野球の試合を観ていると、審判が「警告試合」を宣言することがあります。
物騒な名前ですが、警告試合とはいったい何のことでしょうか?
どういったルールで決められている仕組みで、宣言されると何が起こるのでしょうか?
今回は野球の警告試合について解説します。
【野球】警告試合の意味
野球界には、相手が不文律を破ると報復するという悪しき伝統が存在します。
例えば危険なデッドボールを受けたら、次の回にデッドボールで仕返しをするなど。
これはもちろんスポーツマンシップに反する行為ですが、完全に消えることはなく今も残っています。
そのため試合中に報復合戦が起こることも。
それを防ぐ目的で審判団が宣言するのが警告試合です。
公認野球規則とアグリーメント
野球のルールブックである公認野球規則には、警告試合という名称は存在しません。
公認野球規則6.02「投手の反則行為」という項目の中に、打者を狙って投球するような反則行為が起きそうな状況であると判断したときには、審判はいつでも両チームに警告を発することができる、という項目があるだけです。
ではなぜ警告試合という言葉が存在するのかというと、セ・パ両リーグがアグリーメントで決めたから。
アグリーメントは申し合わせという意味です。
目的は、報復合戦から選手を守るため。
セ・パ両リーグが申し合わせをして、警告試合という仕組みを作ったのです。
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【野球】警告試合の流れ
では警告試合はどのような流れで宣言され、その後どのような影響が生じるのでしょうか。
警告試合になる条件
警告試合が宣言されるのは、例えば前述のように危険球が投げられたとき。
この危険球は、顔や頭、ヘルメットに当たるようなボールのことを指します。
このような球を投げるとピッチャーは即退場となるのが一般的。
しかしそれだけでは済まず、報復合戦となることがあるのです。
他にも試合中のプレーから乱闘や一触即発の雰囲気になったときに、報復合戦の可能性があると判断されます。
一般的な流れ
実際にありがちな警告試合の流れは、以下のようになります。
①ピッチャーが危険球を投げる
②バッターが怒ってピッチャーに詰め寄る
③ベンチから選手が飛び出し、乱闘になる
④審判がアナウンスで警告試合を宣言する
またクロスプレーから警告試合に発展することもあります。
①スライディングで守備選手にスパイクの刃を向けた
②守備選手が怒って小競り合いになる
③ベンチから選手が飛び出し、乱闘になる
④審判がアナウンスで警告試合を宣言する
暴言やヤジが発端となることも。
①選手やコーチが汚い野次を飛ばした
②言われた選手が激昂
③ベンチから選手が飛び出し、乱闘になる
④審判がアナウンスで警告試合を宣言する
この「乱闘」部分は、「乱闘寸前」という場合も。
さまざまなパターンで「これは報復合戦になるかも」と審判が判断すると、警告試合が宣言されることになります。
警告試合になると
警告試合が宣言されるとどうなるのでしょうか?
没収試合などとは違って試合がすぐに終わることはなく、試合はそのまま通常通り続行されます。
ただし警告試合では、報復行為だと審判が判断するようなプレーを行うと、選手や監督がすぐに退場となります。
例えばデッドボールは、頭部付近への危険球でなければ通常は一発退場となることはありませんが、警告試合ではデッドボールが当たった場所に関係なく即座に退場の可能性があるのです。
ラフなクロスプレーやヤジで退場になることも。
またそれでも報復合戦が止まらないような試合展開になった場合には、審判は試合を中止にする権限も持っています。
危険な投球やプレーが偶然なのか故意の報復なのか、審判は見て分かるそう。
いずれにしても警告試合が宣言されたときには、選手・監督・コーチは普段以上に冷静になる必要があります。
【野球】警告試合の事例
では過去にはどのような警告試合あったのでしょうか。
2戦連続の警告試合
2010年5月4日、オリックス対ソフトバンクの試合で、ソフトバンクの松田選手への2回連続死球の後、ソフトバンクのホセ選手に対して死球が。
これをきっかけに乱闘寸前となり、警告試合が宣言されました。
ところが翌日、今度はオリックスのグレッグ選手が2回の死球を受け、またもや乱闘に。
2日連続の警告試合という不名誉なカードとなってしまいました。
1試合で3人退場
2019年8月13日の西武対オリックスでは、オリックスの若月選手が死球を受けました。
実は前日にも西武から2死球を受けていたこともあって、オリックスの佐竹コーチが激昂。
乱闘騒ぎとなったため佐竹コーチは退場となり警告試合となりました。
ところがその後、オリックスの田嶋投手、西武の平良投手がともに死球を与え、報復行為と判断されて2投手が退場に。
1試合3人退場のプロ野球タイ記録になった上、両チームには制裁金が課せられました。
試合開始前から警告試合
2005年5月13日と14日のセ・パ交流戦、西武対巨人の試合は、2日間で合計6回の死球が発生し、険悪なムードのまま試合が終わるという異常事態になりました。
14日の審判団はこのままでは明日の試合は報復合戦になると判断。
翌15日の警告試合を宣言し、試合開始前から警告試合という事態になってしまいました。
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まとめ
選手の安全を守るために存在する警告試合。
プロ野球で始まったシステムですが、アマチュア野球でも宣言されることはあります。
警告試合は不毛な報復合戦を防ぐための仕組み。
その意義を理解して、フェアプレーを心がけたいものです。