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【規定投球回とは】MLB・NPBの計算方法も解説!

規定投球回は、プロ野球のシーズン終盤になると話題になる言葉です。
これは投手があるタイトルを獲得するために必要とされる基準なのですが、いったいどのタイトルに関係してくるのでしょうか?
そして近年は規定投球回に達しない投手が増えていると言われていますが、その理由は何でしょう?
今回は、投手にとって重要な「規定投球回」についてご紹介。
なぜ規定投球回というものがあるのか、その計算方法と歴史、影響について解説します。

【規定投球回とは】意味と計算方法

【規定投球回とは】MLB・NPBの計算方法も解説!①規定投球回とは、投手が重要なタイトルを獲得するのに必要な投球回数。
シーズン中にその回数を投げないと、タイトルを獲得する権利を得ることができません。

規定投球回に関わるタイトル

投手のタイトルといえば、「最多勝」、「奪三振数」などがありますが、これらは規定投球回に関係なく受賞することができます。
規定投球回に関係するタイトルは「最優秀防御率」
防御率は1試合あたりの自責点の平均を計算したもので、投手のデータとして真っ先に挙がるものです。
この防御率は、「自責点」×「1試合分のアウト(27)」÷「投球回×3」で計算します。
ところが1シーズンに1人の打者にしか投げていない投手がその打者をアウトにしたら、防御率は0になってしまうことに。
このように投球回が少ないと極端な数字になってしまうため、最優秀防御率のタイトルに関しては規定投球回が決まっているのです。

MLBの計算方法

野球の規定投球回については、公認野球規則9.22(b)に定められています。

9.22:各最優秀プレーヤー決定の基準
(b)
メジャーリーグの最優秀防御率投手は、少なくともそのリーグで1クラブあたりに組まれている試合総数と同数以上のイニングを投球していなければならない。
マイナーリーグでは、少なくともそのリーグで1クラブあたりに組まれている試合総数の80%の数と同数以上のイニングを投球していなければならない。

この結果、1クラブあたり162試合が組まれているメジャーリーグでは、162試合が規定投球回になります。
この回数は厳密なもので、161と2/3イニングでは資格がないことになってしまいます。
一方、マイナーリーグは試合数がクラスによって144、138、132などと違い、しかも80%で計算するため注意が必要になります。
というのも例えば144の80%は115.2と半端な数字に。
この場合、端数は最も近い3分の1の方に切り捨てまたは切り上げとなっています。
そのため115と1/3イニングが規定投球回となるのです。

NPBの計算方法

日本のプロ野球の規則は、基本的にアメリカの公認野球規則に沿った内容となっています。
そのため1軍の規定投球回は所属球団の試合数×1で、近年は143です。
複雑なのが2軍。
所属球団の試合数の80%となりますが、予定試合数は球団によって異なり、中止になると振替試合は行わないため、最終的な試合数は大きく違ってきます。
この場合も、所属する各球団が消化した試合数×0.8が規定投球回となります。

規定投球回の対象

シーズン合計で球団の試合数と同じ回数を投げられるのは、基本的には先発ローテーション投手だけ。中継ぎ投手ではほぼ不可能です。
しかも途中で離脱すると達成は難しいため、規定投球回と最優秀防御率は先発としてシーズンを通して活躍した投手を対象としていることが分かります。

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【規定投球回とは】達成は難しい?

【規定投球回とは】MLB・NPBの計算方法も解説!②この規定投球回、近年達成できる投手が減っているとして、制度自体に疑問の声が上がっています。
いったいどういうことでしょうか?

規定投球回達成者の推移

規定投球回を達成できる投手は本当に減っているのか、日本プロ野球の2010年以降の達成人数をまとめてみました。

年度セ・リーグパ・リーグ
2010年1216
2011年1617
2012年2013
2013年1712
2014年1513
2015年1412
2016年1214
2017年1213
2018年89
2019年96
2020年68
2021年914
2022109
2023129

データを見ればこの10年ほどでも達成者が減っているのは一目瞭然。
先発ローテーション投手は各チームに5人または6人ということが多く、全球団で65人以上いるため、達成できていない先発投手の方がはるかに多いことになってしまいます。
ではなぜこれほど達成が難しくなったのでしょうか?

100球制限

近年常識になったのが、投手の100球制限
以前は先発完投型と呼ばれる投手が多くいましたが、今ではどの球団も100球制限を取り入れていて、長い投球回を投げることが難しくなっているのです。
一方で日本は先発投手6人によるローテーションが一般的。
規定投球回を超えるためには、1試合平均6イニングは投げなければならないことになります。
100球の制限内でこれは微妙なライン。
特に打たせて取るのではなく三振を取っていくタイプは、球数も増えて不利になります。
さらにシーズン中には短いイニングでKOされることも。
完投できるときにも降板してしまう100球制限があると、規定投球回に達することがとても難しくなるのです。

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分業化

100球制限と合わせて近年の野球は分業化が進んでいます
中継ぎ、セットアッパーの役割が重要になり、ワンポイントリリーフの有効性も認められたことで、好投している先発投手でも簡単に交代するようになったのです。
このような野球の進化もあって、規定投球回の達成はさらに難しくなっています。

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【規定投球回とは】回数の割合の変遷

この規定投球回数、現在はチームの試合数×1となっていますが、実は以前はそれよりも多く設定されていました。

以前の規定投球回数

こちらがこれまでの規定投球回数の割合です。1チームの試合数に対してこの割合をかけた数字が規定投球回でした。

年度セ・リーグパ・リーグ
1950年1.2861.125
1951年1.1251.125
1952年1.5001.500
1953年1.3541.500
1954年1.5231.500
1955年1.4621.500
1956年1.4621.494
1957年1.5001.500
1958年1.4621.462
1959年〜1963年1.4001.400
1964年〜1.0001.000

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規定投球回はなぜ多かった?

上の表からわかるのは、1963年以前は、先発ローテーション投手が現在の1.4倍から1.5倍のペースで投げないと規定投球回に達しないということ。
以前の規定投球回はかなり厳しい条件だったことが分かります。
これで成立していたのは、当時の投手に求められたのが先発完投型だったから。
しかもリリーフ、クローザーといった投手の分業制がはっきりしていなかったこと、先発ローテーションという考えもまだ少なく、中1日で先発することもよくあった時代だから可能だったと言えます。

まとめ

近年では規定投球回を達成できる投手がごく限られているため、惜しいところで規定投球回に達しなかった優秀な投手の防御率が評価されにくい状況になっています。
そのため近年では「1軍やメジャーも規定投球回は試合数×0.8にするべき」という提案も。
規定投球回数が時代に合わなくなれば、今後はそのようにルールが変わっていくことも考えられます。
とはいえこのような厳しい状況の中で規定投球回に達する投手は、それだけでも高い評価に値すると言えるでしょう。

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スポーツで人生楽しむ自然派ライター

筋トレとアウトドアをこよなく愛するライター。某FM局の作家時代、筋トレマスターに師事し、トレーニングブログを3年間で100本以上執筆しました。

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