スリークォーターは野球のピッチャーの投げ方の一種。
ピッチャーの投げ方には大きく分けてオーバーハンドスロー、スリークォーター、サイドスロー、アンダースローの4種類があります。
その中で投げる人が最も多いのは、スリークォーター。
このスリークォーターにはどのような特徴があり、どのように投げれば良いのでしょうか。
今回は、スリークォーターの投げ方やメリット、デメリットなどをご紹介します。
【スリークォーター】とは
オーバーハンドスローはその名の通り、上から腕を振る投げ方。
サイドスローは真横から、アンダースローは斜め下からと、それぞれ名前の通りの位置で腕を振ります。
ではスリークォーターは何かというと、直訳すると4分の3。
こちらもその名の通り、円を4等分した3つめ、斜め45度の高さで腕を振る投げ方です。
スリークォーターは多くの人にとって最も自然な投げ方。
野球を始めたばかりの人がボールを投げると、普通はスリークォーターになります。
スリークォーターはオーバーハンドスローとサイドスローの中間ですが、実はその境界線は曖昧。
オーバーハンドスロー気味のスリークォーターや、サイドスロー気味のスリークォーターというピッチャーも多く存在します。
スリークォーターのピッチャー
日本のプロ野球、メジャーリーグ共に現在最も多いのがスリークォーターです。
ダルビッシュ有投手、田中将大投手、佐々木朗希投手など、速球を武器にするピッチャーの多くがスリークォーター。
大谷翔平投手はスリークォーターともオーバーハンドスローとも言われています。
【スリークォーター】のメリット
最も自然な投げ方であり、オーバーハンドスローとサイドスローの中間でもあるスリークォーターはメリットがとても多い投法です。
球速が出やすい
スリークォーターはとても球速が出やすい投法。
メジャーリーグ歴代最速の時速170kmを投げたアロルディス・チャップマン投手もスリークォーターです。
変化球の種類が多い
オーバーハンドスローはボールに縦回転をつけやすい投げ方で、サイドスローは横回転をつけやすい投げ方。
これに対してスリークォーターはオーバー気味、サイド気味に投げることで両方の回転に対応できます。
その結果、使える変化球の種類が多くなるのがメリットです。
コントロールが良くなりやすい
スリークォーターは体の使い方が最も自然なため、コントロールも安定しやすい投げ方。
オーバーハンドスローで制球に苦労していたピッチャーがスリークォーターに変えることでコントロールが良くなった例もあります。
肩・肘・腰への負担が少ない
オーバーハンドスローは肩に負担がかかりやすい投げ方。
サイドスローやアンダースローは肩や肘への負担は減りますが、下半身がしっかりしていないと腰への負担が大きくなります。
その点、スリークォーターはどこかを大きく捻るということがないため負担が少なく、故障しにくい投げ方。
オーバーハンドスローで肩の故障に苦しむピッチャーが一時期だけスリークォーターに変えるということもあります。
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【スリークォーター】のデメリット
メリットが多いスリークォーターですが、一方でデメリットもあります。
バッターが慣れている
スリークォーターの大きな特徴は、投げるピッチャーが多いことです。
しかもごく自然なフォームなので、バッターにとってみれば最も馴染みのあるタイプになってしまうのがデメリット。
そのため投げ方以外の特徴を持たないとバッターにとっては最も打ちやすいピッチャーになってしまうのです。
シュート回転しやすい
スリークォーターは斜めの軌道で腕を振るため、まっすぐのつもりのボールの回転軸が少し傾きやすくなります。
その結果、ストレートがシュートぎみの回転になりやすいのがデメリット。
素直なバックスピンにならないため、力のあるストレートを投げるのが難しくなります。
ただしこれは、ボールの回転軸をしっかり意識すれば解決することも可能です。
【スリークォーター】の正しい投げ方
スリークォーターは、ごく自然に投げられるのが大きなメリット。
しかし気をつけなければならないポイントはいくつかあります。
身体の傾き
それぞれの投げ方では腕の角度に注目が集まりますが、ポイントとなるのは身体の傾き。
実はどの投げ方でも、左右の肩を結んだラインと腕はほぼ一直線になっています。
サイドスローでは肩は水平で身体の傾きはゼロ。
アンダースローでは投げる腕側の肩が少し下がります。
腕をほぼ真上に振るオーバーハンドスローだけは両肩のラインよりも腕が上がりますが、その角度は10度ほど。つまり身体を大きくグラブ側に傾けています。
ではスリークォーターはどうなのでしょうか?
実はスリークォーターには2つの種類があるのです。
1つは上体を少しグラブ側に傾ける投げ方。
右投げなら右肩が少し上になるもので、スリークォーター・オーバーハンドと呼ばれます。
これはオーバーハンドスローの変形ですが、オーバーハンドスローから腕だけを下げるのではなく、体の軸をやや立てることでスリークォーターの角度にするのが正しい投げ方です。
そしてもうひとつは、体の軸は垂直、両肩のラインと腕は水平にして、前腕だけを垂直に立てる投げ方。
こちらはサイドスローの変形と考えられています。
いずれの投げ方でも、両肩と腕のラインが一直線で、最も自然な状態(ゼロポジション)になることを意識してください。
体幹の回転を速くする
スリークォーターで他の投げ方よりも球速が上がりやすいのは、身体の傾きが小さいことで体幹の回転を速くできるから。
サイドスローの方が体の傾きはより小さくなりますが、スリークォーターでは重力も利用し、さらにグローブ側の腕を引くことで体幹の回転を加速できるのです。
スリークォーターで投げるピッチャーは、せっかくの武器である体幹の回転を速くするよう意識してください。
リリースポイントは軸足から一直線
リリースポイントがゼロポジションとなることも重要です。
最も安定して自然な体勢となるリリースのゼロポジションは、軸足から身体、腕が一直線になる位置。
ここでボールを離すことで、最も力強い球をコントロール良く投げることができます。
大きく踏み込みスムースに体重移動していれば、自然に腕が前に出てくるはず。
ピッチングを主導するのは下半身という感覚で投げるようにしてください。
まとめ
全身をバランスよく使って自然な投げ方をするスリークォーターは多くのピッチャーに向いている投げ方。
さまざまな投法を試すときも、まずはスリークォーターから投げてみて、自分の適性を見つけると良いかもしれません。
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