高位にあります。
そしてプロ選手が出場するか否かが、その大会の注目度、大会レベルを押し上げているのかもしれません。
少なくともメジャーリーガーが出場する大会は現時点でWBCだけです。
この先、オリンピックやプレミア12にメジャーリーガーが派遣されるとなれば、注目度が上がることは間違いありません。
ただそこに至るまでに様々な利害の不一致があるため、どのように足並みを揃えていくのかが見物です。
利害の不一致はあるにせよ、根底には「競技の普及」があります。
だから、どうにか良い方向へ進展してほしいと願うばかりです。
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