日本のプロ野球(NPB)で活躍する外国人選手のことを「助っ人」と呼ぶことがあります。外国人ならではのパワーやスピードで、所属するチームを助けてくれるという意味があるからです。
しかし試合には何人もの外国人選手が出場していて、外国人選手は何人所属しているのか不思議に思うこともあります。
そこで今回の記事では、日本のプロ野球における外国人枠について、実例を紹介しながら詳しく解説していきます。
日本のプロ野球で活躍した初めての外国人選手とは?
日本のプロ野球黎明期で活躍した外国人選手として真っ先に思い出すのは、V.スタルヒン投手ではないでしょうか。
東京巨人軍などで活躍し、ノーヒットノーランを達成したり、最多勝にも輝いています。
しかし、ロシアで生まれたあと日本に亡命したスタルヒン投手は、日本では無国籍扱いとなっています。
そのため、NPBも外国人選手としては扱っていない状況です。
記録上、日本のプロ野球で初めてプレーをした外国籍選手は、堀尾文人(ジミー堀尾)外野手と言われています。
1934年、チームが設立してまもない巨人に入団し、プロ野球がスタートした1936年には阪急(現オリックス)に入団しています。
その後、プロ野球チームに多くの助っ人外国人が所属するようになり、1952年には外国人選手に関するルールが設けられました。
その後、何度かルールの変更があり、2002年から現行のルールとなっています。
外国人選手に関する現行のルールとは?
日本野球機構が定める日本プロフェッショナル野球協約によると、外国人枠に関する現行のルールは下記のようになっています。
・支配下登録…制限なし
・出場選手登録…投手・野手を合わせて合計4人
つまり支配下登録は何人でも可能ですが、出場選手登録ができるのは4人までということです。
しかも特徴的なのは、投手と野手の組み合わせです。
投手と野手が2対2か、どちらかが3対1となる規定があり、投手4人、野手4人といった出場選手登録はできないようになっているのです。
また新型コロナウィルス感染症の影響によって、NPBでは2020年に「感染拡大防止特例2020」という特別ルールを設けています。
この特別ルールでは出場選手登録に特例が設けられ、5人まで認められています。
ただし5人を同時に登録する場合は、投手5人、野手5人といったように偏らず、「投手1・野手4」などのように登録することが規定されています。
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外国人枠を外れる外国人選手がいる?
しかし、プロ野球の試合を観戦していると、「外国人選手が規定よりも多く出場しているのでは?」と感じることもあります。
これは外国人枠を外れる外国人選手がいるからです。
NPBでは、日本国籍を持たない選手のことを「外国人選手」としていますが、出身国が日本ではなくても日本国籍を有する選手と同等の扱いを受ける選手がいるのです。
この条件について、野球協約第82条では下記の5つが定められています。
①日本の中学校・高等学校・短期大学(専門学校を含む)などに通算3年以上在学
②日本の大学に継続して4年以上在学
③日本に5年以上居住したうえで、社会人野球チームに通算3年以上在籍
④日本プロ野球でフリーエージェント(FA)の資格を獲得
⑤プロ野球ドラフト会議の指名を経て選手契約を締結し、それらの学校における在学期間と日本のプロ野球の在籍年数の合計が5年以上経過した者
それぞれ具体的に紹介していきましょう。
①日本の中学校・高等学校・短期大学(専門学校を含む)などに通算3年以上在学していた者
外国人枠の制約を受けていない外国人選手の中で、最も多いのはこのパターンです。
有名な選手で言えば、日本ハムや巨人で活躍した陽岱鋼選手です。
台湾出身ですが、福岡第一高等学校を卒業し、2005年の高校生ドラフト1位で日本ハムに入団しています。
また現役選手では西武に所属している呉念庭選手と、オリックスに所属している張奕選手です。
二人とも台湾出身で、呉選手は岡山県共生高等学校から第一工業大学を経て2015年のドラフト7位、張選手は福岡第一高等学校から日本経済大学を経て2016年の育成ドラフト1位でそれぞれNPB入りを果たしています。
②日本の大学に継続して4年以上在学
あまり多くありませんが、日本の大学に継続して4年以上在学した選手がドラフトに指名されると日本人選手扱いとなります。
該当する選手は、主に中日で活躍した大豊泰昭選手です。
台湾出身の大豊選手は1988年にドラフト2位で指名され、名古屋商科大学から中日に入団しています。
近年では、2015年のドラフト5位で広島に指名された仲尾次オスカル選手がいます。
ブラジル出身ですが、白鷗大学を卒業しています。
③日本に5年以上居住したうえで、社会人野球チームに通算3年以上在籍
日本の学校に在籍していなくても、日本に5年以上居住し、社会人野球チームに通算3年以上在籍した選手がドラフト指名をされると日本人選手として扱われます。
この条件を満たしてNPB入りしたのは、日系3世としてブラジル・サンパウロで生まれた玉木重雄投手です。
1990年に来日して三菱自動車川崎でプレーし、1995年のドラフト3位で広島東洋カープに入団しました。
その後、1998年には日本に帰化した選手です。
④日本プロ野球でフリーエージェント(FA)の資格を獲得
日本のプロ野球で長く活躍し、フリーエージェントの資格を獲得した選手も、日本人として扱われるようになります。
これまで10人の選手がいますが、主な選手は下記になります。
・郭泰源(台湾)…西武(FA権取得年は1996年)
・タフィ・ローズ(アメリカ合衆国)…巨人など(FA権取得年は2004年)
・アレックス・ラミレス(ベネズエラ)…ヤクルトなど(FA権取得年は2008年)
・ランディ・メッセンジャー…(アメリカ合衆国)阪神(FA権取得年は2018年)
・ウラディミール・バレンティン(オランダ)…ヤクルトなど(FA権取得年は2019年)
・ホセ・ロペス(ベネズエラ)…DeNAなど(FA権取得年は2020年)
フリーエージェント資格を取得するには1軍で8シーズン以上プレーすることが最低条件になります。
そのため、このパターンで日本人選手扱いとなった外国人選手は、各チームで活躍したまさに助っ人外国人選手ばかりとなっています。
まとめ
日本のプロ野球における外国人枠について解説しました。
NPBのレベルが上がり、日本人選手が大リーグで活躍する姿をたくさん見られるようになりました。
それと同時に、助っ人としてやってきた外国人選手が再び大リーグに戻って活躍することも多くなっています。
緻密さやスピードといった日本野球の特徴を身につけたことが要因の一つとも言われます。
NPBでは外国人選手の活躍がチームの成績に直結することも多く、チームに必要な外国人選手をスカウトし、いかに日本の野球にフィットさせるかが重要です。
これは大リーグとは異なるNPBの楽しみの一つでもあります。
今回紹介した外国人枠のルールについて正しく理解することで、プロ野球がより楽しく観られるはずです。
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