アウトドアで行うスポーツでは、風の影響が無視できません。
特に一般的な天気でもありがちで、しかも比較的大きな影響も出やすいのが、風速5m前後の風です。
今回は、風速5mの風の影響について調査。
風速5mがどの程度の風なのか、そして主なスポーツにどのような影響があるのか、特に注意が必要なスポーツは何なのかを解説します。
風速5m とは
まずは風速5mがどのくらいの風なのかをご紹介します。
風速5mの定義
風の向きや速度は、地上6m〜10mの高さに設置した風速計で測定しています。
そして「風速」とはある瞬間のことではなく、10分間の平均値。
特に「平均風速」などとは言わず、10分間の平均を「風速」と表現しています。
風速5mは、1秒間に空気が5m移動する速さ。
時速に換算すると、毎秒5m×60秒×60分で1万8000m。つまり時速18kmになります。
風速5mの体感
風の体感はビューフォート風速階級というもので分類されています。
それがこちら。
風速(m/s) | 呼称 | 陸上の様子 |
0~0.2 | 平穏 | 煙はまっすぐ昇る |
0.3~1.5 | 至軽風 | 煙は風向きが分かる程度にたなびく |
1.6~3.3 | 軽風 | 顔に風を感じる。 木の葉が揺れる。 |
3.4~5.4 | 軟風 | 木の葉や小枝が揺れる |
5.5~7.9 | 和風 | 砂埃が立ったり、小さなゴミや落ち葉が宙に舞う |
8~10.7 | 疾風 | 葉の有る灌木が揺れ始める |
10.8〜13.8 | 雄風 | 木の大枝が揺れ、傘がさしにくくなる 電線が唸る |
今回のテーマである風速5mは、「軟風」。
木の葉だけでなく小枝が揺れる風というイメージになります。
また雨の日なら、傘がひっくり返るほどではありませんが、風で斜めになった雨で足元が濡れてしまうというイメージです。
最大瞬間風速
風速は10分間の平均で、その間に強くなったり弱くなったりします。
最も強くなるのが「最大瞬間風速」。こちらも一瞬の風ではなく3秒間の平均値をとった「瞬間風速」のうち最大のものとなります。
この最大瞬間風速は、風速の1.5倍から2倍になるのが一般的。
つまり風速5mの場合、最大瞬間風速は7.5〜10mになる可能性があるということです。
風速10mは「疾風」。木が揺れ始める風ですから、かなり強いと言えます。
つまり風速5mの日には木が揺れるほどの風も吹くと考える必要があるのです。
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・風速10mはどのくらいなのか?各種スポーツに与える影響も調査!
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風速5mがスポーツに与える影響
「今日はけっこう風があるよ」というイメージの風速5m。
実際のスポーツにはどの程度の影響があるのでしょうか。
ゴルフ
風の影響を大きく受けるスポーツがゴルフ。
しかしゴルフは自然をそのまま受け入れるスポーツですから、5m程度の風で中止にはなりません。
ゴルフ場で5mの風というと、木の葉が常に揺れていて、ときには枝も大きく揺れる状態。フラッグが常にバタバタする状態ですが、冬場なら日常的な風速だとも言えます。
では風速5mでボールにはどれほどの影響があるのでしょうか。
ゴルフでは風速が5mのときに一般的なレベルのゴルファーがドライバーを打ったとすると、向かい風なら距離は17m落ち、追い風なら12m伸びると言われています。
向かい風と追い風で距離が異なるのは、ボールの空気抵抗の影響。
もちろんクラブの番手によって距離の増減は大きく違いますから、キャディさんのアドバイスにも従って最適な番手を選ぶようにしてください。
短距離走
陸上競技の短距離走や走り幅跳び、三段跳びでは、追い風が2.0mを超えると「追い風参考記録」となってしまいます。
一般的に短距離走では風速1mで約0.1秒の影響があるという計算。
ぽ風が風速5mにもなると脚が追いつかない状態になるためそれほどの向上は見込めませんが、いずれにしても記録はかなりアップします。
過去には1996年にオバデレ・トンプソンという選手が追い風5mの中、9秒69のタイムを記録。当時の公式の世界記録である9秒85を大きく上回って話題になりました。
オバデレ・トンプソン選手の自己最高記録は9秒87。追い風で0.2秒近く向上したことになります。
マラソン
マラソンで向かい風の影響は深刻。
例えば身長170cmのランナーが1kmを3分30秒のペースで走る場合、無風なら空気抵抗は0.55kgですが、向かい風が5mだと空気抵抗は2.31kgにもなってしまいます。
この向かい風の影響は前走するランナーの1m後ろにいればほぼ消滅。そのため向かい風が5mもある日には風除けを上手く使う戦術が重要になってくるのです。
テニス
テニスで風速5mはかなりやりにくいと感じる風速。
サーブのトスが流れ、ロブを上げると大きく影響を受けるようになります。
ライン際を狙うことも困難に。
風上では低い弾道でボールの威力を優先する作戦が一般的になります。
一方、風下からは威力が落ちる代わりにアウトにはなりにくいので、高い弾道で繋ぐ作戦に。
戦術自体も無風の日とは大きく変える必要があります。
そしてトスが流れたら何度でもやり直すのが最善策。相手に悪いからと無理に打ってしまわない鉄の精神力が必要になってきます。
自転車
自転車で風速5mは、向かい風なら少し重めの抵抗を感じる程度。
しかし重心が高い自転車は横風が弱点。強い横風を受けると流されてしまって交通状況によっては危険なこともあります。
一般的に公道で自転車に乗るのが危険と言われるのは、風速6m以上。
風速5mなら即中止すべき風速ではありませんが、地形の関係で横風が強くなる場所があるようなら注意が必要です。
マリンスポーツ
釣りの場合、風速5mだと風の影響で糸フケが出やすくなります。
糸が風で流されるとアタリを取るのが難しい状況に。特にアジ釣りなど繊細な釣りでは「釣りにならない」ということが起こります。
同じマリンスポーツでも、風によって進むウインドサーフィンなら風速5mは最適な風。気持ちよく疾走できます。
そしてその他のマリンスポーツは風速5m前後が中止かどうかの目安となるため、注意が必要です。
海岸近くのサーフィンでは、風によって波の面が乱れるジャンクな波になりがち。非常に乗りにくい波であるため、中止にすることが多くなります。
SUPや手漕ぎボートは風速5m以上だと風で流されることに。安全のためにも熟練者以外は中止にすべき風速となります。
まとめ
夏以外の季節では意外にありがちな風速5m。
しかしスポーツへの影響はかなり大きくなってきます。
特に注意が必要なのは安全面に直結するマリンスポーツです。
また風速の体感温度への影響も重要。ごく大まかにいうと風速が1m増すごとに体感温度は1度下がると言われていますから、スキーや登山などアウトドアで活動する際には、防寒対策も重要になります。
風の影響もしっかり考慮して、スポーツを安全にお楽しみください。
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