夏の風物詩として、皆さんが最初に思い浮かべるものはなんでしょうか。
花火を考える人もいるでしょうし、海や山に遊びに行くことを想像する人もいるでしょう。
夏休みの宿題を思い出してげんなりしてしまう人がいると同時に、子供の頃夏休みに祖父母の家で虫取りをして楽しかったという人もいるかもしれません。
そんな夏の思い出の中でも、代表的なものとして多くの人の脳裏に浮かぶもののひとつが、夏のお祭りではないでしょうか。
豪華な御神輿に胸を躍らせたり、ずらりと並んだ屋台のどれに寄ろうかとわくわくしたりした記憶がある人は多いに違いありません。
そんな屋台の中には、ゲームに勝利すると景品を貰えるものがいくつかあります。
射的で的にコルクの弾を当てると景品がもらえる、というものもそのうちの一つ。
そして射的と同じくらい、お祭りのメジャーゲームであるのが輪投げです。
実はこの輪投げは、スポーツとして競技化されていることをご存知でしょうか。
今回は、そんな輪投げについてご紹介していきます。
輪投げの起源・歴史について
輪投げという名前から察するに、日本発祥のスポーツだと思っている人は多いことでしょう。
しかし昔から、世界には輪投げによく似た競技は存在していました。
その最古の起源とされているのが、紀元前200年頃にヨーロッパにあった馬蹄投げだと言われています。
馬蹄投げは、別名ホースシューズとも言います。
蹄鉄(ていてつ)を輪投げと同じように投げて、一定の距離を置いて立てられた杭にはめるゲーム、あるいはスポーツを言います。この競技
1926年にはアメリカ馬蹄投げ者協会が設立され、それ以来毎年アメリカで世界選手権大会を開催しているほどの人気を博しています。
この競技と日本の縁日の輪投げとの正確な関連性は不明ですが、日本においても明治時代になると、畳に火ばしを立てて輪を投げるお酒の席での遊びが盛んに行われていたとされています。
また、大正時代に外国から、造船所などに港に関係深い仕事場へ伝わってきたという話もあるようです。
日本における輪投げの歴史について
元々日本では縁日などのゲームとして広く知られていた輪投げ。
しかし、この輪投げを正式に競技化できないだろうか?という動きは古くからありました。
なんと、その動きが始まったのは戦後間もなくのことであったと言います。
大阪府立大学教授であり、後に初代日本ワナゲ協会会長となる青木泰三氏は、輪投げをスポーツとして再生するべく、独自のルールや用具を整備するよう指導を行いました。
1967年4月には、簡易スポーツ研究会の基礎メンバーを中心に日本ワナゲ協会が発足されています。
日本ワナゲ協会の公式ホームページによると、発足当初の輪はロープを使用していたと言います。
しかし、均質性やゲーム性を考慮した現在のゴム製のものが開発され、輪を投げる目標として設定される台の形状は正方形になったのだそうです。
確かに、ロープを投げるのは硬い輪を投げるよりもハードルが高く、高い技術が要求されたことでしょう。
そして、台の上に並ぶ数字は、縦と横と斜めのいずれの合計も15となる配列に決定されたのだそうです。
輪投げと関連のあるスポーツ
一般に知られる輪投げと非常によく似た競技はいくつかあり、その一つがクロリティーと呼ばれるニュースポーツです。
1988年に、愛知東邦大学人間学部教授である石川幸生氏が考案しました。
プレーの仕方は輪投げと非常によく似ていると言えます。5、7、9メートルほど手前から、10本のゴム製の輪を専用の台に向かって投げて点数を競うスポーツであるからです。
輪投げと違う点は、台に数字が書いてあるわけではなく、代わりに色分けされているということ。
また、輪がピンに入らなくても、30度の傾斜角度がついた台の上に乗って落ちなければ得点が入る仕組みになっているというのも異なる点です。
台は四色に色分けされています。中心に近いほど高得点になり、輪の重さが150から200グラムという点も違いがあります。
クロティーの輪は、輪投げの公式ルールの輪よりも重く規定されているのです。
他にも先ほど説明した馬蹄投げなども、世界で高い人気を博す競技として知られています。
輪投げの競技人口について
輪投げの正式な競技人口はわかっていません。
しかし、アメリカで人気がある馬蹄投げ=ホースシューズは、アメリカだけでなんと3000万人もの競技人口がいるとされています。
その競技人口は、野球やバスケットボールなどに引けをとらないメジャースポーツであると言われているほどです。
また、1991年には日本にも日本ホースシューズ協会が設立されています。
輪投げのルールについて
輪投げの台は傾斜20度で設置される、60cm×60cmの正方形となっています。
色は白で、一番上の段の左から4・9・6。真ん中の左から3・5・7。
一番下の段の左から8・1・6と茶色で印字されたものが用いられます。
輪投げの輪は赤色4本、黄色4本、青色1本の合計10本が使用されます。重さは133g(±3g)と規定されています。
公式ルールでは台から2メートル離れた場所から輪を投げて杭を狙うことになりますが、競技者の技量などに応じて個別に設定してもいいそうです。
一人9本の輪を連続して投げて、輪が数字の上に立った杭に入ると得点になります。
輪が入った数字がそのまま得点となりますが、なんとこの点数にはボーナスがかかるケースがあります。
それが、縦、横、ナナメのいずれかで一列輪が入り、ビンゴを形成した場合です。
その場合は【一期の原則】に基づき、15×2=30の点数を一気に得ることができます。
さらに、9本ある杭すべてに輪をかけることができた場合はパーフェクト達成として、300点の点数となります。
ちなみに、これは1人で輪投げを行った場合の競技ルールであり、2人で対戦する場合は少々規則が異なることになります。
2人で行う場合はジャンケンで先攻と後攻を決めることになり、それぞれ4本ずつを交互に投げます。
試合は必ず、3セット形式で行われるようです。
輪投げの国際的な大会について
ホースシューズはアメリカなどで知られた競技であり、世界大会もありますが、残念ながら輪投げはまだまだ大きな国際大会などは開かれていないようです。
しかし、日本ワナゲ協会によると、毎年3月1日から翌年2月末日にかけて全国ランキング大会を行っているようです。
「単独投輪方式」で輪投げを楽しむことができ、得点を登録することで他の選手と切磋琢磨することができるようです。
1回のチャレンジ(スコアー提出)で、個人と団体部門の両方に登録できるシステムであるようです。
また、得点は加算方式であるため、期間中には何回でもチャレンジ(スコアー提出)することができるそうです。
世界から見た日本の輪投げの強さのレベル
大きな国際大会などが行われていないため、現状世界の強さは未知数となっています。
ですが、老若男女行うことができ、さらにぶつかりあうなどの危険がないスポーツである輪投げは、これから先日本のみならず世界のどこでも広がっていく可能性を秘めた競技であると言えるでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。縁日で輪投げをするのが得意だったという人、じっくりと標的を狙うのが得意だという人、他人と競うより自分自身と戦うのが好きという人にはぴったりの競技であるかもしれません。
興味を持った人はぜひ、さらに詳しくチェックしてみてください!