日本ではバレーボールの重要な国際大会として人気のワールドカップバレー。
しかしこの大会は世界的にその位置付けが微妙な大会でもありました。
今回は、ワールドカップバレーの持つ意味と歴史を調査。
パリ五輪の出場枠をかける2023年大会の位置付け、大会の賞金、オリンピック出場枠の決定方法についても詳しく解説します。
ワールドカップバレーとは
ワールドカップバレー(FIVB World Cup)は、国際バレーボール連盟(FIVB)が主催するバレーボールの世界大会。
オリンピックや世界選手権とあわせてバレーボール3大大会と言われています。
1965年に男子の第1回大会、1973年に女子の第1回大会を開催。
4年に1度の大会で、1977年からは毎回男女共に日本で開催されています。
出場枠
例外もありましたがワールドカップバレーに出場できるのは成績上位の12カ国。
例えば2019年大会は以下のように選出されました。
・開催国の日本
・前年の世界選手権優勝国
・各大陸から2カ国
北中米、南米、アフリカの各大陸選手権の優勝国と準優勝国
ただし世界選手権優勝国のある大陸は、優勝国を除いた成績順
・ヨーロッパランキング上位2カ国(欧州)
・世界ランキング上位2カ国(アジア)
ただし後述するように、2023年の大会は出場枠・選出方法共に変則的な形になっています。
大会形式
大会形式は1回の総当たり戦で、勝ち点制により順位を決めます。
セットカウントが3-0または3-1の場合は勝者に3ポイント、敗者に0ポイント。フルセットとなりセットカウントが3-2の場合は勝者に2ポイント、敗者に1ポイントの勝ち点が与えられます。
このようにして全ての相手と試合を行い、順位を決定。
勝ち点が並んだ場合は、勝利数、セット率、得点率の順で比較して勝者を決めます。
賞金
ワールドカップバレーは名誉ある行為として競う大会。
国際バレーボール連盟(FIVB)は補償金を用意していますが、特に賞金は設定していません。
しかし主催者である日本が賞金を提供することも。
2019年の大会では、以下の額の賞金が与えられました。
1位:60万ドル+連盟に3万ドル
2位:30万ドル+連盟に1万5000ドル
3位:10万ドル+連盟に1万ドル
ワールドカップバレーと五輪の出場権
1989年大会までワールドカップバレーはオリンピックの翌年の開催。
そのためオリンピックの出場権とは無縁の大会でした。
しかしその後、大会の位置付けは変化します。
五輪予選大会に
大会として地味な存在だったワールドカップバレーは1991年大会からオリンピックの前年に開催されるようになりました。
それによって大会の意味も全く違うものに。
男女とも3位以上に入ればオリンピックへの出場権を獲得できる「世界予選大会」となり、大会の注目度は大幅にアップしたのです。
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ワールドカップバレー2023|パリ五輪の出場権
2023年のワールドカップバレーは、これまでとは大きく形式の異なる大会となりました。
それ以前に、そもそも今回のワールドカップは開催されないはずだったのです。
廃止から開催へ
2020年、国際バレーボール連盟(FIVB)は主催大会を再編成すると発表しました。
ワールドカップバレーは廃止され、今後は4年に一度の世界バレーとオリンピック、そして毎年開催のネーションズリーグの3つの大会を行うというのです。
しかし2022年10月にFIVBは新たな発表を行いました。
それは2023年には「FIVBパリ五輪予選/ワールドカップバレー2023」としてワールドカップバレーを開催するというもの。
その結果、今回は非常に変則的な形でワールドカップが開催されることになりました。
大会形式
今回の大会は全体として世界24か国が参加する大きな五輪予選大会となります。
この24カ国を8カ国ずつ3グループに分けて開催。
女子予選は2023年9月16日から9月24日、男子予選は2023年9月30日から10月8日に、それぞれ世界3か国で同時開催となりました。
これが「FIVBパリ五輪予選/ワールドカップバレー2023」の前半の「FIVBパリ五輪予選」の部分。
男女それぞれの開催地はこちらになります。
女子
POOL・A:中国
POOL・B:日本
POOL・C:ポーランド
男子
POOL・A:ブラジル
POOL・B:日本
POOL・C:中国
各組に分けられた8カ国で1回戦総当たりを実施。各組の優勝と準優勝の2カ国、合計6カ国がパリオリンピックの出場権を獲得します。
そして名前の後半、「ワールドカップバレー2023」は、男女それぞれ3つの組のうちPOOL・Bのみ。
つまりパリ五輪予選のうち日本開催の組だけが、今回特別に「ワールドカップバレー」と呼ばれるのです。
パリ五輪出場枠
今回の「FIVBパリ五輪予選」で決まる出場国は男女それぞれ6カ国。
オリンピックには男女各12カ国が出場できます。
ではその出場国はどのように決まるのでしょうか。
まず12のうち1つの枠は、開催国と決まっています。
つまりフランスは予選を免除されるということ。
そして今回の「FIVBパリ五輪予選」は、フランスを除いた世界ランキング上位の24カ国によって争われ、6カ国が出場権を獲得します。
ここまでで決まる出場枠は7。
残りの5枠は「FIVBバレーボールネーションズリーグ2024」の予選ラウンド終了時点のFIVB世界ランキングで、上記の7カ国を除く上位5カ国となります。
ランキングは女子が2024年6月17日時点、男子が2024年6月24日に確定。
ただし出場国は、以下の優先順位で決定します。
①開催国と「FIVBパリ五輪予選」で出場権を獲得した国がない大陸の国
②「FIVBパリ五輪予選」で出場権を獲得していない国
つまり開催国のフランスがあるヨーロッパは、残り5枠の獲得では若干不利となるのです。
まとめ
パリ五輪の予選の一部としてかろうじて生き残ったワールドカップバレー。
次回以降も五輪予選は行われますが、基本的にワールドカップバレーは廃止されることになっています。
もしくは今回のように日本主催の大会のみ変則的にワールドカップという名前を残すのか、その行方にも注目です。
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