毎年1月2日と3日に多くの人が観戦する箱根駅伝。
出場できるのは21チームと決まっています。
ではこの21チームはどのような資格を持った大学から選ばれるのでしょうか。
また大学に入りさえすれば、誰でも出場資格を得られるのでしょうか。
今回は、箱根駅伝の出場資格と条件について調査。
大学、選手それぞれの条件を解説します。
【箱根駅伝】大学の出場資格
箱根駅伝の正式名称は「東京箱根間往復大学駅伝競走」。
その名の通り、出場できるのは大学、そして大学院に限られます。
では大学や大学院ならどこでも良いのかというと、そうではありません。
出場できる範囲
この箱根駅伝の主催は関東学生陸上競技連盟。
この連盟に加入できる関東の大学・大学院のみが出場できるのです。
具体的には東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県・茨城県・栃木県・群馬県・山梨県。
つまり箱根駅伝は関東の地方大会という見方もできるのです。
全国レベルの大学駅伝大会には出雲全日本大学選抜駅伝(出雲駅伝)と全日本大学駅伝対校選手権大会(伊勢路駅伝)があります。
では箱根駅伝はレベルが低いのでしょうか。
実はそのようなことは全くありません。
箱根駅伝への憧れから多くの有力ランナーが関東の強豪校に入学するため、全国レベルの2つの大会の優勝は、ほとんど関東の大学が独占しているのです。
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本選シード
箱根駅伝に出場できる21校のうち10校は、前年大会の上位10位までとなります。
つまり10位以内に入れば、来年の予選会はパスして出場できるということ。
そのため毎年の大会では来年の出場権(シード権)を得るための熾烈な10位争いが行われることになります。
予選会
上位10校のシード権を得られなかった大学や本選に出場できなかった大学は、来年の箱根を目指して予選会に出場することになります。
予選会が行われるのは毎年10月。
この予選会にはエントリーするための条件があり、出場できるのはその年の1月1日から申込期日の前日までにトラックの10000mで34分以内の公認記録を出している選手のみとなります。
1チーム10名以上12名以下で走りますから、この公認記録を10名以上出していない大学は予選会に出場することもできないのです。
そして予選会では実際に駅伝のレースを行うのではなく、ハーフマラソンのコースを出場者が一斉に走ってタイムを計測。
チームの上位10名のタイムを合計し、上位10校が出場資格を得ることができます。
調子の悪い選手が数名いたら強豪校が予選落ちすることも。
例年40前後の大学がエントリーしますから、突破するのはかなり大変だといえます。
関東学生連合チーム
本選シード権と予選会で出場が決まる20校に加えて、もう1枠出場できるのが、関東学生連合チームです。
関東学生連合チームは予選会で出場権を得られなかった大学の中から、個人成績が優秀な選手が1校1名選抜されます。
予選会に出場しなかった選手や、予選会に出場した留学生、過去に本戦に出場経験がある選手は除外。
予選会に出場することが最低条件になりますから、自分1人がどれほど速くても、基準の公認記録を出している選手が9人以下の大学だと関東学生連合チームに選ばれることもないのです。
また関東学生連合チームはオープン参加という扱いになるため、本戦ではチーム・個人とも参考記録となります。
関東学生連合チームは例年あまり上位に入ることはありません。
しかし現青山学院大学の原晋監督が率いた2008年の第84回大会では、参考記録で第4位という好成績を残しています。
【箱根駅伝】選手の出場条件
箱根駅伝では、大学の出場条件の他に、選手個人の出場条件もあります。
例えば、近年は社会人がもう一度大学受験に挑戦することが増えていますが、29歳のオリンピック級マラソン選手が大学生になったら、箱根駅伝に出場は可能なのでしょうか?
年齢制限
29歳の大学生の出場は、可能です。
昔の箱根駅伝を知っている方は「年齢制限があったのでは?」と思うのではないでしょうか。
実は箱根駅伝には1947年から1992年まで年齢制限があり、出場できるのは28歳以下と決まっていました。
そのため1987年の第63回大会では実際に有力選手が出場できない事態となっています。
それは現在の強豪・駒澤大学陸上競技部を築き上げた大八木弘明監督。
現役時代、社会人を経て駒澤大学に入学した彼は、1年生と3年生で区間賞を取りながら、4年生のときには年齢制限で出場できないという経験をしています。
今では年齢制限は撤廃。
2018年には東京国際大学でオールドルーキーと呼ばれた30歳の渡辺和也選手が出場、話題になりました。
しかし年齢制限が始まった1947年以前にはさらに上の年齢の選手も。
1939年の第20回大会には当時33歳と131日の村社講平選手が中央大学の選手として出場。
ベルリンオリンピックの5000mと10000mで4位入賞もしている彼は、箱根駅伝で5区の区間賞を獲得しています。
出場できる回数
では大学で留年し続ければ何度も箱根駅伝に出場できるのでしょうか。
区間賞10連覇という選手がいたら感動しそうですが、それは不可能です。
なぜなら箱根駅伝の予選および本選にエントリーできるのは4回までと決まっているから。
同じ年度に予選会で勝って本選出場を決めた場合には1回の出場とカウントされますが、年度をまたいで5回6回と出場することはできないのです。
外国人留学生
制限では年齢以上に影響が大きいのが、外国人留学生。
毎年外国人留学生が日本人選手をごぼう抜きする姿が話題となります。
外国人留学生が初めて箱根駅伝に出場したのは1989年の第65回大会。
山梨学院大学のジョセフ・モガンビ・オツオリ選手とケネディ・イセナ選手のケニア人コンビが大活躍しました。
その後もしばらくの間、外国人留学生に関するルールは特にありませんでしたが、出場選手が外国人ばかりになるかもしれないという懸念から、2006年にルールを設定。
外国人留学生のエントリーは2人までで、実際に出場できるのは1人だけとなりました。
まとめ
出場するためにはさまざまな条件がある箱根駅伝。
前提として関東の大学という条件があるため、全国の優秀な選手が関東に集中してしまうという問題も起こっています。
そのため2024年の第100回大会では特別にルールを改定。
全国の大学から予選会に出場できることになりました。
101回以降も全国に枠を広げるのかは今後検討を重ねる予定。
今後、箱根駅伝の出場資格がどのように変わっていくのかにも注目が集まっています。
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