プロ野球の日本一を決める日本シリーズは全7戦。
では7戦のうちに引き分けがあって、3勝3敗1分となったら、どうするのでしょうか。
両者優勝?
または得点差?
残念ながらどちらも違います。
今回は、日本シリーズの延長と、引き分けの場合どうなるのかについて調べてみました。
【日本シリーズ】延長のルール
日本野球機構は毎年日本シリーズの前に、その年の開催要項を発表。
そこには延長回数などについても記されています。
延長に関する基本ルール
日本シリーズの延長に関しては、「延長回は、第7戦までの各試合では12回をもって打ち切り」で、「サスペンデッド・ゲームは行わない」とされています。
つまりシーズン中と同じで延長は12回まで。
12回終了時点で同点なら引き分けが確定するということです。
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引き分けで勝利数が並んだら?
しかしシーズン中ならともかく、短期決戦では引き分けの扱いは難しくなります。
それは勝利数が同じになってしまうから。
これについてクライマックスシリーズなら、「引き分けを含めて勝利数が並んだ場合はシーズンの順位が上位の球団の勝利とする」という決まりがあります。
では日本シリーズでもシーズン中の勝率など、何かの条件によってどちらかを勝者にするのかというと、そのようなことはしません。
引き分けがあって勝利数が並んだ場合は、第8戦を行うのです。
第8戦のルール
引き分けがあって勝負が決まらず、第8戦を行う場合、その球場は第7戦を行なったところとなります。
そして第8戦は延長戦の回数制限はなし。
勝負がつくまで延長して行います。
第9戦の可能性も
勝負がつくまで延長を行うのなら第8戦で必ず決着がつくのかというと、そうではありません。
それは日本シリーズの優勝は一方の球団が4勝することで決定すると定められているから。
もし7戦目までに2回引き分けがあって3勝2敗2分だった場合、一方の勝ち数が多いのに第8戦を迎えることになり、ここで3勝3敗2引き分けになったら、第9戦も行われるのです。
第9戦も延長回数は無制限。勝負がつくまで行われます。
また球場に関しては、1日移動日を設けて、第7・8戦とは違う球団の本拠地で行うという決まりです。
【日本シリーズ】の延長の変遷
では実際、日本シリーズで引き分けはよく起こることなのでしょうか?
これについては「ほとんどないが、近年その可能性が高まっている」と言えそうです。
減っている延長回数
日本シリーズの延長に関しては、1982年以降「プレイボールから4時間半を経過した時点で新たなイニングに入らない」というルールがありました。
現実的に4時間半はかなり長い時間。
これだけ続ければ引き分けになることはまずないと考えられていたのです。
ところが1986年の日本シリーズ(西武対広島)の第1戦は、延長14回の末、4時間半の時間切れで引き分けに。
その結果、史上初の第8戦突入ということになってしまいました。
これを受けて1987年以降、延長は時間無制限の18回までとなり、第8戦以降は回数制限なしという規定に変更されました。
ところが1994年以降は延長が15回までに短縮。
現行ルールとなった2018年以降はさらに短縮されて延長12回までとなっているのです。
それ以降、実際に延長戦となったのは2018年の1度のみ。
しかし延長回数が減ったことで引き分けの可能性は増加していると言われています。
過去最長の延長戦
日本シリーズの引き分けは、ルール改定のきっかけとなった1986年の広島対西武戦以降、2009年まで1度もありませんでした。
ところが2010年の日本シリーズ(ロッテ対中日)の第6戦は、24年ぶりの延長引き分けに。
延長15回で試合時間5時間43分はシリーズ最長試合となっています。
2021年の特別ルール
2021年の日本シリーズでは、特別ルールとして史上初めてタイブレーク制が導入されて話題になりました。
タイブレーク制の内容
これは東京オリンピックの影響で日本シリーズの開催が11月下旬になったために実施された特別ルール。
引き分けが3回以上発生する非常事態を想定したもので、もし第9戦終了時点で3勝3敗3分など勝利数が並んだ場合には第10戦はタイブレーク方式の試合を行うと発表されたのです。
従来のルールでは翌日以降に第10戦を行うとされていますが、この特別ルールでは11月30日の第9戦終了から20分後に無死1、2塁からスタートするタイブレーク制の試合を実施。
最も短ければ1回表裏の攻防だけで終わる第10戦となる可能性があったのです。
さらにもし11月30日までに一方のチームが4勝に達しなくても優勝が決定する場合があるとされました。
タイブレーク制導入の理由
なぜこのような試合が想定されたのかというと、日本のプロ野球選手と球団の契約期間は「2月1日から11月30日までの10ヶ月間」と決まっているから。
この日を過ぎて試合をすることはできないため、11月30日のうちに終えられるよう、苦肉の策としてタイブレーク制度の試合が導入されたのです。
幸いにも2021年の日本シリーズでは引き分けはなく、4勝2敗でヤクルトが優勝。
11月27日の第6戦で決着がついたため、タイブレークの試合を行う事態には至りませんでした。
まとめ
日本シリーズで引き分けになったのは、過去に8度だけ。
しかし2018年に延長が12回に短縮されて、引き分けの可能性は増えているとも言われています。
今後、日本シリーズ第8戦、第9戦を観られることが、もしかしたらあるかもしれません。
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