前回、育成年代においての「試合の在り方」について書きました。
そこで今回は、実際にどのような形で試合を行えば「本当の育成」になるのか。そんな視点で書いてみたいと思います。
ふたたび、試合は誰のものか
育成年代において、試合は誰のものか。これは前回にも書きました。
育成年代であれば主役は選手達で、まず選手達ありきで試合を考え、大人はどのような振る舞いを見せるべきなのか、と。
「試合は選手達のもの」という大前提を外してはならず、そこを間違えてしまうと、本来主役であるはずだった選手達よりも大人が前面に出てしまうことになり、主役が入れ替わってしまいます。
言うまでもなく、主役は選手達だけです。周りの大人(指導者、親)は、それをサポートする役割と義務を持つ。
どんな試合であれ、選手達が試合の場で成長できるよう、何より楽しめるよう、そして限られた選手だけでなく、多くの選手達が出場できるように。大人が知恵を絞り、策を練り、工夫をしていかなければいけませんよね。
今回はそんな観点で、ここから話を進めていきます。
細かいしきたり、やめませんか
小学生年代の試合現場でいえば、たくさんの風習やしきたり、そして困った大人が依然として多く存在します。
そんな例や、よくみられる光景を、いくつかあげてみましょう。
・グランドに礼
・本部(主催チーム)に全員揃って整列して挨拶
・細かい用具チェック
・シャツ入れなきゃダメと怒る大人
・笛を吹きすぎてしまう審判
・笛を吹かなすぎる審判
・8人制しかやらない
・メンバーを固定しすぎてしまう
これらの他にもたくさんあるでしょうが、ひとまずこの辺にしておきましょう。
礼や挨拶などは価値観の領域ですから一概に否定などはしませんが、できれば、挨拶などは強制ではなく子ども達自身の意思で行ってほしいものですよね。
ラインの有無、襟の有無など⋯ユニフォームのちょっとした違い、そこまで細かく指摘する必要はあるでしょうか。
インナーの色が違う!と試合直前の女子選手を着替えさせる行為は、大人としてあるべき姿なのでしょうか。
爪を切らなければいけないルールはないのですが、未だに「爪見せて〜」と細かく選手達に言っている人をよく見かけます。
シャツもそうですね。シャツは入れなければいけないというルールはもうありません。
むしろ熱中症対策で今は出すことを推奨されていますが、それでも頑なに「シャツ入れろ」という大人が多く存在するのですが、それが子ども達にとってどのような効果があるのか、自分にはよくわかりません。
それくらいは流そうよ、時間も短いんだし⋯というケースでも、細かく多く笛を吹きたがる人。
その逆に、センターサークルから一歩も動かずに、ファールなども全て流してしまう人。
両方とも、何のために笛を持ってピッチに立っているのか、よくわかりませんよね。
どんな年齢でも、どんなピッチサイズでも、8人制しかやろうとしない問題。
これは昨今、自分が一番危惧している問題でもあります。
勝敗に固執しすぎてしまうあまり、メンバーを固定しすぎてしまい、出場時間に多くの隔たりが起きてしまうなど。
これら、別に批判をしているわけではありませんが、果たして上記にあげたようなことが、本来あるべきだった「選手達のため」に行われていることなのだと、本当に疑いもなく言えるでしょうか。
大人が主役になってはいけません。これは、何回でも繰り返したいと思います。
レギュレーションを工夫しよう
ちょっとした工夫で、いくらでも「選手達のための試合」に姿を変えさせることができるはずです。
試合時間を長くしたら、必然的に多くの選手を出場させなければならなくなります。
選手達が試合運びの緩急を学ぶ、良い機会にもなりますね。
試合を行う人数も、その日のピッチサイズが広ければ11人制にしたっていいじゃないですか。
逆に狭ければ、人数を減らしたっていいですよね。
低学年や幼児などのまだまだ非力な子達ならば、ゴールキックもなかなか飛ばず、奪われたら即失点という大ピンチです。
なのでゴールキックのときは相手チームをハーフラインまで下げさせるとか、何なら全て主審がボールをランダムに投げて再開とか、にしてもいいですよね。
大人が指示を出してはいけないルールにしたり、ハーフタイムだけは選手達だけで話し合わせるとか、ボトムアップ的な取り組みも必要なはずです。
細かい用具規定などはなくして、試合を運営する大人達が少しでも柔軟になってくれれば。
それはお金がかからずにサッカーを楽しめることにも繋がるので、結果的にサッカー人口が増えるかもしれません。
最後に
いかがでしたでしょうか。今回ここにあげたアイデアは全て、もうどこかで誰かが実際に行なっているものでもあります。
決して自分だけの考えではありません。
つまり日本中のいたるところで、既にこういった柔軟な取り組みをしている方が出てきているということです。
こういう大人達のアイデアや取り組みが、きっと多くの選手達を救い、選手達にとって何かしらのきっかけとなる機会に繋がっていくのだと思います。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。