近代五種は1人で5つの競技を行うスポーツ。
このスポーツは世界や日本ではまだ知名度の低いマイナーなスポーツで、日本では競技者が約30人と、他のスポーツよりも少なくなっています。
競技者は5つの競技を行いますが、それぞれの知識や技術を習得しなければいけません。しかし、知名度が高くないため、競技の詳細を知らない人も多いのではないでしょうか。
近代五種は欧米で「キング・オブ・スポーツ」と呼ばれています。
今回はそんな近代五種について、競技の詳細や魅力を紹介します。
近代五種とは?
近代五種は1人の選手が5種類の競技に挑戦し、万能性を競うスポーツ。
5種類の競技には「フェンシング」・「水泳」・「馬術」・「レーザーラン(射撃・ラン)」があります。競技者はそれぞれの異なる競技を習得しなければいけません。
近代五種は歴史と過酷さがゆえ、欧米で「キング・オブ・スポーツ」と呼ばれています。
競技人口は、世界で300人(※世界大会に出場する競技者)、日本で33人と多くないのです。
日本では競技者も少なく、「キング・オブ・マイナースポーツ」と呼ばれかねませんが、東京2020オリンピックでは競技に採用されています。
近代五種の歴史
近代五種は、近代オリンピックを提唱したピエール・ド・クーベルタン男爵が考案した競技。
クーベルタン男爵は「近代オリンピックにふさわしい競技を」と、古代オリンピックで実施されていたペンタスロン(五種競技)から、近代五種を考案しました。
ヨーロッパでは「王族・貴族のスポーツ」と呼ばれ、人気を博します。しかし、それぞれの競技に適した施設や用具が必要なため、競技人口が伸びませんでした。
その後、国際近代五種連合(UIPM)の取り組みによって、競技人口や加盟国が増えます。
近年では加盟国が100カ国を超え、徐々に人気が高まっているのです。
近代五種のオリンピック歴史
近代五種は、第5回ストックホルム大会(1912年)からオリンピックの競技に採用。
オリンピック大会の中で、第15回ヘルシンキ大会(1952年)から第25回バルセロナ大会(1992年)までは個人と団体の種目がありました。第27回シドニー大会(2000年)からは女子の種目が採用されます。
近代五種は5日間にかけ、1日1種目の競技を行います。
しかし、第26回アトランタ大会(1996年)を期に、1日で5種目を行うようになりました。
近代五種の種目と得点方法
近代五種の種目には、「水泳」・「フェンシング」・「馬術」・「レーザーラン(射撃・ラン)があります。
競技者はそれぞれの競技を行い、点数を獲得していく仕組みです。以下で各種目の詳細や得点方法を紹介します。
水泳
近代五種の水泳では、200メートル自由形が行われます。
得点方法は男女とも250点(2分30秒)を基準に、1秒で2点の増減。
選手は基準タイムを目指し、競技に挑戦します。
フェンシング(エペ)
フェンシング(エペ)は、一本勝負(1分間)の総当たり戦になっています。
得点は250点(勝率70%)を基準に、1勝で6点増減。選手は試合で1つでも多く勝ち、勝率を上げていきます。
オリンピックで上位を目指す人は、フェンシングの得点が重要になるでしょう。
馬術
馬術は貸与された馬に乗り、コース内に設置された障害物を飛び越えていく競技。
貸与の馬は抽選で決定し、12障害の15飛越で行われます。
得点方法は減点方式が採用され、300点満点です。減点される行動として、「拒止」・「逃避」・「障害」などが挙げられます。
レーザーラン
レーザーランは、3種目(水泳・フェンシング・馬術)の合計点が高い選手から始まります。得点は1点が1秒と計算され、時間でスタートするタイミングが異なってくるのです。
レーザーランは、射撃とランニングが行われる種目。射撃は10m離れた的(約6cm)を狙い、5発命中させます。その後、800mのランニングを行います。
選手は射撃とランニングの一連の流れを4回行い、ゴールを目指します。レーザーランはゴールに最も早く到着した選手が、優勝になる仕組みです。
近代五種の魅力について
近代五種は1日で5種目を行う過酷な競技です。
選手は体力だけではなく、精神的な強さも求められます。また、異なる種目に挑むため万能性が必要です。各種目の魅了について見ていきましょう。
水泳(200m自由形)の魅力
水泳の魅力は、序盤から終盤まで目が離せない展開が続くことです。
この種目は体力や技術が必要になります。
また、選手一人ひとりの最後まで諦めない気持ちや闘争心を見られるため、観客者の気持ちも高ぶるのです。
フェンシング(エペ)の魅力
フェンシング(エペ)は有効面が広いため、さまざまな攻防を見られます。
競技者は相手への攻撃の方法や間合いなどの判断を素早く行わなければいけません。
フェンシングの魅力は、1本勝負(1分間)の間に緊迫した展開や予想もできない攻防を見られることでしょう。
馬術の魅力
近代五種の馬術は、初めて対面する競技者と貸与された馬が障害物を飛越する競技。
競技者は馬と短時間で信頼関係を築く必要があります。
この種目の魅力は競技者と馬のコミュニケーションや柔軟な対応など、繊細な部分を見られることです。
馬術は大胆さと繊細さの両方を兼ね備えた競技と言えるでしょう。
レーザーランの魅力
レーザーランの魅力は、射撃とランニングの異なる競技を同時に楽しめるところです。
射撃は10m離れた場所の的を狙うため、高い技術が必要になります。
また、ランニングの距離は800mと体力が求められるのです。レーザーランは身体と精神の両面をコントロールする能力がなければ、上位を狙えないでしょう。
まとめ
近代五種は1人で複数の競技を行うため万能性が求められるスポーツであり、選手は1つの競技だけではなく全てを行える能力を身に付けなければいけません。
その一方、観覧者は複数の競技を見ながら白熱した試合を楽しめます。
近代五種の競技人口は多くありませんが、今後注目を集める可能性があるでしょう。
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